第47話

 

「で、これから氷像を作るんだけど…とりあえず、ひとり1個作ろっか! ちょうど柱があるし」

「わかりました」

「了解だ」


:ひとり1個か

:面白そう

:氷像作りって難しくないか?

:イルカちゃんたちなら余裕でしょ

:道具とかなんも用意してないけど作れるのか?

:テーマとかあるの?


「テーマかー。何かあった方が作りやすいかな?」

「そうですね。なんでもいいとなると、漠然としすぎていて困りそうです」

「私もそう思う」

「じゃあ、テーマ決めないとね! 何がいいかな?」


:テーマっていうと、動物とかか?

:せっかくの冬休みなんだしなんか冬っぽいのがいい

:好きな物とかでいいんじゃねぇの?

:ヤヨイさんが銃とか作り出すぞそれだと

:草

:生き物に限定するのがいいのでは?


「ありだね! ふたりはどう思う?」

「いいんじゃないか? 動物なら種類も多いし、完成したらいい感じになりそうだからな」

「私もそれがいいと思います。記憶力が試されますね」


:動物…いろいろあるなぁ

:つまりイルカちゃんがリアルイルカ作るのか

:そんな安直なことしないでしょww しないよね?

:人間も動物に含まれる

:それやると銅像みたいになるじゃん

:どこぞの大学の学祭みたいになりそう


「氷を削れそうな道具……これでいいかな?」

「釘と金槌か。いいな」

「…なかなか上質なモノをお持ちなんですね……」

「よーし、それじゃあ作るよ! おー!」

「「おー!」」


:何でも入ってるな拡張空間

:パッと見普通の釘とハンマーなんだけど違うのか

:おー!

:おー!

:どんな仕上がりになるのか楽しみ



─カンカンッ!


「やっぱり難しいなこれ…」

「ですね。慎重にやらないと必要以上に削ってしまいますし…」

「そうなんだよ……って、隊長のそれ何作ってるんだ?」

「? 見て分かりませんか?」

「いや……」


:全然わかんないんだけど

:なんか角張ってるし虫系統か?

:いやいや鳥でしょどう見ても

:俺には四足歩行の動物に見えるんだけど…


「…いや、完成したら分かるか」

「ええ、絶対にわかりますよ。私が好きな海の生き物です」

(やべぇな。あれがなんなのか全く分からない…! ムカデかと思ったが多分違うだろうし…。てか海にいないな)


:海の生き物……????

:え、なんなんだこれ

:ヤヨイさん……もしかしなくても…

:芸術センス皆無なんか?

:ま、まだだ! もしかしたらここからトンデモ芸術作品になる可能性も…!


「…イルカさんは……すごい真剣な表情してるな」

「もうちょっと……よっし。あとはこっちを削って……」

「…イルカちゃんがイルカ作ってる…! しかも2匹…!」


:めっちゃ綺麗なんだけどww

:イルカちゃんがリアルイルカ作るの草

:ある意味予想を超えてきたな…

:大体4割くらい完成してるのか?

:まだちょっとポリゴンチックなところも多い


「なんというか…手慣れてる感がすごい。というかあれもう職人技じゃないか?」

「…そういえば、ドルフィン様は宝石加工のアルバイトをしていると聞きました。恐らくその影響かと」

「え、アルバイトで宝石加工ってできんの?」

「フロンティアではあるらしいですよ」

「す、進んでるな…」


:そういや言ってたな。いつかだったかは覚えてないが

:なるほど、宝石加工の技術か!

:アルバイト!?

:時給8000円くらいのやつでしょ?

:地球とは宝石の価値が違うんだろうな

:バイトでも何年もやってそうだな


「と、とにかく、私達も完成まで頑張るか」

「そうですね。私もかなり綺麗に作れているので、このまま完成までいきましょうか」

(綺麗……うん、綺麗だろう)



「暗くなってきたなぁ。…あ、そうだ!」

「ん? どうしたんだイルカさん?」

「それは……電飾ですか? …あぁ、なるほど。ライトアップですか」

「そう! ヤヨイちゃん正解! ぐるっと囲うようにして……」


:冬は日が落ちるのが早い…って、その星でも同じなのか

:暗くなってきたと思ったら30分で夜になってるよね

:電飾でライトアップか

:いいなそれ。なんで常備してるのかすごい気になるけど

:人数分用意してあるのか

:いやそれ以上持ってそうだけどね


「そしたらこれを…カチッとね!」

「へぇ、すごいカラフルだな」

「凄く高性能な電飾ですね。熱も発生してませんし」

「いいでしょこれ! 私が作ったんだよ!」


:きれー!

:作った!?

:そういうのって専門の資格とか…ハイドラだしいらないのか?

:電気で怪我とかしなさそう

:今更でしょ。ロボット作れるくらいだし


「もう少しでみんな完成かな? あとちょっとだね!」



「かんせーい! キレーに作れたね!」

「あぁ。初めてでも丁寧にやれば出来るもんだな」

「ですね! 私も満足のいく出来になりました!」

「「……」」

「(アレなに?)」

「(さぁ? なんか魚っぽい気はする)」


:888888!

:ミコちゃん初めてでも上手いな!

:イルカちゃんのヤバくね?

:ヤヨイさんの…ヤバいと思います

:語彙力が死んでいるのだ

:いや、ヤヨイさんの…何?


「そ、それじゃあ発表しよっか! 私が作ったのは『太陽と月』! ルナくんとソルちゃんだよ!」

「氷で波をこんなに作れるものなんだな」

「躍動感のある素晴らしい作品ですね。ふたりの楽しいという気持ちが伝わってきますね」

「隊長が評論家みたいなこと言ってる…」


:マジで綺麗!

:波飛沫の作りがプロやん

:むしろプロより上手いんじゃないか?

:これ1分の1スケール?


「すごいでしょ! 次は……ヤヨイちゃん!」

「私の作品名は『深海』です。クラゲ・ウツボ・チョウチンアンコウ・シャコ・エイ、その他小魚です!」


:…なぁにこれぇ

:いや、熱意は伝わるけどね?


「…どれが、どれだ?」

「これは…エイでしょ!」

「いえ、チョウチンアンコウです」

「……わからん」


:特徴は…とらえてるよ、うん

:すごいな

:シャコって深海にいるの?

:いるでしょ


「…最後は私のだな! 私のは『花と蜂』だ!」

「ハチがかわいい! 絵本から出てきたみたいだね!」

「メルヘンでかわいいですね。ミコさんらしいです」


:ふわふわしてる感じが好き

:リアルよりなイルカちゃんのも好きだけど、これはこれで好き

:ミコちゃん意外とメルヘン…?

:絵本とか読むのかな?

:かわいいじゃん


「うんうん! それじゃあ、いろんな角度から見て今日は終わろっか」

「そうだな」

「今日は長かったですね」


:これで明日も戦える

:仕事とですね?

:やめないか!


─この配信は終了しました─

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