第45話

 

「はーい! みんなこんばんは! 宇宙のイルカさんだよ! 今日は12月24日! クリスマスイブ! そーゆーわけで、サンタコスだよ!」

「なんで私まで…」

「まぁまぁ、いいじゃないですか」


:かわいい!!

:ドラゴンサンタとは珍しい

:ヤヨイちゃんエッッッッ!!

:似合ってるよミコちゃん!

:雪降ってんじゃん

:氷の山があるとこか


「今日はね! この3人で雪合戦と、氷像作りをするよ!」


:おぉ!

:寒そうw

:どんな氷像になるか楽しみ


「じゃあ早速、といきたいところなんだけど…そもそも地球のクリスマスって何かふたりは知ってる?」

「いや、知らない。地球の文化だしな」

「私もです。みなさまの反応的に、何かのお祭りでしょうか?」

「お祭り……なのかな? お祭り騒ぎにはなるけど」


:でっかいイベントだしまぁ

:イエス・キリストの誕生日じゃないの?

:聖誕祭やね

:ぼっちの祭典

:子ども限定でプレゼントが貰える日じゃん

:大体は冬休み


「かなりバラバラですね? 偉人の誕生日でしょうか?」

「いつもと違ってすごいな。で、結局何の日なんだ?」

「クリスマスはね、欲しい物がサンタさんからプレゼントされる日だよ!」


:そうだけどもww

:さては元々の意味をなかったことにしてるな?

:草


「なるほど。その『サンタさん』というのは特定の個人をさすものなのですか?」

「えっとね、説明が難しいんだけど…多分個人だと思う。フィンランドとかの北欧に住んでるらしいよ」

「北欧…って言われてもな」


:調べたらアメリカとかカナダら辺が拠点らしい

:何それww

:サンタクロースって120人くらいいるんじゃないの?

:多くねぇかな?

:公認サンタクロースか


「こ、公認? なんだそれは?」

「あーそういえば、サンタクロース協会みたいなのがあったような気がする」

「それはつまり……どういうことでしょうか?」

「職業:サンタクロースってことだよ!」

「「???」」


:職業サンタwww

:協会なんてあんの!?

:世界の子どもたちに夢を与える仕事です

:収入あるのかそれ?

:ないでしょ


「……ドルフィン様」

「なにー?」

「つまりサンタさんというのは、元々は個人であったものが集団化した存在ということですね!」

「多分そう!」

「…定義とかないのか?」

「知らなーい」

「いいのかそれで…」


:草

:珍しくテンションの高いヤヨイさんだ!

:イルカちゃん適当だなw

:サンタに定義とかあんのかな?

:草

:ほっぽり出したw


「で、なんの話だっけ?」

「クリスマスは何の日か、という話ですね。そこからサンタクロースにズレましたが」

「そうだったそうだった」

「子どもにプレゼントを与えるなんて、とんだお人好し集団だな」


:子どものためだから

:お人好し集団…いえてる


「それじゃあ、そろそろ雪合戦やろっか! 範囲は色付きバリアで囲ってあるからね!」

「若干赤いのはバリアだったんですね」

「…こんな遮蔽物がなんも無い所でやるのか?」

「ないなら作ればいい! ふーっ!」


─パキパキ…!


:なるほどな。氷の壁ってわけか

:綺麗な氷

:透き通ってる!

:…え、氷のブレスに対するツッコミは?

:イルカちゃんリスナーはこれくらい見慣れてるのだ

:マジかよ…


「どのくらいの高さにする?」

「5メートルもあれば問題ないと思います」

「いくつ作る気だ? あんまり多いと大変なことになりそうだが」


:こういうのって調節ムズいよね

:わかる。自作マップとかね

:FPSゲームを参考にするしかないな!

:範囲そこそこあるし、4、5くらいが良さそう


「そうだね! じゃあ、高さも変えて──」

「それならこういうのはどうでしょうか──」

「ならこういうのはどうだ?──」



「かんせーい!」


:めっちゃ綺麗!

:壁っつーか柱だ

:アスレチックみたいになったな

:いい感じじゃん!


「意外と楽しいな、こういうの」

「そうですね! 私も高台作りにはこだわりましたし、かなり良い場所になりましたね!」

「隊長テンション高いな!?」


:ふんす! ふんす!

:(`・ω・´)フンスッ!

:かわいい

:可愛い


「じゃあ、そろそろ始めるよ! 制限時間は10分間! 雪玉を当てた回数が1番多いひとが勝ち! 判定は四隅のセンサーがやるからね! 1分後にスタートするよ! カウントダウン開始!」



まず最初に動いたのはイルカちゃんだ。


ダッシュで一番高い柱の下まで移動し、雪玉を量産し始める。


:雪玉職人!?

:上じゃなくて下にポジションとるのか

:それアリ?


「いいのかそれ!?」

「ルール違反じゃないからアリ!」

「ならこっちだって!」


それを見たミコも、二番目に高い柱の下で雪玉を量産し始める。丁度イルカちゃんとは柱を隔てる形になった。


:いいね〜

:…あれ、ヤヨイさん?


ヤヨイは辺りを見渡している。


「……ここですね」


─ボフッ! ボフッ!


:え、何してるんだそれ

:雪掘ってる?

:……まさか

:おや…?

:…………ヤヨイさんはスナイパーだからなぁ


ヤヨイはイルカちゃんとミコのふたりを狙える位置に穴を掘った。ご丁寧にその穴が目立たないよう、近くに高低差を作ることも忘れていない。


:ゲリラ戦法だと!?

:www

:マジかwww

:やべぇめっちゃカオスな展開になりそう


─ピーッ!


「スタート!」

 

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