第65話 娯楽施設3

 

「それじゃあ、ここで釣りをするよ!」


:海キレイ!

:釣りか〜

:やったことないんだよなぁ

:水族館で釣りって出来るんだ

:横浜ら辺にある水族館でも出来たっけ?

:ここでは何が釣れるんだろう!?

:ハイドラ流の釣り…気になるね

:主食隕石なのに釣りとかするんだ


「食べるためだけに釣るわけじゃないからね。遊び感覚だったり、スポーツだったりで。もちろん食べるひともいるけど」


:あぁ、そっか

:単純に趣味の範囲なのね

:ハイドラからしたら魚なんてどれも小魚サイズだよなぁ

:マグロ一口で食べそう

:お兄様ならありえる


「釣り……知識として知ってはいましたが、実際に行うのは初めてです」

「楽しみ?」

「はい…!」


:わくわくしとるなぁw

:かわいい


「それでは、こちらが釣竿になります。足を滑らせてしまうことのないよう、ご注意ください」

「はーい!」

「ありがとうございます」


:釣り竿が近未来的だ…!!

:なんかめっちゃカッコイイじゃん

:きっとすごい素材でできてんだろーな

:え、普通に欲しい

:買いてぇ…!


「どこから釣る?」

「折角ですし、別々の場所からはどうでしょう?」

「いいね! 採用! じゃあ……私あそこから釣る!」

「なら、私はここで釣ります」

「……あ、そうそう。こういうときのために、最近追加したのがー……よしっ、おっけーだね!」


:画面が2分割された!?

:そんな機能いつの間に……

:いやこれどうなってるの……??

:『追加した』って、追加できるんだ…

:イルカちゃん自分でやったの!? すげぇ!

:まぁ、あのロボットのプログラム組めるわけだし、これくらいは出来るか


「ふふーん♪ これくらいなら私でも出来るからね!」

「こちらは子機というわけですね」

「さてさて、それじゃあ釣り開始だよ!」



「寄っては来るけど、なかなか掛からないなぁ」


:そんな簡単にはいかないか

:魚にもよるだろうけど

:そこそこいるから一匹は掛かるっしょ

:なんか……高そうな魚いるよね?

:光の反射で全然見えん

:今ヤヨイさんの方クロダイみたいなのいなかった!?

:マジ?

:そもそもクロダイが分からん


「クロダイ…? 全然知らない…って、あの魚こっち来てない? 来てるよね! 掛かる?! なんかツンツンしてる!」


:ちょっと大きめのやつ来たー!

:まだだぞイルカちゃん! しっかり針が掛かってから引くんだ!

:この魚何だろ?

:幸先いいんじゃないかこれは!

:引き上げるのは多分余裕だろうから、タイミング合えばいけるな


「も、もういいのかな!? まだ!?」


:まだや!

:そろそろだから準備して!

:こっちまで緊張してきた……

:結構ゲームって現実を再現してるんだな

:…掛かった!

:引いて!

:釣り上げてイルカちゃん!


「わかった! そーれぇぇっ!」


─バシャ!


「やったぁ! 釣れた!! 釣れたよー! なんの魚かわかんないけど!」

「そちらは『カミナリザケ』ですね。雷のようにジグザグに逃げることが由来の、この時期では珍しい魚となっています」

「レアモノってこと!? やったぁ!」


:すげぇ!

:結構デカイぞ!

:てか鮭って普通に釣れんの!?

:日本と環境が違うからこの時期でもいるのかな?

:これはイルカちゃんの強運が光ってる

:見たことない鮭だ

:ちょ〜っとそれ解剖させてもらえませんかね?

:どんな味がするのか気になります!


「たしかに気になるね! これって料理とかしてくれるの?」

「もちろんでございます。あそこのレストランで一流のシェフが魚に合った方法で、美味しく調理しますよ」

「おぉー! 楽しみだな♪」



「……ふむ? これは掛かって、いますね。引き上げましょう!」


:引けー!

:いやちょっと待て。待ってww

:なんか明らかに魚じゃないの掛かってますよwww

:これって……

:そんなことある???


「それっ」


─バシャ


「……タコが釣れました!」


:草

:タwコw

:いや魚じゃないんかーい!

:えぇ……?

:ま、まぁ、ヤヨイさん楽しそうだから…

:魚釣るより凄くね?

:どうして餌無しでタコが釣れるんですか?(現場猫)


「どうしてでしょうか…?」


:私にもわからん

:ヤヨイさんでも原因不明とな

:じゃあもう誰にもわかんねぇよ!

:www


◆◆◆


釣りも終わり、私たちはまだ見てなかった屋内の水槽を見て回った。


その途中で1つのコメントが目に付いた。


:そういえば、サメとか結構いるのにジンベイザメだけいないのは何で?


「……ん? あ、そっか。えっとね、ジンベイザメがいないのはー……説明が難しいなぁ」

「ジンベイザメ……鮫の一種ですか?」

「そうだよ! 写真しゃしん……はいこれ!」

「これはまた…大きいですね」


:見してー

:見せてくれー

:…お、見えたってwww

:ジンベイザメの上で寝るなww

:ちょっと待て。イルカちゃんのサイズと比較してコイツめっちゃデカくねーか?

:言われてみれば確かに

:クジラサイズだね。珍しい

:いやいや、30m超えは珍しいとかじゃないからな?

:ハイドラに合わせてジンベイザメまで巨大化してる……

:ジンベイザメかわいい


「かわいいでしょ! このコ、ウチで飼ってるんだよね!」

「……飼ってる?」


:ん?

:え

:はい?

:飼ってるっつった?

:…ごめんもっかい


「だから、このコはウチで飼ってるジンベイザメの『ノイラ』だよ〜!」

「つまり…………ペッ、ト?」

「うん! 正確にはお父様が勝手に連れて帰ってきちゃったから、お父様のペットだけどね」

「………………そうなんですね」


:???????!!??!?

:エェェェェ!!?

:はぁ!?

:なんだそれは

:ちょいまち、理解が追いつかへん

:ペットなの!?

:ヤヨイさん処理落ちしかけてるじゃないですか!?

:草

:お父様何やってんの…?

:ネコみてぇ連れて帰ってくんのかwww


「とまぁ、それはおいといて」


:置いとけないっす…

:めっちゃ気になるねぇ


「ジンベイザメとハイドラって、すっごい昔から関係があるんだよね。それこそ歴史で最初に習うくらいには」


:へぇ〜

:人と犬みたいな?

:主従関係?


「んー、主従関係とは違うかな。神話から続く存在だから……なんていうか、大切なパートナーみたいな? お兄様みたいに船で姿を模すのは珍しいけど、ハイドラのみんなが愛と敬意を込めてるのは確かだね」


:うーん……とにかく大事な存在ってことなのか

:あ、やっぱあの船珍しいのか…

:それ勝手に連れて帰ってきちゃったお父様ヤバいのでは?

:ジンベイザメが神聖生物に昇華してる…!

:愛と敬意なんて素敵


「それで、生態とかもろもろ考えると『水族館で飼育するのは良くないよね』ってなったんだよね。…いつだったっけ?」

「ええ。今から2100年ほど前の事ですね」

「ありがと」

「そ、そんなに前から水族館あるんですね」


:紀元前じゃないですかー!

:ハイドラ史知りてぇ…!


◆◆


「さてさて! 今日はどうだったかな? 私はもう最高だったよ!」

「私も初めての経験がいくつもあり、とても充実した時間を過ごせました。最高でしたよ」

「やった!」


:最&高よ

:同じく!!!

:改めてフロンティアに行ってみたいという気持ちになったわ

:ヤヨイさんがタコ釣ったのには笑った

:ツァングさんの説明良かった

:色々あるけど、最初のインパクトがヤバかったわ

:近未来感溢れる施設ってだけで最高なのに、それ以上に水族館として楽しかった


「うんうん♪ 好評だったみたいだね! 良かったよかった! ツァングさんも今日はありがとうございました!」

「ありがとうごさいました」

「こちらこそ、楽しんでもらうことが出来て大変嬉しく思っております。ありがとうございました」

「それじゃあ、みんな! 今日はここまでだね! 高評価よろしく! じゃあね〜!」


─この配信は終了しました─

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