第54話

 

その後なんやかんやあって、一頭身の主人公ポービィは剣を持った敵キャラの前にいる。


フィールドは街中。といっても至る所に植物があるけどね。


「ミコちゃん、このポービィはすいこみだけじゃないんだよ!」

「なるほど、他のアクションもあるのか。…にしてはBで吸い込めという看板が出てるが…?」

「まぁ見ててよ!」


:ポービィといえばの能力が見れるわけだな!

:ポービィ完全初見って珍しいよね

:いやポービィのこと関係なしに地球からしたらものすごくレアな存在だが?

:むしろイルカちゃんはなんで知ってんだ…

:イルカちゃんは去年の3月から地球とコンタクトとってたし


─ゴォォォォ…!


─キラーン!


『うぃ!』


「いえーい! ソードポービィだよ!」

「!? 剣士を飲み込んで自分が剣士になったのか!?」

「そうだよ! ポービィはすいこんだモノに応じて、いろんな能力が使える姿に変化できるのだ! なりきり能力っていうんだけどね」

「……かわいいな」


:www

:ミコちゃん思考停止しかけてるw

:草

:処理が追いついてないのか?


「ほら、さっきはすいこみくらいしか出来なかったけど、こうやって剣で攻撃できるようになったよ!」

「…そういうことか。このなりきり能力で敵を倒して進むゲームというわけか」

「大体そんな感じ!」


:全部で何種類くらいあるんだっけ?

:ドリームワールドで使えるのはそんなに多くなかった気がする

:3D用に新しくモーション作ってるわけだしな

:それでも多いと思うけど



久しぶりに…本っ当久しぶりにプレイしたけど、やっぱりすごく楽しい。


技術面だけで考えたら、それは地球よりレデネラの方が何倍も優れてる。だけど、ストーリー性だったりキャラクターや世界観の表現は決して劣ってるわけじゃない。


この花ひとつ見ても、こんなに丸みを帯びているのはリアルのとはかけ離れている。でも、違和感は覚えない。なぜなら全体で同じようなデザインに統一されているから。


すごいよ、ホント。


「あ、バクダンの敵だ」

「これでもなりきり出来るのか?」

「できると思う! えっと、能力解除はYボタン長押し…できた。これで今度はバクダンの敵を…あれっ?」


─キラーン!


「バクダンをすいこみすればボムポービィになれるんだ」

「…なんで爆弾をすいこんだら爆弾を生み出せるようになるんだ?」

「あー、言われてみればたしかに? でもポービィだしなぁ」


:爆弾を生み出すやつのなりきりじゃなくて爆弾になりきってることになるよなこれだと

:ガバガバ判定。だがそれでいい…!

:いうて年齢層低め向けのゲームだし

:にしては設定重いヤツ多かったりするよね

:大人も普通に楽しめる


「…これ爆弾に回数とかあるのか?」

「ないよー。だから能力がある間は何回でも投げられるよ!」

「つまり無限か?!」

「そうだよ! それそれっ!」


─バンッ! バンッ!


:敵に爆弾を投げるってポービィえげつないことしてて草

:現地の動物にすいこみしてる時点で今更かと

:どこぞの配管工だって容赦なく頭踏んでるから…

:ポービィの方がエグい倒し方しよる


「たしかにやってることヤバいよねポービィって。敵がかわいそ〜」

「そう思うなら爆弾転がして倒すのをやめたらどうだ?」

「それとこれとは話が別だよ〜。倒すの楽しいもん!」

「…うん、最初から可哀想なんて思ってないな?」


:イルカちゃん…

:子どもは残酷よ

:……子ども…?

:ハイドラ基準だとまだまだ子どもなんだろうきっと多分


「ん? なんだ?」

「あ、中ボスかな? 出てくるのは…なんかハリネズミみたいなの出てきた!」


:ザコ敵ラッシュかな

:そういうのもあるんだ

:今作からの追加敵か

:舞台が舞台だから新しい敵ばっかりだな


「それそれー!」

「イルカちゃんゲーム上手いな…」

「でしょ!」


これより難しいの家で何年もやってたし、なんならポービィだって前世でプレイしたことあるからね。いまさら子供向けのゲームに苦戦したりはしない…と思う。


:爆殺されていくハリネズミに涙を禁じえない

:フルコンボだドン!

:早すぎぃ!



「はい、ミコちゃん交代!」

「いいのか?」

「うん!」

「なら、私もやってみようか。ここがAで、こっちがBか。…そこの火を吹くやつをすいこんでみるか」


─キラーン!


「おぉ! 変身できたぞ! ファイアか!」


:ファイアポービィだー

:3Dのポービィにも出てくるのか

:移動用じゃん(RTA思考)

:普通の使い方しなよ


「これで火を…火力高くないか!? ポービィすごいな」

「…私の方が強い火吹けるし」

「いやゲームキャラと張り合うなよ…」


:草

:負けず嫌い発動!

:この場合張り合えるイルカちゃんがすごいのか、それともなりきりで火を吹けるポービィがすごいのか…

:どっちも星を跨いで移動するし、互角…といったところか


「え、そんなにこのポービィって強いのか?」


:強い

:強い

:無限の力を持つ星の戦士(誇張なし)


「ヤバいよね」

「このぽよぽよしてるのがそんなに…?」

「あれだね、かわいさでバランスとってるまである」

「そんなことが…いや、そうだな」


? なんでこっち見たの?


:かわいさでバランスとってる存在が画面の前にふたり…いや、全員だろ

:ミコちゃんも人間と比べたら全然強いんですが

:全員強いのに、全員自覚がねぇ…

 

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