第46話

 

一分間のカウントダウンを終え、雪合戦がスタートした。


それと同時に、イルカちゃんとミコのふたりがお互いに向けて投げ始める。


「それっ!」

「はっ!」


─ヒュン!


おおよそ雪玉からしてはいけないような音がしているが、当たってはいないので問題はないだろう。


:速すぎて草

:柱に当たった雪玉が原型をとどめてないんですが…

:これお互いに当てられなくね?

:動きのないヤヨイさん気になる


「危なっ! 腕スレスレ!」

「今の当たらないか…」


イルカちゃんが投げる瞬間の腕を狙ったミコだったが、僅かに外側を通ったため当たることはなかった。


:ミコちゃん惜しい!

:これ走りながら投げた方が当たるんじゃねーの?

:お!

:ヤヨイさん狙ってる!


「……!」


─ボスッ! バスッ!


「いてっ! え!? どこから!?」

「んなっ!? あっちか!」

「え、どこ?」


上半身だけを出し、投げた後すぐかがみながら穴を移動するヤヨイ。


投げた雪玉は命中し、カウントが2回になる。


イルカちゃんは分からなかったが、ミコは今までの経験から投げられた方向を瞬時に理解し反撃しようとする。


:当たったぁ!!

:命中!

:この戦法マジで草

:一人だけ本気度が違うじゃんw


(あ、今ミコちゃんこっち見てないし近づいて当てちゃお!)

(隊長のいる大体の場所はわかるが……近づくと蜂の巣にされるな…。イルカさんにも警戒しないと…どこいった?)


イルカちゃんは雪玉を両手に持ち、ジャンプでミコのいる柱の上に乗る。


:雪の上でそんなにジャンプできるのヤバいな

:ミコちゃん気づいて!

:いけー!

:気づいた!


「えい!」


─ビュン!


「のわっ!? 危ない!」


上からの攻撃を咄嗟に柱を押すように蹴り、反動で体を後ろへ動かすことで回避する。


「もういっぱーつ!」


─ボスッ!


「くっ…!」


雪玉がミコの腕に当たる。


(一旦離れるしかない! ここは隊長の射線に入っているしな!)


体勢を低くしながら別の柱まで走る。途中で雪玉を作りイルカちゃんの方へ投げながら。


─ボフッ!


「わっ! 今のすごいね!」

「…そこです!」


またヤヨイが雪玉を正確に投げる。柱の上にいるイルカちゃんに命中。


「うへぇ!? あ、そっちか!」


:イルカちゃんワンヒット!

:走り方すごっ!?

:ミコちゃん今のよく当てたな

:ミコちゃんナイスゥ!

:接触ぅ!

:ヤヨイさんwww

:少しずつ穴広げてそこから投げてやがるw

:被弾0


「よっ、と! いくよヤヨイちゃん! ほいほいっ!」

「当たりませんよ!」

「ごめんよく聞こえなーい!」


イルカちゃんはミコが作った雪玉を、ヤヨイがいそうな場所に適当に投げまくる。


─ババババッ!


「私の作った雪玉が…」


:マシンガンかよ!?

:腕腕www

:すごいスピードで雪玉が消費されていく…

:これは一流のピッチャーだわ



残り3分! 今大体みんな20回くらいは当てたかな?


相変わらずヤヨイちゃんは隠れながら投げてくるけど、近づくの難しいんだよねー。


ミコちゃんもこっち狙ってるし、どうしようかな?


うーん……。とりあえず、雪玉を持って走る!


─ヒュン!


「くっそ、当たらない!」

「……そこです!」

「もう当たらないよ!」


それはさっきも見たもんね! 歩幅を変えて対処!


:当たらないよ!

:どっかで聞いたようなセリフだ

:かわしてる!

:すごいわ

:雪玉の速度がエグイんだよな毎回


「くらえヤヨイちゃん!」

「ッ!」


─ボスッ!


「えぇ!? コントロールヤバっ!?」


:!?

:ファッ!?

:空中で相殺した!?

:なんじゃそりゃ……

:上手すぎだろw

:今のところほとんど当たってるからな


「チャンスだな? オラッ!」

「あっ、ぶっ!」

「モガッ…!」


:ヤヨイさんすごい声しなかった?w

:ダブルヒット!

:ミコちゃんやるぅ!


「まだまだいくぞッ!」



:残り10秒!

:いけー!

:頑張れぇ!!

:そこだ顔面狙え!


「物騒だなお前ら!? 危な!」

「惜しいですね…!」

「隊長!?」


:草

:8!

:勝ちにいってるwww


「高いから狙いづらいー! 当たれ!」

「ほっ!」

「待てー!」


:7!

:6!!

:ヤヨイさん逃げ切れるか!?

:柱の上を器用に跳び回ってんな


「スナイパーとは!?」

「隙ありだイルカさん!」

「きゃっ!」


:3!

:時間が!

:2!!

:いち!


─ピーッ!


「終了だぁ!!」

「ハァ…ハァ…しんど…」

「意外と短いですね」


:ミコちゃんバテバテやんw

:一人だけずぶ濡れwww

:かわいいですね!

:草


「いやー、楽しかったね!」

「そうですね。とても楽しかったです」

「楽しかったが疲れた…。というか! ふたりとも私のこと狙いすぎじゃないか!?」

「だって、ヤヨイちゃんに当たらないんだもん♪」

「ドルフィン様の高速移動に命中させるより、ミコさんを狙った方が早いですから♪」

「リンチなんだよ!」


:得点の方式がね…w

:当てた回数順だからな

:そりゃあ1番当てやすいミコちゃんを狙うよねぇ?

:悲しいね

:ほら、ミコちゃんも頑張ってた! すごいよ!(精一杯のフォロー)


「それじゃあ、結果発表といこうか! せーの、じゃん!」


『イルカちゃん:67回』


『ミコちゃん:60回』


『ヤヨイちゃん:113回』


「「桁が違う!?」」

「私の勝ちですね!」

「……ヤヨイちゃんって結構負けず嫌いなんだね」

「いや、なんていうか、『負け=死』の意識があるから…」

「なるほどー」


:圧倒的www

:強すぎるだろw

:ミコちゃんの二倍近く差があるぞ

:勝者ヤヨイさん!

 

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