第28話 工作1

 

「……ん?」


配信アーカイブについてるコメントを眺めていたら、気になるものを見つけた。


『スペースコロニーとかあるなら、モビルスーツの一つや二つくらいありそう』

『わかる。普通に倉庫に置いてありそう』

『なんならイルカちゃんも持ってそう』


拡張空間に……うーん、これはちょっと違うかな。ただのメカアーマーだし。地球の技術では再現できないだろうけどね?


どうせなら、もっと大きいのがいいよね。


ヤヨイちゃんはそーゆー兵器はほとんど解体して残ってないって言ってたし、自分で用意するしかないかな。場所は借りればいいし。


使えそうなパーツはいい感じに揃ってるし、作ろうか。機械兵装。


もちろんみんなと一緒にね!



「─それじゃあ、全体のテーマは『主人公が最初に乗って、終盤に最新型に乗り換えらるけど、最終決戦でもっかい乗る機体』に決定!」


:すっげぇ具体的なのになったな

:激アツ展開やん

:なんか見たことあるわそういう展開w

:かなり難易度高いぞ?

:そもそも誰も作れるかどうかを疑問に思わないのか…?

:だってイルカちゃんだし

:次は色か?


「そうだね! 何色がいいかな? 私は青とか白とかが正義の味方っぽくていいと思うんだけど」


:黄色とか?

:正義の味方っぽいね

:やっぱ青だよな

:黒ベースもかっこいいと思う

:あえての赤黒

:真っ白も悪くない

:金色はどうだ?


「むむむ……色は後回しにしないと決まらなそうだね」


:色は難しい

:しゃーないね

:じゃあ何決めるの?

:装備じゃね?


「うん。装備決めよ装備! 近接武器と射撃武器で2つね!」


:二つか

:少なくね?

:最初の機体なんてそんなもんだよ


「近接武器の意見あるひとー! どうぞー!」


:パイルバンカー!!

:剣!

:拳で

:主人公だからエネルギーソードだろ

:初手パイルバンカーは草

:斧!


「おー、エネルギーソードはありだね! いかにも主人公っぽい! 決定!」


:くっ…パイルバンカーでは主人公足りえないというのか…!

:王道主人公だっつてんだろw

:作れはしそうだけどね


「よゆーで作れるよ。みんなが卵焼き作るのと変わらないくらいにね!」


:ハイドラにはめっちゃ簡単なんだなぁ…

:卵焼き作れません!

:草

:草

:それくらい頑張れよw


「と、とにかく、次は射撃武器ね! 主人公っぽい射撃武器……なんだろ?」


:アサルトライフルじゃ普通すぎるしな…

:いっそのこと、めっちゃピーキーな武器とか?

:リボルバー

:普通にビームライフルでは?

:バカでかいレーザー砲

:マグナムとかか?


「ビームリボルバーにでもする? あ、でもエネルギー系の装備ばっかになっちゃうなぁ。まぁ、それでも私はいいんだけどね」


:ええやん

:ビームリボルバーってなんだよ

:ビームリボルバーか…面白い…!

:宇宙でやり合うこと前提ならそれでいいっしょ

:SF味が出てて良きかな

:メインは剣でサブが銃か


「じゃあ射撃武器はビームリボルバーに決定! 機体性能はどうしよっか?」


:主人公機だしスピード重視だろ!

:最初の機体はバランス良くした方が良さそう

:最終決戦で乗るわけだから、何か特徴があった方が良さそう

:唯一無二の特性がクリティカルヒットするパターンか…


「なるほどなるほど。何か1つくらい特徴はあった方がいいかな? 専用機みたいでかっこいいね!」


:となると、火力よりはスピードタイプか?

:後半になるとインフレしだすからな

:わかる。専用機はロマン



「うへぇ、下半身までしか作れなかった……」


:なんで出来るんだよww

:全部決まってから3時間しか経ってないよね?

:イルカちゃんなんでも出来るやんけ…

:だって(ry


「今日はもう遅いからまた明日ね! じゃあねー!」


─この配信は終了しました─


……疲れたぁ!


いやー、久しぶりに工作なんてしたね。でも、結構いい感じに出来たんじゃないかな?


うーん……でも、お兄様ならもっと早く作れるしなぁ。まぁいっか! 私は私のペースでやればいいもんね!


ところで…配信途中くらいからずっと、そこの柱の後ろから私のこと見てるアンドロイドがいるんだよね。…光速移動。


「ミコちゃんだっけ?」

「なっ!? あ、あぁそう…です」

「配信が終わるまで待っててくれてありがとね♪」

「あ、いや…邪魔しちゃ悪いと思って…思いまして。隊長にも勝手に写り込まないように、と言われているのもある…ありますが」

「そうなんだ。あと別に敬語じゃなくてもいいよ? 慣れてないでしょ」

「……悪い。そうさせてもらう」

「うんうん♪ その方がおしゃべりしやすいね。あ、そうそう。ミコちゃんってさ、あーゆー機械兵装好きなの?」

「あぁそうだ。まぁ、私は整備モデルとして最初期に生まれたからってのもあるが……」


なるほどね。


「じゃあさ、ちょっとお願いがあるんだけど〜──」

 

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