第53話

 

お兄ちゃんに話したいことを全て話した。話している最中もどんな反応をされるのか怖くて、心配していた。


でも、お兄ちゃんは私を受け入れてくれた。すごく嬉しかった。


「153年間…誰にも話せなかったから…!」

「…そっか。153年、俺よりも随分年上なんだな」

「うん…」

「それでも、お前はいつまでも俺の妹だよ」

「……お兄ちゃん!」

「うおっ…と」


感極まって抱きついてしまったけど、力加減は大丈夫なはず。


それに、今はこの温度を感じていたい。



「─ゲーム配信するよ! いえーい!」

「適当すぎないか? あとテンション高いな!?」


:いえーい!

:初めてのゲーム配信!

:なんのゲームだ?

:見たことあるコントローラーだ

:珍しい二画面


「今日私がやるのはコレ! 『星のポービィ ドリームワールド』! ちょっと前に発売されたポービィシリーズの最新作だね!」

「シリーズものか。面白そうだ」


:ポービィだ!

:最初のゲームはポービィか!

:おもしろいぞそれ

:俺も買ってプレイしたわ

:ネタバレ厳禁だぞ〜


「そうだね。ネタバレは禁止! 私もミコちゃんも初見だからね!」

「もっとも、ゲーム中にコメント見てる暇があるかわからないがな」

「それでもだよ! 視聴者の中にも初めての人はいると思うからね!」

「確かにそうか」


:初見です(ゲーム)

:ネタバレは良くない

:ポービィって結構ゆるいし、見てる暇はある…はず

:そうなると応援か感想コメントばっかになるのか

:めちゃくちゃ平和じゃん

:ところでそのスイッチ買ったの?


「ネット通販で買った! その日のうちに届くってすごいね!」

「近くに倉庫があるんだろうが、それにしても早いな」


:早さが売りなところかの?

:便利な時代になったものよ…

:その日のうちってすごいな。俺は二日掛かるぞ

:え、どうやって通販サイトに登録したんだ…? クレジットカードとかこう、いろいろあるよね?

:イルカちゃんパワーでなんとかしたんでしょ


「それじゃあ、始めよっか!」

「いよいよか。なんだか緊張してきたな…」

「……オープニング!」

「この薄ピンクのがポービィか? 丸いな」

「お昼寝してるのかな? かわいい!」


:かわいい

:でたなピンクの悪魔

:よく見る草原じゃん

:平和だ…ものすごく…


「あ、ちょうちょ」

「……フフッ」

「ポービィにとまった! あ、ポービィ起きた」


:草

:ミコちゃんにウケてるw


「ポービィ、なにかに気づいたのか?」

「なんだろ…ってえぇぇ!?」

「空に穴が空いた!?」

「わー!? なんかいろいろ吸い込まれてるよ!?」

「吸引力が強いな…!」


:星型の穴! ポービィあるある!

:ポービィ逃げて逃げて!

:大量のワドたちがぁ!


「あー! ライドスター来た! ポービィの操縦テクニックすご!?」

「星型の乗り物か。…アクロバット飛行…!? ポービィ、意外とすごい乗り手なのか…!?」


:ライドスターきちゃ!

:これで勝つる!

:マジでアクロバット飛行かっこいいよな

:せやでミコちゃん

:もう30年はライドスターに乗ってるしそいつ…


「「あっ」」


:木がァ!

:接触ゥー!

:前から木がっ!?

:ライドスターさん!?


「わ! ポービィが穴の中にーってなんかぐにゃぐにゃしてる!」

「コイツ柔軟性すごいな!? なにでできてんだ、その体…」

「……オープニング終わりかな?」

「ここからポービィの冒険が始まる…ということか」


:その体! 伸縮自在!

:草

:終わった?


「……まだあった」

「砂浜に打ち上げられてるじゃないか」

「…………あ、これもう動かせるのね」


『んにぃ……ぽよ?』


「「かわいい」」


:かわいい!

:ハモったw

:地球外生命体にもこのかわいさは伝わった

:やっぱすげーよポービィ


「3Dなんだ〜」

「歩く度にぽよぽよしてる…」

「奥に進めばいいのかな?」

「看板あるし、そうなんだと思うぞ」


:ぽよぽよポービィ。かわいいね

:ここからスタートか!

:最近のポービィって3Dなの!?

:時代の流行を感じる

:新時代やね


「砂浜からすぐ森の中に来たね!」

「人の手が入っていない島を感じるな」

「えっと、Aボタンでジャンプ…とうっ」


─ぽーん!


「音までかわいい!」

「その足でその高さのジャンプ…!? ゲームとはいえ、不思議生物がすぎるぞ」


:ふぉーんって感じの音いいね

:不思議生物www

:驚くのはまだ早いぜミコちゃん

:イルカちゃんとミコちゃんで目の付け所が全然違うんだな

:だってイルカちゃんはその…ね?

:あんまり深く考えてないだろうからな

:言うなよ!


「ちょっとー! 私だっていろいろ考えてるんだからね!?」

「イルカさん、Bですいこみ? が出来るらしいぞ」

「おぉー! ポービィの代名詞的技、すいこみ!」


─ゴォォォォ…!!


「…勢い強くないか!?」

「だって、ポービィのすいこみだからね」

「いや、えぇ…?」


:草

:絶妙に理由になってなくて草

:ポービィの肺活量エグない?

:息を吸うのは息を吐くより何倍も力が必要なんだよなぁ


「だが、アクションゲームとしてこれをどうやって使うのかが分からないな」

「ミコちゃんミコちゃん、ポービィはすいこみだけじゃないんだよ! 見ててね! こうやって、星ブロックを吸い込んで…発射!」


─ポン!


─ベチッ!


「おぉ!? なんか飛ばした! …そうか、今のが攻撃方法なんだな?」

「それだけじゃないんだよ! 多分この後見れるからもう少し待ってね!」

「アクションゲームだからさすがにもっとあるか」


:アレだな!

:見たらミコちゃんが考えるのをやめそう

:リアクション楽しみ

 

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