第42話 浮島1

 

「ここにあるのは滝!」


:滝だけどw

:それより滝つぼの大きさの方に目がいくんだよな

:崖の上から見下ろすのは気分がいいね

:滝太すぎない?


「それじゃあ、ここで問題です! この滝はどこから流れてきてるでしょーか!?」


:普通に山…

:山ないっすね…

:どこからって上しかないでしょ

:え、空から?


「正解! この滝は浮島から流れてきてるんだ!」


カメラを上に向けて、写ってるね!


:ほんとに空から流れてきてるとは…

:そもそもどうやって浮いてんだ?

:なんかもうこの程度じゃ驚かなくなってきた自分に驚いたんだよね

:驚いてんじゃん


「どうやって浮いてるのかはこれから調べようかな。多分だけど、反重力鉱石があるからだと思う」


:反重力! なるほど、そういうのもあるのか

:この星にも色々ありすぎじゃね?

:地球が何にもないだけな気が

:てかどうやってそこまで行くん?


「どうやって、かー。うーん、そうだな〜……普通に飛んで行くんじゃ面白くないよね。あ、そうだ! せっかく滝があるんだし、『たきのぼり』をしようかな!」


:飛ぶだけでもすごいんだけどな

:滝登り!?

:めっちゃ簡単に言うやん


「実際簡単に出来るよ! 落ちてくる水と、自分に掛かる重力を振り切るスピードで上に泳げばいいだけだからね!」


:人類には不可能やんね

:全然『だけ』じゃないよな

:すごいこと言ってるけど、これがハイドラの普通なんだ

:やべぇな


「まずは滝まで行かないとね! とーうっ!」


:ジャーンプ!

:ヤバいヤバい!?

:紐なしバンジーじゃん


─バッジャーン!!


:水しぶき高!

:すごい音したんですけど…

:音がwww

:服びちゃびちゃだろ


「たーのしー! いいねこれ! 今度みんな誘ってみよー」


:楽しいのか…

:飛び込みやる人いるかこれ

:ヒバナちゃんならやるんじゃない?

:いや、この時期に飛び込んで寒くねぇか?


「そこまで寒くないよ。水温は7度くらいだからね」


:寒いじゃねぇか

:そっちは暖かいのかと思ったら普通に冬だった


「あ、そっか。そろそろクリスマスか! 予定考えておかないとだね!」


:クリスマス…? 予定…?

:今年は平日だから仕事かな!(白目)

:別にクリスマスなんて興味無いですけど? 勘違いしないでもらっていいですか?

:阿鼻叫喚


「ほ、ほら! 予定なんてなくても、みんなは私と一緒に配信で楽しんでくれればいいな〜…なんて」


:その優しさが心に沁みる…っ!

:カハッ…!

:イルカちゃんといればクリぼっち回避だな!


「はいこの話終わり! 今は、これから滝を登る私を見ててね!」


─ザザザザー!


:滝の音がうるさいんですが…

:仕方ないだろ

:滝太すぎ


「カメラはちょっと遠くからにして、と。それじゃあ! 行くよ! ついてきて!」


:ついて…ける気しねぇ!

:カメラがあってよかった


1回下に潜ってから…一気に!


─バシャバシャ!


:登れ…てる!?

:すげぇ!

:えぇ……

:イルカちゃんは水タイプだった…?

:脚の動きやば

:そりゃイルカって自称するくらいですから

:そもそも光の速度で移動できるんだから滝登りくらい出来るよねっていう

:確かに


「すごいでしょ!」


:凄いんだけど、喋れてる方が凄く感じるわ

:水の中で発した声って聞こえるもんなの?

:知らね


「それにしても、この滝って何メートルくらいあるんだろうね」


:この状況で会話するの!?

:嘘でしょ…

:確かに何メートルあるか気になるな


「そろそろ浮島に近づいて来たね。頭ぶつけないように気をつけないと」


:そうだけど…! そうだけども…!

:いいのかそれで

:最近はおとなしくしてたと思ったらこれだからな

:それじゃまるでイルカちゃんが問題児みたいじゃないか

:昔っからそうなんだと思う


「失礼な! 学校だと成績優秀なゆーとーせいだったんだからね!」


─ペチッ!


「ぅえ!? 今なんかツノに当たった!?」


:当たったか?

:よく見えなかったからわからん

:音もあんまり聞こえないしな

:魚みたいな影はあった


「ってかそろそろ到着だよ! とうっ!」


─バシャッ!


勢いのまま一回転!


「着地点はー、バリアの上で!」


─スタッ


:綺麗な着地

:待って、城なかった?

:水の上に立ってるようにしか見えない

:やっぱ綺麗だよな

:ここが浮島か…!

:意外と草とか生えてるのな


「お城? …あ、ホントだ! 奥の方にある!」


:!?

:マジじゃん!

:久しぶりの文明の跡


「とりあえず…服を乾かし─たから、行ってみよっか!」


:今の一瞬で何が!?

:また魔法陣君か(世界観)壊れるなぁ

:ある種の科学として納得するしかなさそうだな

:ドライヤーみたいなもんか?


「そうだね。これ結構便利なんだ! 1番便利なのはバリアなんだけどね」


:あの一瞬で乾かせる熱量とかエグいな

:ドライヤーいらずって点では便利か

:電気代が浮く

:冬場のエアコン代が浮くか


「…なんかあれだね。今の見て『電気代』っていうワードが出てくるあたり、今の日本って平和だよね」


:それはそう

:すーぐお金に繋げるから

:未知への好奇心<我が家の電気代

:現実的だぁ

:平和なのはいい事


「たしかに平和が1番嬉しいからね。電気代のことを考えられるくらいには余裕があるわけだし。…ある意味余裕はないのかな?」


:家計が火の車です。助けて

:草

:切実で草

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