第15話 海の中2

 

「じゃじゃーん! 和風水着!」


:肌キレイね

:可愛いと思います!!

:エッッッッッ!

:もうちょっと抑えろよw

:緑色ばっかだな

:ヒラヒラ多めやね

:流石に宝石は付いてないか

:どこのブランドですか?


「ブランド……? えっと、とりあえず…これは私の手作りだよ! 制作期間は25日! 結構頑張った」


:頑張りすぎでは?

:お店使いなよw

:ハイスペックイルカドラゴン


「よし、それじゃあキレーな場所まで……泳いで行くよ! ついてきて!」


─ザパーン!



「海の底の砂って、不思議な感覚だよね〜。ふにふにしてる」


:いやいや待て待て

:当たり前のように水中で喋るなw

:それ以前に呼吸……

:このカメラも…いや今更か

:宇宙でも使えるんだからそりゃあ水中でも壊れないさ

:水中で声って伝わるん?

:物理法則さん!?

:そんなこと言ったらこの前のドラゴンだって宇宙で喋ってたし…

:普通にめっちゃ綺麗


「あっ、魚! カラフルだね! って、岩場に隠れられた…」


:黄色が目立つ魚だねぇ

:へぇー、この海にはそういうのがいるんだな

:他にもいっぱいいるんじゃない?

:楽しみ…!

:てか何処まで行くん?


「んー、あと15分くらい泳げば着くかな? 移動中にさっきみたいな魚をいっぱい写せたらいいんだけど…あんまりいなかったら、移動はぱぱっと済ませちゃうね」


:15分くらいなら問題ない

:むしろ見ていたい

:イルカちゃんの寝顔を約1時間見た者たちだ 面構えが違う

:なんなら宇宙を4、5時間見続けた人達もいるから

:イルカちゃんリスナーやべぇな

:視聴者は配信者に似るって言うし…


「? なんだろ、これ」


:ただの石では?

:周りにもいっぱいあるな


「あっ、これ…カニだー!」


:!?

:かにさん!?

:蟹の足が出てきたw

:岩ピクリンかよwww

:トランスフォームしやがったw

:カワイイ


「もしかして、他のも全部カニ? 集団で生活してるんだね。それか、ここら辺は餌場なのかな?」


:ありそう

:石に擬態して獲物を待ってる?

:ハサミでかいし、魚なら掴めそうだねぇ


「カニさん、ありがと♪ …また石に戻ったね」


:爆丸…

:草



「はーい! 着いたよ! これがみんなに見せたかった、キレーな生き物1つ目だよ!」


:サンゴだ!!

:おぉー!

:虹色!

:てことはもう1つあんのか

:すごいカラフルじゃん

:サンゴって生き物なん?

:生き物やで

:くっ付いてる岩も大きいんだね


「ふっふっふ…! やっぱりみんなサンゴに注目するよねー? じゃあ、もう1つの方をご紹介! なんとこの岩の中にもすごい生き物がいるんだ!」


:サンゴよりも?

:この珊瑚の後だと期待できるな

:岩の中…タコとかかな


「えっと、この辺にサバを置いて……急いで離れろー!」


:え、何?

:どゆことー?

:一体何が始まるんです?


─シュバ! ガキン!


:?!!?!

:!?

:岩の隙間からなんか出てきた!?

:サバがねぇ!

:すごい音がしてんですが!?


「おわぁ! 水流に押される〜! …というわけで! 今のがみんなに見せたい生き物2つ目! ヤドカリだよ!」


:ヤドカリ!?

:でかすぎんだろ…

:この岩が殻の代わり!?


「そうだよ! 全長5メートルくらい! 岩を含めたらもっと大きいね!」


まぁ、私の竜形態よりも小さいけど…わざわざ言うことじゃないよね。


:でっかいなこいつ

:巨大なヤドカリなんて初めて見たわ

:大体この配信には初めてのもんしか出てこねぇけどな

:実に面白い

:どういう生態してんのか気になる


「生態かぁ…。とりあえず、雑食ってやつだね。あとは……この岩自体は、そこら辺の岩と変わらないかな。多分、隙間から入り込んで内側から削りながら大きく成長していくスタイルだと思う」


:地球のヤドカリとは全然違うんだな

:こっちのは貝とか

:そもそもサイズが全然…

:岩を削る……それもうヤドカリとは言えなくないか?

:宿を借りるってか造ってるしな


「たしかに。ヤドカリじゃなくてヤドヅクリだよね」


─カチチチ……!


:このボス感よ

:海ステージのボスやね


「でもこのヤドヅクリも分かってるよね。だって、サンゴの岩を自分の宿にしてるんだよ? うーん、ロマンチスト♪」


─カチチ…


:そう聞くと急に愛おしく見えてきた

:かわいい……かわいいか?

:ロマンチックではある

:ヤドヅクリくんも綺麗なものが好きなんだな

:上手いこと共生できてんのか?


「それはわかんない。だけど、ここまで生きてるんだし上手くいってるんじゃない? 体が大きいと食べ物もたくさん必要になるけど、ほら。魚、いっぱいいるし」


:巨体を維持するエネルギーか

:ほとんど移動はしてないだろうけど、生きてるだけもで結構消費するよなぁ

:魚だけじゃ栄養偏らない?

:どこ気にしてんだよw


「壊血病のこと言ってる? んー、体の構造が人間とは違うからなぁ。全然わかんないね」


:そもそも脊椎動物じゃないしな

:なにそれ

:背骨の有無


「さて…と」


どうしよう。やることなくなった。でもせっかくの記念配信なんだし、もうちょっとなんかしたいよね。


「うーん…このまま海の中を探索してみよっか! 深海まで進んでみるのもいいかも?」


:良いね

:深海生物いそう

:深海3000

:図鑑でしか見たことない魚見れるかな?

:フクロウナギとかいてほしい


「他の有名どころはチョウチンアンコウとか? 場所によってはマッコウクジラもいるかもね! まぁ、この星にいるかは知らないけど」


:イルカがいるんだしクジラだっているだろ

:水圧平気なん?


「平気だよ! ハイドラは水圧ごときでは潰れないからね! あと、ヤバそうなら引き返せばいいし」


:それなら安心

:マッコウクジラが平気ならイルカちゃんだって平気か…

:引き返す時はゆっくりじゃないと逆に危険

:大体バリアでなんとかなるな

:回復技とか持ってそう


「よーし! それじゃあ、深海まで行くぞー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る