第53話
お兄ちゃんに話したいことを全て話した。話している最中もどんな反応をされるのか怖くて、心配していた。
でも、お兄ちゃんは私を受け入れてくれた。すごく嬉しかった。
「153年間…誰にも話せなかったから…!」
「…そっか。153年、俺よりも随分年上なんだな」
「うん…」
「それでも、お前はいつまでも俺の妹だよ」
「……お兄ちゃん!」
「うおっ…と」
感極まって抱きついてしまったけど、力加減は大丈夫なはず。
それに、今はこの温度を感じていたい。
◆
「─ゲーム配信するよ! いえーい!」
「適当すぎないか? あとテンション高いな!?」
:いえーい!
:初めてのゲーム配信!
:なんのゲームだ?
:見たことあるコントローラーだ
:珍しい二画面
「今日私がやるのはコレ! 『星のポービィ ドリームワールド』! ちょっと前に発売されたポービィシリーズの最新作だね!」
「シリーズものか。面白そうだ」
:ポービィだ!
:最初のゲームはポービィか!
:おもしろいぞそれ
:俺も買ってプレイしたわ
:ネタバレ厳禁だぞ〜
「そうだね。ネタバレは禁止! 私もミコちゃんも初見だからね!」
「もっとも、ゲーム中にコメント見てる暇があるかわからないがな」
「それでもだよ! 視聴者の中にも初めての人はいると思うからね!」
「確かにそうか」
:初見です(ゲーム)
:ネタバレは良くない
:ポービィって結構ゆるいし、見てる暇はある…はず
:そうなると応援か感想コメントばっかになるのか
:めちゃくちゃ平和じゃん
:ところでそのスイッチ買ったの?
「ネット通販で買った! その日のうちに届くってすごいね!」
「近くに倉庫があるんだろうが、それにしても早いな」
:早さが売りなところかの?
:便利な時代になったものよ…
:その日のうちってすごいな。俺は二日掛かるぞ
:え、どうやって通販サイトに登録したんだ…? クレジットカードとかこう、いろいろあるよね?
:イルカちゃんパワーでなんとかしたんでしょ
「それじゃあ、始めよっか!」
「いよいよか。なんだか緊張してきたな…」
「……オープニング!」
「この薄ピンクのがポービィか? 丸いな」
「お昼寝してるのかな? かわいい!」
:かわいい
:でたなピンクの悪魔
:よく見る草原じゃん
:平和だ…ものすごく…
「あ、ちょうちょ」
「……フフッ」
「ポービィにとまった! あ、ポービィ起きた」
:草
:ミコちゃんにウケてるw
「ポービィ、なにかに気づいたのか?」
「なんだろ…ってえぇぇ!?」
「空に穴が空いた!?」
「わー!? なんかいろいろ吸い込まれてるよ!?」
「吸引力が強いな…!」
:星型の穴! ポービィあるある!
:ポービィ逃げて逃げて!
:大量のワドたちがぁ!
「あー! ライドスター来た! ポービィの操縦テクニックすご!?」
「星型の乗り物か。…アクロバット飛行…!? ポービィ、意外とすごい乗り手なのか…!?」
:ライドスターきちゃ!
:これで勝つる!
:マジでアクロバット飛行かっこいいよな
:せやでミコちゃん
:もう30年はライドスターに乗ってるしそいつ…
「「あっ」」
:木がァ!
:接触ゥー!
:前から木がっ!?
:ライドスターさん!?
「わ! ポービィが穴の中にーってなんかぐにゃぐにゃしてる!」
「コイツ柔軟性すごいな!? なにでできてんだ、その体…」
「……オープニング終わりかな?」
「ここからポービィの冒険が始まる…ということか」
:その体! 伸縮自在!
:草
:終わった?
「……まだあった」
「砂浜に打ち上げられてるじゃないか」
「…………あ、これもう動かせるのね」
『んにぃ……ぽよ?』
「「かわいい」」
:かわいい!
:ハモったw
:地球外生命体にもこのかわいさは伝わった
:やっぱすげーよポービィ
「3Dなんだ〜」
「歩く度にぽよぽよしてる…」
「奥に進めばいいのかな?」
「看板あるし、そうなんだと思うぞ」
:ぽよぽよポービィ。かわいいね
:ここからスタートか!
:最近のポービィって3Dなの!?
:時代の流行を感じる
:新時代やね
「砂浜からすぐ森の中に来たね!」
「人の手が入っていない島を感じるな」
「えっと、Aボタンでジャンプ…とうっ」
─ぽーん!
「音までかわいい!」
「その足でその高さのジャンプ…!? ゲームとはいえ、不思議生物がすぎるぞ」
:ふぉーんって感じの音いいね
:不思議生物www
:驚くのはまだ早いぜミコちゃん
:イルカちゃんとミコちゃんで目の付け所が全然違うんだな
:だってイルカちゃんはその…ね?
:あんまり深く考えてないだろうからな
:言うなよ!
「ちょっとー! 私だっていろいろ考えてるんだからね!?」
「イルカさん、Bですいこみ? が出来るらしいぞ」
「おぉー! ポービィの代名詞的技、すいこみ!」
─ゴォォォォ…!!
「…勢い強くないか!?」
「だって、ポービィのすいこみだからね」
「いや、えぇ…?」
:草
:絶妙に理由になってなくて草
:ポービィの肺活量エグない?
:息を吸うのは息を吐くより何倍も力が必要なんだよなぁ
「だが、アクションゲームとしてこれをどうやって使うのかが分からないな」
「ミコちゃんミコちゃん、ポービィはすいこみだけじゃないんだよ! 見ててね! こうやって、星ブロックを吸い込んで…発射!」
─ポン!
─ベチッ!
「おぉ!? なんか飛ばした! …そうか、今のが攻撃方法なんだな?」
「それだけじゃないんだよ! 多分この後見れるからもう少し待ってね!」
「アクションゲームだからさすがにもっとあるか」
:アレだな!
:見たらミコちゃんが考えるのをやめそう
:リアクション楽しみ
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