第44話 浮島3

 

「たかーい!」


:ひえ〜!

:飛行機の飛ぶ高さくらいある?

:星の丸さが分かるのヤバい

:標高何メートルなんだよそこ……

:こんなところから水が流れてきてるとは


「まさか私もこんなに高いところからとは思わなかったね。しかも、水源は雨水っていう」


:これ以上ないほどに原始的

:とんでもないゴリ押し感

:雨水のくせにめちゃくちゃ綺麗なの腹立つ

:神殿の至る所水が溜まってたのはそういうこと…?


「多分そうだね。ため池的な?」


:そんなに雨降る?

:今めっちゃ晴れてるしな

:季節によって降水量変わるんじゃね?

:でもなんかあの滝と釣り合ってないような気がする


「季節で変わるのはありえるね! ほら、あそこ海だし」


:気団がどうこうみたいなやつか…

:お、記念配信の海じゃん

:台風の影響とかも……あるか?

:ゼロではないと思う

:てか水凍らないそれ?


「うーん…大丈夫じゃない? 水温は5度くらいだけど、気圧低いし」


:気圧が低いと凍らないの?

:多分そう

:部分的にそう

:気圧が低いと簡単に沸騰するしそんな感じ?


「そんな感じ! 詳しいことは自分で調べてね!」


:はーい

:素直だな…

:ちょっと物理の教科書買ってくっか

:本格的すぎね?

:気圧って物理の範囲なん?

:そうだよ


「さて、と。このあと何しようかなー。スカイダイビングでもする? みんなは何かあるー?」


:まだ浮島全部まわってなくね?

:オタカラ探そ

:神殿の宝とか厄ネタ感ヤバいだろw

:この島が浮いてる原理は…?


「全部探索してもいいんだけど、そうすると次来る時の楽しみが減っちゃうじゃん?」


:な〜る

:次は誰かと来るのか?

:ヤヨイさんじゃね?


「その時に暇なひとになると思う」


:なるほどミコちゃんか

:ミコちゃんだな

:暇人のミコちゃんってわけね

:草

:暇人=ミコちゃん

ミコ:おいお前ら!

:ファッ!?

:見てるwww

:本人降臨草


「あ、ミコちゃん! 今度一緒に行こーね!」


ミコ:あぁ。いつでもいいぞ

:いつでも?

:じゃあやっぱり暇アンドロイドなのか…?


「こらこら、あんまりミコちゃんのこと弄らないの! てゆーか、それだと私の方が暇なハイドラってことになっちゃうし!」


:確かにそうだw

:元々の動機が『暇だから』だもんなイルカちゃんは

:俺らよりもよっぽど暇してる

:休みが欲しい

ミコ:仕事が欲しい

:草


「それで、結局このあと何しよっか? 探索以外でね」


:限界高度スカイダイブ

:ティアキンじゃん

:逆に宇宙まで行く

:飛ぶ

:そういやイルカちゃんが背中の翼でちゃんと飛んでるとこ見たことないな

:浮遊はこの前やってたけど


「あー、そーいえばそうだね。それじゃあ、最後はこの神殿の頂上から飛んで帰ろっか!」


─バサッ!


:やー、いつ見てもカッコイイねぇ!

:ワイルド味が増してる

:結構ゴツいよね

:それがいいんじゃないか


「好評みたいで何より! いろんな人に褒められるとやっぱり嬉しいね! それで、頂上は…あそこだね!」


─シュッ!


:おぉー!!

:スゲー! ちゃんと飛んでる!

:風の音すごいな!?

:いやそれより翼のスピードエグくね?!

:スピードはなんかもう慣れたよね

:えぇ……


「ふふっ♪ もう頂上に着いたよ♪ みんなはここから、ついてこられるかな?」


:む、むりー!

:戦闘機持ってこーい!

:速すぎィ!

:ヘリコプターヒア…!

:高性能ドローンじゃ駄目か?


「冗談だよ! ちゃんとみんながついてこれるように、滑空だけにするからね! 飛べるならついてこれるはずだよ!」


:いや、あの…

:飛ぶ手段ないっスねー

:やっぱヘリコプター必要やん

:それはプテラノドンの滑空みたいになるのでは?


「プテラノドン……あー、ワイバーンのか」


:プテラノドンはワイバーンだった…?

:どゆこと?

:ワイバーンの1種ってこと?


「そうそう。魔素を使わない原始的なワイバーンなんだよ!」


:原始的…ではあるか

:え、ワイバーン魔術使うの?

:ファンタジーだな……


「使うよ! 体内の魔素を…なんていうのかな、人間でいうところのリンパ管? みたいなところでグルグルすると、電子基板の回路みたいになるんだよね」


:ほへー、なるほろ

:わかってねぇな?


「って話が逸れてるね…。じゃあそろそろ滑空するよ! ついてきて!」


:ついてく!

:I can fly!!

:配信者にどこまでもついていくリスナーの鑑


─タッ!


:足場がねぇ!

:高っ! 怖っ!

:飛んでるよー!!


「いえーい! この翼は飾りじゃないんだぞー!」


:イエーイ!

:…スピードすごくない?

:滑空だけとは!?

:もう浮島から結構離れてるよね!?


「このまま行けるとこまで飛んでいこ!」



「あ、最初の遺跡見っけ! ほら、あれだよ!」


:目立つなあれ

:森の中にある建物だからねぇ

:懐かしい

:あの時の刀まだある?


「あるよ! 大切にしまったままだからね!」


:最後に使ったのいつだっけ?

:覚えてないわ

:そんなのあるんだ


「思えばあの遺跡も、まだよく分かってないよね」


:それな

:解読不能な本もありましたねぇ


「よく覚えてるね。いつか解読出来たらいいな♪」



「空の旅はこれで終了! いやー、辿り着いたのがまさか最初に配信したクレーターになるとはね!」


:すごい偶然

:いや奇跡だろ

:おいおい、そーゆーのは運命って言うんだよ

:なんかロマンチストがいます!?


「ロマンチックな人は私結構好きだよ? だって、夢がないより何倍も素敵じゃん!」


:……星でも見てくるか!

:あー、なんか運命を信じたくなってきた

:草

:イルカちゃんに好かれたいやつ多すぎww 俺もソーナノ


「それじゃあ、今日はこれで終わろうかな! バイバーイ!」


─この配信は終了しました─

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