第29話 工作2

 

「はーい! 宇宙のイルカさんだよ! みんなこんにちは! 今日は昨日の続きをやっていくよ!」


:こんにちは!

:こん!

:昨日は下半身部分しか出来なかったからな

:今日で完成するかな?


「それで、昨日はすごい時間掛かっちゃったでしょ? だから今日はサクサク進むように、その道のプロを呼んだよ!」


:その道のプロ?

:誰なんだ一体……

:ヤヨイさんじゃないのか


「は、ははは初めまして! アンドロイド部隊所属整備担当ミコだ!!」


:めっちゃ美人!

:ヤヨイちゃんと似たような服装だな

:確かに美人……www

:ガッチガチに緊張してるやんw

:草

:溢れ出すポンコツ美人感


「んなっ!? ポンコツだと!? 初対面で言うことじゃないだろう!?」

「まぁまぁ落ち着いてミコちゃん。みんなもそーゆーこと言わないの」


:はーい

:ういー

:ミコちゃんが機械作りのプロですか

:かわいいね


「か、かわいい…!?」


:……お?

:おや?

:かわいい

:カワイイ!


「……はっ!? い、今のは忘れろ!」

「かわいかったよ!」

「ゃ、やめてくれイルカさん!」


:切り抜きされるぞ多分

:イルカちゃんの配信には美しいものばっか登場するな



「おぉー! 上半身完成!」


:早い!

:カッケー!

:昨日より早かったな

:ミコちゃんがいるからだな!


「そうだね! ミコちゃんありがと!」

「…別に感謝されるようなことはしてない。これが私の仕事だからな」


:ツンデレか?

:白髪ロングツンデレか…

:推せる


「う、うるさい!」

「あはは♪ にしても、ミコちゃんってコックピットとか作るの上手いね!」

「あ、あぁ、昔から何度もやっていたからな。この程度は慣れたもんだ」


:へぇー、すげーな

:プロっていうのは嘘じゃないね


「それじゃあ、後はこれを下半身部分と合わせるのと……あぁ、武器も作らないとね!」


:エネルギーソードとビームリボルバーか

:作れ…るか

:まぁ作れるだろうが

:これだけでも本当に動くのか気になる


「動くよね?」

「動くぞ。私が手を貸したんだからな」

「なるほどね!」


:自信がすごい

:見てたらすごいのはわかるわ

:ドヤ顔かわいい

:せやな


なんかみんなの語彙力が死んでない? ミコちゃんがかわいいのはわかるけどね。


「だがそうだな、一回テストしといた方がいいかもな」

「んー、ミコちゃんが言うならそうしようかな。じゃあ、あっちにある下半身を─持ってきたよー」


─ガシャン!


「!? い、イルカさん! それ驚くからやめてくれないか!?」

「あ、ごめんごめん♪」


:ミコちゃんびっくりしすぎでは?

:せやせや

:草

:いや俺らが慣れてるだけじゃねぇかな…?

:まるで時止めだよなぁ


「と、とりあえず下半身部分の固定をしないとな」

「あっちの台座持ってくるね〜」

「わかった。なら、私は上半身部分をクレーンアームで持ち上げておく」


:おぉ! アームがひとりでに動いてる!

:いかにも最新設備!

:動いてるのにめっちゃ静かじゃない?

:自動ってのはすごいな


「あ…いや、自動じゃないぞ? 全て私が操作しているんだ」


:やば

:脳波コントロール的なあれですか?


「脳波コントロール……厳密には違うが、大体そんなところだな」


:ミコちゃんすごいな

:整備担当なだけあるな

:是非ともうちの工場に…


「あー…悪いが、私はここで終身雇用だ。あとミコちゃん言うな。年上だぞ」


:引き抜きは無理か

:わかったぜミコちゃん!

:了解だ!ミコちゃん!

:ばっちりと理解したぞ、ミコちゃん


「何も分かってないだろうそれは!?」

「ふふっ♪ 緊張は解けたかな?」

「いや、確かに解けたは解けたけどな? それ以上に腹が立っているだけなんだよな…」

「まぁまぁ、親しみがあっていいと思うよ? それで、ここに置くけどあってる?」

「整備担当に親しみなんて必要か……? いや、もうちょっと右…56ミリメートルくらいで頼む」

「おっけー」


:なんでミリメートル? センチで言わんの?

:工業系だとmm表記なんだよな

:そんだけ細かいって認識でおk?

:多分そう。部分的にそう

:マイクロメートルの世界だから…


「これでいいかな?」

「あぁ、完璧だ。さすがハイドラだな」

「ありがとね! それじゃあ、合体だー!」


:こうしてみるとデカいな

:これ何メートルある?

:下半身だけでもイルカちゃん3人分くらいあるしな

:160だとしても480…約5メートルか

:上半身はイルカちゃん二人分?


─ガシャン!


「……接続完了」

「やったぁ! じゃあ早速……って、動かすにはまだエネルギー足りないかな?」

「そうだな。まだ起動すらしていないし、してからも最低限のエネルギー確保までは10分は掛かる。というか、ここで動かそうとしないでくれないか?」

「あ、ごめんね」


:草

:室内で動かすやつじゃないだろw

:最低限10分で動くんですか…?

:作ってる時から分からなかったが、とんだオーバーテクノロジーだよホント

:これ地球に持って来るとか…無いよな?


「うーん、どうだろ? いつか行けるようになったら持っていくかも?」

「…私はおすすめしないぞ」

「え?」

「私たちからしたらこの程度は『よく出来た玩具』の範囲内だが、地球からしたらこれはオーバーテクノロジーなのだろう?」


:これがおもちゃだというのか…

:技術レベルが違いすぎる!

:そうなんだよな


「持ち込んだりなんかしたら、ろくな事にならないのは目に見えているぞ?」

「…そっかぁ。じゃあ、持ってくのはやめておこうかな。今はね!」

「今は、って……多分あと300年は無理だと思うぞ」


:残念

:でもそうだよな。世界のバランスが崩れちまう

:俺らからしたら充分兵器だもんな

:いい感じに宇宙服に転用できそうな技術とかいっぱい出てきたのに…


「よーし…気を取り直して、と。次は武器を作るよ!」

 

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