プロローグ ~突然の死!3~

 現世 天音が死ぬ数分前


 当日、お主は学び舎、学校からの帰宅途中にことは起こったのじゃ。普段から歩き慣れた道じゃったのだろうが、雨も降り視界も悪かったのぅ。


 しかもこの雨の量がとんでもなく、視界もそうじゃが周囲の音もかき消すほどじゃった。横断歩道で、辛うじて見える信号待ちをしているお主には、これから自分を死に追いやる存在にも気が付かぬほどな。


 そこからは、もう一瞬じゃったよ。


 横からは、刃物を持った人間に襲われ、後ろからは道路に向かって背中を押され、大雨で視界が悪いトラックに轢かれ、吹き飛んだ矢先に雷に打たれてバラバラになってしもうた。


 衝撃の連続じゃった。


 まさに『奇跡の死』じゃ!!


 回想終了


 いや、待て。突っ込みどころが多すぎる。まず、なに興奮しながら喋ってるんだ?つーか、『奇跡の死』ってそういう事かよ!!

 偉業を成したとか、誰かを助けて犠牲になったとかなら分かる。

 これ完全に、不幸が重なって『そんなことなる?』っていう死に方じゃねぇか!!奇跡的な死に方じゃねぇか!!デスピタゴラスイッチだよ!


「そう。まさに、デスピタゴラスイッチなのじゃ。芸術点も高い」

「ふざけんな!!」


 何が芸術点だ!


「そもそも誰だよ、横からと後ろから襲ってきたやつ」

「それがワシにも分からんのじゃ。お主結構恨みとか買う感じかの?」

「いや、そんなことない・・・はず・・・」


 実際、恨みを買った覚えはない。

 こんな善良市民他にはいないはずだ。


「神様はその、横と後ろにいたヤツのこと知らないのか?」

「う~む、調べれば分かるが。それを知ってどうする?お主はもう死んでおるのじゃぞ?」

「それは・・・そうだけど・・・」


 そう。俺は死んでいるんだ。恨みを晴らすこともできない。


「そう悲観するな。言ったであろう。お主は、資格を得たとな」

「そう、その資格って何の資格なんだ?」


 奇跡の死は分かった。もう一つの『資格』ってのが何なのか。

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