第36話 準備3

 

「─で、結局1つ前の熱い星でお兄様はヤヨイちゃんと一緒に私たちとは別行動になったんだよね」

「寄り道だと言ってたが、合流するのか?」

「しないでしょ、お兄様だし」

「…その信頼は何なんだ……」


:別行動なのか

:今日は見れなさそうだな

:お兄様もっかい見たいんだけどなぁ

:その熱い星気になるわ

:……お兄様、マグマに脚突っ込んでたってことでいいのか?

:話を聞く限りではそういうことだよな…

:どういう感覚なんだろ


「人間にとってのぬるま湯じゃない? それか温泉くらいかな」

「規格外もいいとこだなおい」

「私も平気は平気なんだけど、服はそうじゃないからね。竜形態になれば、着てる服は体内に取り込めるから燃えなくなるけど」

「なんだそれは……」


:マグマがぬるま湯て…

:ま、まぁ、ドラゴンだし?

:限度があるだろ…

:神は調整を間違えたんじゃないか?

:イルカちゃんもヤバい…ってそうか、妹だもんな

:イルカちゃんの竜形態気になる

:服が破れたりはしないのか


「大昔は破れるのが普通だったから、みんな竜形態になることはあんまりなかったらしいよ。でも、そのちょっと後くらいに自分の体細胞を交ぜたハイドラがいたんだよね」

「そしたら体内に取り込める事が分かった…とかか?」

「だいせいかーい!」


:細胞を交ぜ込む発想すごいな

:てことはイルカちゃんのその服もか

:人間でも骨にボルトいれるし、そんな感じか?

:なんか作るの大変そう

:オーダーメイド?


「オーダーメイドのひとの方が多いかな」

「そうじゃない場合とかあるのか?」

「血液型」

「…なるほど」


:??

:何が『…なるほど』なんだ…

:遺伝子とかそういうのでいいのか……?

:やべぇわからん


「というか、ものすごく話が逸れているが…」

「あ、そうだね! えっと、それで…………私たちがこの後することについてだったね!」

「なんか微妙に話変わってないか?」

「まぁいいでしょ!」


:この後何すんの?

:ワープ装置使ってなんかやるんでしょ

:羽のない扇風機…

:まだ言うか


「んー、ワープ装置を使うのはもうちょっと掛かるんだよね。だから、これからやるのは…コレ!」

「なんだそれ」

「バレーボールとネット!」

「???」


:水の上で??

:バリアあるけど…見えなくね?

:イルカちゃんとミコちゃんだとバレーボール簡単に割れそう

:ふたりでスポーツってわけね

:ミコちゃんフリーズしかけてるぞww


「てことでミコちゃん! コートつくるよ!」

「…あ、あぁ。私は何をすればいい?」

「これ持ってて! あと、そこに立っててね!」

「わかった」

「……ふー!」


:久しぶりの火…じゃない!?

:そこバリアないのね、ってぇぇえ!?

:凍ってる!

:海凍ってる!

:やばすぎんだろ…


「…よーし! これくらいあれば充分かな!」

「半径…約7000mmか。……海の上だし、普通に揺れているな」


:広い

:7メートルか

:なるほど、この上でバレーをするんだな

:……氷の上で?


「そうだよ! いつもの星とは重力が違うから、やってみたいなって!」

「確かに、いつもの星より軽いから面白いかもな」

「でしょ!」


:おもしろそ〜!

:理由まで軽いのな

:草

:イルカちゃんらしい

:どこの星でも同じなんだな


「それじゃあ、そのネットの反対側持っててー」

「…氷の上で大丈夫なのか?」

「面白そうでしょ?」

「そのうち溶けて大変なことになりそうだな…」


:すっ転ぶミコちゃんの姿が見える見える…

:サーブで転びそうw


「なんで私なんだ!? そこは普通イルカさんだろう!?」

「ミコちゃん?!」


:草

:ちゃんと失礼なこと言ってて草



「じゃあ、手と足以外で返すのはナシのルールでやるよー!」

「ハイドラに体力勝負とか、私が勝てるとは思えないんだよな」


:イルカちゃんの無双始まるか?

:いやミコちゃんならなんとかいけるさ!

:1ヶ月くらい前の将棋とは訳が違う

:頭脳プレイしか勝ち目ないか

:イルカちゃんいけー!

:ミコちゃんもがんばえー


「先攻は私から! それっ!」


最初は様子見といったところか? なら余裕を持って返そう。右足で─


「ほっ!」


:足!?

:上手いなミコちゃん


「ネットギリギリだ!? えいっ! あっ!?」


─パキ…!


ん? 変な音がしなかったか? …気のせいか?


まぁいい。ボールの位置は高いな。丁度スパイクを打てそうなくらいに。


:いけー!

:ミコちゃん打てー!

:いきなりチャンスキター!


「ヤバいー!? いやでも、私のスピードならブロックできるもんね!」

「なら全力で打ち込ませてもらうぞッ!」


思い切り踏み込んでジャン─


─バキッッッ!!!


「え?」

「あ」


:あ

:あ

:あ


─バシャアアァン!! 


「なんでだあああアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」

「アッハッハッハッハッ!!」


:割れたァァァ!?

:完璧すぎるwwww

:『なら全力で打ち込ませてもらうぞッ!』から『え?』の流れが完全にお笑い芸人なんよwww

:転ぶよりひでぇwww



「ずぶ濡れになるし、試合にも負けるしで酷い目にあった……」

「……フフッ」

「イルカさん!」

「ごめんごめん♪ でも楽しかったでしょ?」

「いや、楽しかったけどな? それ以上に疲れたわ…」


:やっぱりミコちゃんはポンコツ美人じゃん

:かわいそうはかわいい

:結局3回も氷割るとは…


「重力が軽いからいけると思ったんだがな…」

「氷って簡単に砕けるからね〜」

「金属の強度なら完璧にわかるというのに…!」


:でもオーバーヘッドキックで蹴ったボールが氷割ったのは正直めっちゃかっこよかった

:最後の方穴だらけだったのホント草

:今日はもう終わりかー


「そうだね! 今日の配信はこれで終わり! あ、そうだ」


:どうした?

:?

:なんかあるのか?


「明日の配信は一日中する予定だよ! 地球でね! それじゃあみんな! また明日!」


:!?

:は!?

:詳しく!?

:ちょ待


─この配信は終了しました─

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