第32話
秋の季節って、個人的にすごい好きなんだよね。
暑すぎず寒すぎずみたいな温度の感覚をハイドラはあんまり感じないんだけど、それでも人間の頃の感覚で過ごしやすく感じる。
秋にしか見れない植物、虫とか食べ物。そーゆーのもあるし、見える星座も変わる。まぁ、天の川銀河は遠すぎてただの点サイズなんだけどね。
そんなこんなで秋の森。
「あ、コオロギみっけ」
:ほんまや
:コオロギ…にしてはちょっとデカくない?
:キモっ!?
:また新種かよ……
:手のひらサイズの虫とか怖
「じー……」
『……』
:……w
:草
:鳴かないw
:全然鳴かねぇwww
:メスなんじゃね?
「むむむ……」
『……ピリリリリリリリリ!!!!』
「わっ!?」
:うるさっ!?
:鳴き声でかw
:急に鳴くやん
「すごい大きな声で鳴いて『ピリリリリリリリリリ!!!』音自体はキレーだね!」
『ピリ!』
:うるせぇ!
:イルカちゃんの声が半分くらいしか聞こえない
:音自体は確かに綺麗だよな
:鳴きやまないな
:体がでかいと声もでかいのか
「すごいね、キミ。じゃあねー」
『ピリリリリリリリ!!!!』
『ピリリリ! ピリリリ!』
:なんか増えてんぞww
:うるささ2倍!
:秋の静けさとはかけ離れてるなー
◆
「おぉー! すごいカラフルなキノコだぁ!」
:明らかに毒あるだろこれw
:すごくカラフル!
:赤と青と黄色ってヤドクガエルみてーだな
:一つだけぽつんとあるのがまたやばさを増長しとる
:食べるの?
「うーん、どうしよかな〜? おいしいなら食べるんだけど、高く売れるなら食べないかな?」
:そうか、売る選択肢もあるのか
:誰に売るんだよ
:ハイドラには毒とか関係ないのね…
:隕石が主食の種族だ。面構えが違う
:俺らからしたら隕石の方が価値があるけどな
「えっと……あったあった、密閉袋。ほい、っと」
:やっぱその拡張空間便利だよなぁ
:魔法とかじゃなくて単なる科学技術で出来てるってんだからな
:ブレスレットサイズの機械でこれはヤバい
:果たして今後このキノコは売れるのか
「売れるといいなー。そしたらおいしいアルミニウムを買って…焼いて食べようかな! みんなも食べる?」
:やめてください死んでしまいます
:我々の業界でも拷問です
:焼き魚じゃないんだから
:熱めのお灸で勘弁して下さい
:焼き土下座ならぬ焼アルミか……
:会長もドン引きだよ
◆
「おぉー! 夕焼けすごいキレーだよ!」
:空が金色!?
:スクショスクショ!
:眩しいがすごく美しい
:なんか降臨しそう
「良いねいいね! こーゆー未開拓の自然溢れる場所から見る空って、ホントに幻想的で素敵!」
:わかるわぁ〜
:やはり山…! 山は全てを解決する…!
:イルカちゃんの星じゃ見れんの?
「夕焼け自体は見れるんだけど、自然に囲まれながらってゆーのは難しいね」
:そうなのか
:なんか意外だな
:環境保護団体とかいるんじゃなかったっけ?
:なんか言ってたな
「環境保護団体は自然を守ってるわけじゃなくて、私たちハイドラが過ごしやすい環境をメインで守ってるんだよね。植物とかは3番目くらいかな?」
:ほへぇー
:じゃあ植物よりもビルとかを守ってるってこと?
:そっか、環境って自然だけじゃないもんな
:俺らのところとはかなり違うね
「そりゃあ違うよ〜。だって何もかもが違うんだから。でも、こうやってコミュニケーション取れるから、そんなに離れてはないと思うけどね♪」
:実際にドラゴンも配信するわけだしな
:でも話を聞いてる限りだとイルカちゃんだけがだいぶ特別な存在なのでは?
:割と特異点
:お兄様もこのカメラ作るくらいだから配信の概念は知ってるってことか
:ハイドラとはいい関係を築きたいね
:いつ日本に来られてもいいようにしとかんと
「配信の概念自体は何百年も昔からあるね。もちろんお兄様も知ってるよ。それで、いつ日本に行けるかだけど……」
:だけど…?
:行けないとは言わないのか
:いつ?
:来れるのか?
「あと1年は掛かるかも」
:一年!?
:1年で来れるんですか???
:40億光年のワープをするのか……?
:一年後が楽しみになってきたァ!
:まだ死ねないのぉ
「もしかしたら、それ以上の時間が掛かっちゃうかもしれないんだよね。あと、おじいちゃんは体を大事にしてねー」
:何年でも待つ
:むしろ1桁年で40億光年のワープが出来るようになる方がおかしい
:確かにそうだわ
「私たちからしたら、1年も10年もそこまで大きな差じゃないんだけどね? みんなはそうじゃないでしょ?」
:うん
:1年と10年じゃあ違いすぎる
:俺らにとっては大きな差
「だから、なるべく早くがいいんだけどね……」
:難しいものは難しいか
:こうやって配信してくれてるだけありがたいってもんよ
「…そう言ってくれると私も嬉しいな♪ でも、絶対に地球には行くからね! 特に日本には! 待っててねみんな!」
:視聴者一同、お待ちしております
:その時は盛大にお祝いしないとだな
:歓迎会でもしようか
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