第17話 ドキドキ検査とプチざまぁ回
セクシー女博士にいきなり服を脱げと言われてしまった。
周囲を見渡すも、アリアを含むみんなは沈黙して微妙な空気が流れている。
そこ誰かツッコミ入れるところじゃね?
俺が戸惑い躊躇していると、立花博士は「フフフ」と小悪魔的な微笑を見せた。
「御幸君、別に変な意味じゃないから安心してね。『SPS』の調整目的よ。来週の初陣まで使用できるよう、今からキミのボディサイズを計測する必要があるのよ」
なんだそういうことか。
危なくR指定モノだと思い変な誤解をするところだった。
それはそうと……。
「――SPSってなんですか?」
「開発中の特殊強化服、Special Powered Suitの略称よ。要はダンジョンのボスを斃しやすくするためのアシストスーツってところかしら」
「ボスにはいろんなタイプがおる。時に生身では触れることが困難な輩もいるじゃろう。SPSはより戦術的に、そして確実にボスを屠るための装備じゃと思ってほしい」
「さらに
立花博士に続き、ミランダと東雲さんが説明してくる。
つまり異世界だと魔法の力で付与と強化することに対し、こちらでは科学の力でそれらを代用するってことか。
流石にこの場で服を脱がされることはなく、D班専用の男性用更衣室へと案内された。
謎の司令官だかの配慮で、男は俺だけなので備え付けのシャワールームやトイレなど貸し切り状態だ。
「……俺が寝ている部屋より広い。その気になれば、ここで暮らせそうだ」
ボロアパートの六畳一間を妹と二分して使っているだけに快適すぎる。
そこで用意された黒色のインナースーツに着替えてみた。
身体に密着されるタイプなので、もろ貧相な肉体が露わになってしまう。
「……鍛えよ」
鏡を見ながらそう誓った。
それから別室で計測することになった。
俺が部屋に入ると既にアリア、ファティ、四葉、鈴音の四人が並んでいる。
立花博士の指示でスタッフが専用のカメラで一人ずつ全体像を撮影していた。
しかも女子達は俺と同じ体に密着するインナースーツを身に纏っている。
おかげで彼女達の肉体美、そのナイスな輪郭がはっきりと浮かんでいるじゃないか!?
(うおっ……逆に全裸よりエロくね!? にしても俺がいるのにどうしてみんな隠そうとしないんだ!? どれだけオープンなんだよ!)
「如何なされました、ご主人様?」
「ミユキ様、お顔が赤いですよ?」
アリアとファティが何気に聞いてくる。
流石は異界人……二人ともスタイルがやばい。
特にアリアの豊満バストが弾けそうだ。ファティもかなりの黄金比を誇っている。
「御幸くんも一緒に並びましょ?」
「先輩~、こっちこっち!」
四葉と鈴音も気さくに声をかけてくれる。
二人はこちら側の女子達の筈だけど羞恥心がないのか?
四葉の重力を無視したような特大級メロンのような実ったお胸様、さらに鈴音の小ぶりながら形のよい美乳ぶりといい、とても盛観な光景だ。
そして俺だけが恥ずかしそうに股間を隠しながら、素敵すぎる美少女達と並ぶことになる。
すっかり貞操観念が逆転しているんじゃないだろうか。
「フフフ……御幸君、初心で可愛い。もう食べちゃおっかなぁ」
撮影中、立花博士は艶めかしく微笑み呟いている。
ミランダ班長から「痴女じゃぞ」と言われていたけどガチのようだ。
こうしてボディサイズの計測が終わり、俺はアリアと共にアパートへと帰った。
◇◇◇
「やぁ、ケン。よくのこのことギルドに来れたもんだねぇ。その図々しさだけは尊敬に値するよ」
S級ギルド【
ギルドマスターに呼び出された藤堂 健太はギルドに入った途端、待ち構えていた天河 勇也に皮肉を言われてしまう。
玄関から入った室内には他の
――救世主を苛めてきた主犯格。
まだネットでは特定されてないも、既にギルド中から知れ渡っている。
何せ救世主こと御幸は、ギルドマスターが溺愛する妹をかつて追放した男、反田の魔の手から救った大恩人だ。
きっとギルドに所属する誰もが看板に泥を塗られたと憤慨していることだろう。
「……ユウヤ。わざわざ嫌味言いに来たのか? そこどけよ」
「フン。生憎、ギルドマスターに頼まれてね。キミが逃げ出さないよう連れて来いとさ、ほら行くぞ」
天河の案内で、藤堂は奥の方へと進んで行く。
背後には別の
おそらく逃げ出さないための見張り役だ。
(拘束こそされてねぇけど、まるで罪人みたいじゃねーか! くそったれが!)
藤堂は屈辱に奥歯を噛み締める。
つい先日まで将来有望な
ギルドマスターの部屋に入ると、不破 昌斗がデスク越しで椅子に座っていた。
誘導役の天河は藤堂を向かい側に立たせると、自分は部屋から出ることなくドアの方まで後退して佇む。
予めそのように指示を受けていることと、藤堂が逃げないように考慮しての配置である。
「――ケン、お前には失望したよ。理由はわかるな?」
昌斗は冷たい口調で言い放つ。
「待ってください、
「確かに顔を殴るのだけは避けていたようだな。だが腹部や体を殴る蹴るの暴行と脅迫は日常的に行っていたそうじゃないか? なんでも西埜君の幼馴染である『琴石 莉穂』って子の気を引くためだとか? ガキ同士の悪ふざけと言っているが、そう思っているのは世の中じゃお前だけだぞ」
昌斗はタブレットの画面を開き、デスクへと無造作に置いた。
そこには、御幸がされた仕打ちの数々が掲示板サイトで記載されている。
辛うじて藤堂の実名こそないが、ここまで晒されては時間の問題だ。
「こ、これは……う、嘘だ!」
「嘘? 匿名だがリークしているのはお前と同じ学校の生徒だぞ。しかも複数人。中にはクラスメイトもいる。信憑性は大いにあると思うが」
昌斗はきっぱり言い切る。
S級ギルドは伊達じゃない。【
無論、法的ではなく非合法の裏技を使った上で。
同じギルドに所属する藤堂は当然そのことを理解している。
言い訳したくても無理だと悟り、ただ奥歯を噛み締めて小刻みに体を震わせていた。
「ケン、俺は西埜君が救世主として注目を浴びているから、お前を咎めようとしているわけじゃない。お前のしてきたことは一人の
「お、俺を……俺をどうする気ですか?」
「本来ならお前をギルドから即解雇処分にするところだ。しかしダンジョン管理省の事務次官である、お前のお父さんとの付き合いもある……これまでのことを西埜君に土下座して謝罪し、彼が赦してくれるのなら処分は取り消しランク降格で済ませよう。明日にでも西埜君に謝ってこい」
土下座して謝れだって……この俺が?
西埜のような雑魚ごときに!?
ふざけるな……ふざけるなァァァ!
屈辱のあまり血が滲むほど唇を噛み締める。
だがここで拒否し暴れても、すぐさま昌斗によって制圧されてしまう。
藤堂とて『大和の勇者』と呼ばれる男の実力は十分に理解していた。
「……わ、わかりました、団長」
「チッ。団長も甘いですね。こんな恥晒しのクズ、今すぐ追放するべきです」
後ろで天河が嫌味たらしい声で野次ってくる。
(くそ……ユウヤが好き勝手言いやがって!)
昌斗から「わかればいい、下がれ。約束は守れよ」と言われ、藤堂は部屋から出てギルドを去って行った。
だが、その帰り。
「糞がぁぁぁ! 西埜め! あいつだけは許せねぇ……!」
激しい憎悪を漲らせる、藤堂。
「絶対に許さねぇ! ぶっ殺す!! ぶっ殺してやるぞぉ、西埜ぉぉぉぉぉ!!!」
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