第59話 宇宙のコラボ配信3

 

「つ、次はこの船の探索をします!」


:おぉ!

:いいねぇ


-探索?

-していいのか?


「ほ、本当にいいんですよね…?」

「構わない。ただ、入れない場所もある」

「操縦席とか?」

「変換炉室全般だ。むしろ操縦席は誰が入っても問題ない。操作できるのは俺だけだからな」


:変換炉が一番気になるのに…

:危ないのか?

:全般ってことは何個かあるのか

:宇宙船が危なくないわけが無い


-変換炉ってことは魔素だけで動いてるわけじゃないのか

-魔素だけで動くなら私たちだって作れる…?

-無理っしょ

-科学技術はよくわからないんだよなぁ


「最初はどこに行くの?」

「…この中から好きに選ぶといい」

「わっ、す、すごい! こ、これどういう魔術回路なんですか?」

「悪いが、ただのホログラムだ」

「アッ…そうですか」


:草

:なにそれすごく欲しい

:クソデカホログラム草

:3Dマップじゃん!


-これは魔術で再現出来そう

-周辺の地形が分かるのは面白いね

-見やすいなこれ


「それで、どこにしよっか?」

「えっと…ここで!」


アリスちゃんが指さしたのは…─


「ん〜……目?」


ジンベイザメの目の部分だよね?


「お兄様、そこってなんかの施設になってるの?」

「あぁ」

「そうなの!?」

「そうなんですか!?」

(いや、何で君まで驚いているんだ。何かあると思ったからそこを選んだんじゃないのか?)


:なんでジンベイザメ?

:目の部分から外が見れるのか?

:ありそう


-目?

-なんかの生き物なのこれ?

-魚っぽいけど見たことない


「案内する。…乗るか?」

「乗るー!」

「じゃ、じゃあぼくもいいですか?」

「構わない」

「やった…!」


:かわいい

:いいなぁ、俺も乗ってみたい

:かわいい


-かわいい

-竜が自分から背中に乗せるって凄いことだよね

-恐れ多くて乗ろうとか思わないわ



「これで上に上がる」


:え、ここってもしかしてエレベーター?

:広すぎだろ


-広い空間だなぁ

-どうやって上に行くの?


─ピッ!


「……えっと、これ今上に行ってる…んですよね…?」

「そうだが?」

「お、音が……」

「アリスちゃんアリスちゃん、エレベーターは音なんてしないよ?」

「あ、そ、そうなんですね」


:高性能のレベル通り越してるやん!

:普通は音するよなぁ

:完全に無音ってやばいな


-エレベーター?

-昇降機でしょ


「……」

「……」

「……」


:エレベーターの中で静かになるやつwww

:草


-なんか喋ろうよw

-固まってるのかわかんないってw


─チーン!


「到着? 到着?」

「でしょ!」


:音がw

:ホテルでなるやつやんww

:草

:なんでその音なんだよw


-何ですかその音w

-鈴かな?

-確かにわかりやすいけど…


「この先だ」

「おぉー!」

「何があるんだろう…!?」


:今ので30秒くらいだった?

:ついに…ってほどでもないか

:壁しなくね?


-ドキドキ

-何があるかな

-壁?


「お兄様、ホントにここであってるの?」

「変な壁…」

「少し待て」


─ピッ…… ブォン!


「わっ…!?」

「なにこれすごい!」


:壁が透けてる!?

:宇宙だー!!

:隕石めっちゃ見える!


-宇宙!?

-小惑星帯では?

-これ壁がモニターになったってこと?


「いや、壁を透明になる素材で作っただけだ」


:だけとは!?

:さり気ないオーバーテクノロジー…

:ヤバすぎだろ

:透明になる素材ってなんやねん

:星めっちゃ見えるのマジで綺麗

:にしても宇宙って真っ暗だな


-その素材超欲しいんですけど!?

-作ったってのがおかしいでしょ…

-私たちの惑星に技術提供してくれないかな…

-見えない壁とか使い道狭くない?

-宇宙からの映像ってめちゃくちゃレアだ

-いつ見ても星はキレイだね


「いや、あの、綺麗なのはそうだと思うんですけどぉ……」

「どしたの?」

「…これ隕石ぶつかってません!?」

「あー、たしかに」


:ぶつかっ…てるね!?

:え、大丈夫なん?

:飛べてるし平気なんでしょ

:お兄様が一から造ったんだし心配いらなくね?

:お兄様製なら問題ない!

:イルカちゃんのお兄様に対する信頼がすごい…


-確かにこの船って馬鹿みたいにデカいからひとつくらいはぶつかってるよね?

-揺れてる感じしない

-そもそも宇宙を航海するなら隕石くらい耐えられる造りになってるでしょ

-イルカさんのお兄様ならそれくらい想定内よ

-せやね


「お兄様への信頼すご!? それで、実際隕石大丈夫なの?」

「この船に最初に搭載したのはバリアだ」

「い、隕石をバリアで…?」

「…あ、そっか。アリスちゃんはバリアの強度知らないもんね」


:いや俺らも知らないが

:そら困惑するわw

:船にバリアを搭載ってなんだよ

:急にSF…って最初からそうだわ

:実際バリアってどこまで防げるのさ


-隕石をバリアで防ぐ…だと!?

-強度イカれてるよ…

-え……船全体をバリアで囲ってるってこと!?

-この船めっちゃ大きいよね!?

-動力すぐになくならない?


「このバリアは俺が光速で突撃しても壊れない」

「……えっと、そのぉー、なんかすごいのは伝わるんですけどイマイチ想像がつかないっていうか…」

「それじゃあ……あれ! あのおっきい隕石あるでしょ? あれが光の速度で100個同時にぶつかっても余裕、って言ったら伝わる?」

「エッ、なんですかそれは!?」


:百!?

:えっなにそれは

:ください!!!

:何に使う気だよwww

:誰が計算得意な人ー、どんくらいの衝撃になるのー?

:とにかくヤバいってことならわかる


-なんだそのバリアは!?

-どんな魔術でも突破できないんですが…

-これにはアリスに同意

-隕石って大きいのだと町ひとつ消えるんじゃ…

-それが100個でも余裕なのは絶対におかしいって!


「正直、やりすぎじゃない?」

「宇宙では何があるか分からないんだぞ? これだけやってもまだ少し物足りない」

「いやいやいやいや! 充分過ぎですよ絶対!」

 

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