第19話 海の中6 洞窟3


「あったあった、飲食店っぽいとこ!」


:意外と早く見つかったな

:やっとメシにありつけるってわけだな!

:ステーキ!

:肉料理から〜!


「いやこのお店今やってないからね!? まぁいっか。失礼しまーす!」


:うおっ、寂れとるな

:店内の塗装がボロボロだぁ

:廃墟だな

:なんか色々散乱してない?


「そうだね〜。これは……スプーンかな? よく今まで残ってた…ってこれ、駅のレールと同じ素材じゃん。この重さ……エオナシウムかな? それなら15000年経っても残り続けるのにも納得だね」


:エオナシウム?

:知らない元素出てきたな…

:レール=スプーン

:そのスプーンそこそこ錆びてるねぇ

:ちょっとそれ詳しくお願いします!!!

:必死で草


「えー、ご飯食べ終わったらでいい? 早く作って食べよ! みんなもそろそろご飯でしょ? それじゃあ、キッチン借りようっと!」



「まずは鍋を用意します! 拡張空間から出して、コンロの上に置くよー。そしたら水を入れて放置! 使うのはあとからだからね。それとまな板も」


:そのコンロ火出なくね?

:水着のまま料理するとかウケるw

:ガスが残ってるとは思えないな


「ガスなんてなくても、火は私が吹けばいつでも用意できるよ?」


:そうだったわ

:完全に忘れてた

:その手があったか


「次は野菜を切っていくよ! このなんかニンジンみたいなのと、ジャガイモみたいなやつね」


:みたいなっていうかそのものでは?

:そんなのいつの間に…


「一昨日くらいに見つけたんだ〜。そしたら、切る前に1回洗って……。あ、手も洗っとこ」


─ばしゃばしゃ


:さらっと魔術つかうなw

:マジでその魔法陣なんなの?

:水を出す魔術回路的な何かでしょ

:魔術師イルカちゃん


「うん、このくらいでいいかな? まな板にどーん。そしたら、バリアを薄くして……」


:ん?

:なんでバリア?

:何をする気?


「ほら、今包丁持ってないからバリアで切ろうかなって。刀で切るにはちょっと狭いからね〜」


:バリアで!?

:ちょっと何言ってるか分からない

:狭くなかったら刀で切ってたの……???

:便利すぎる能力だとこうなるのか…


「ほっ、ほっ…」


:すげー

:勝手に野菜が切れてるみたいに見えるな

:バリアにニンジンの色がうっすらと…w

:草


「よしよし、いい感じ! じゃあ次は─」



「じゃじゃーん! 完成! 遺跡周辺野菜カレー!」


:おいしそー!

:美味そうだな

:健康的

:めっちゃ大盛りだなw

:そんなに食べれる?

:まさか肉を入れないとはこのリハクの目を(ry

:節穴定期


「だって、私たちの主食隕石とかだもん。小さいのでも1ヶ月くらいは栄養足りるから、わざわざお肉食べないし…」


:なるほど……?

:やっぱ人間とは違うんやね

:効率めっちゃ良くね?

:食べようと思ったら食べられる?


「うん! てゆーか、むしろ焼き肉とか行きたい! エネルギー効率悪くても、楽しめそうだからね! まぁ、それは置いといて……いただきまーす!」


:いただきます!

:食べよ食べよ

:くそでかスプーン草

:今日もカップ麺です


「もぐもぐ……うん! すごいおいしい! いい感じに野菜の甘みとルーの辛さが合わさって、もう最高!」


:良いねぇ

:うわっ、すげぇ美味そうじゃん

:俺もカレーにすれば良かった

:ちょっと近くのカレー専門店に行ってきます


「もぐもぐ……もぐもぐ……!」


:めっちゃ食うじゃんw

:一心不乱やね

:かわいい



「ごちそうさまでした!! うーん、おいしかったね!」


:あの量を10分!?

:早すぎるだろ…

:俺まだ食べてんだけど…


「おいしいものは早く食べれちゃうよね!」


:そうだけどさぁ…

:胃袋ブラックホール

:そこらのフードファイターよりも食ってるよな

:さすイル


「ふー、ちょっと休憩。……あれ、今何時?」


:もう8時だよ

:意外と作るのに時間掛かったな

:作る時間と食べる時間の差がすごい…!

:比率が…


「8時かぁ…。片付けた後何しようかな? みんなは何かしてほしいことある?」


:引き続き探索しよーぜ

:探索だー!

:そのスプーンの素材について…!

:風呂いこ、風呂


「んー、じゃあ…探索しながら銭湯でも探そっか!」


:つまりお風呂シーン…ってコト?!

:ガタッ…!!

:ガタッ!

:落ち着けお前らw


「よ、欲望に正直な人たちが多い……。でも、入る時はしっかりガードさせてもらうからね!」


:入ってくれるんですか!?

:一向に構わんッ!

:やったぜ!

:あってくれ銭湯…!

:存在しろ銭湯…!!


「みんな必死すぎない??」



「……あっ、ここ銭湯だね〜。それじゃあ、お待ちかねといく?」


:キタァァァ!!

:やはり存在したか…!

:この時を待ってたんだよ!

:探索終了!

:いきまっしょい!

:いこうぜ!

:皆! 風呂桶は持ったか!?

:おぉ!

:感謝…! 圧倒的感謝…!


「いやすぐには入らないからね?! ここぞとばかりに一致団結してるし…。なんか複雑だけど、喜んでくれてなにより? …まぁいっか! さてさて、中はどんな感じかなーっと。…ぼろぼろ!」


:ボロいな

:でも1万年以上経ってもこれだけ残ってるのはすごくないか?

:確かに

:普通に外の光も入ってきてるしな


「そうだね〜。倒壊しないかちょっと心配。それで、女湯は…………え、これどっち?」


:なんの記号だそれw

:どっちがどっちかわからんなw

:塗装も剥がれてるから色から判断も出来ないな…

:二分の一を当てるのだ!


「むむむ…………全然わかんない! あ、てゆーかそもそも、お湯が出ると思えないんだけど。それどうにかしないと、ただの水風呂になっちゃうよ?」


:たし蟹

:給湯器を修復してみるとか?

:水を溜めてそこに火を吹けばそれでいいんじゃ?

:温度調節できる方法じゃないと駄目か


「一応、直す方向でどうにかしてみよっか。あと、これどっちに入ってもどうせ私しかいないんから…別にどっちでもいいよね?」


:せやな

:どうせなら広い方入ろう

:覗かれる心配もなし



「かぽーん…ってね。いやー、なんとかなって良かったよかった♪」


肩まで湯船に浸かりながら、カメラ目線でにっこりと微笑む。コメントの勢いが凄いことになってるね。


やっぱりバスタオル一枚だからかな? 背中の翼…は水着の時から見えてるし。てゆーか普段から見えてるか。


「今日は色んな事があったね〜。特にインパクトが強かったのは、ゲーミングリュウグウノツカイかな。─そうそう、予定外のことって印象に残りやすいよね」


『今日はもう終わるの?』か。


「うん、もう結構夜遅いからね。明日から、また朝早くに仕事とか学校が始まる人も多いでしょ? だから、今日はこれで終わり! 記念配信、どうだった?」


:サイコー!

:充実した一日だった…!

:ありがとうイルカちゃん!

:ゲーミングリュウグウノツカイは笑ったわ

:ウッ…また明日から会社…

:行かないでお盆休み!


「あはは…。まぁ、お仕事頑張ってね! 応援してるよ! それじゃあ、おやすみ!」


─この配信は終了しました─

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