第14話 海の中1
初配信から約半年経って、チャンネル登録者数が88万人に到達した。まさかここまで増えるとは思わなかったなぁ、最初の頃には。
私は特に記念配信とかはしてこなかったんだけど、88とくれば話は別である。
というのも、私たちハイドラにとって8という記号は縁起がいいものなのだ。人間だと7みたいな感じで。
『8は無限の形』てゆーのが、昔から続いてるんだよね。数字としての8はフロンティアだとまた別の文字でちゃんとあるよ。
「─つまり! 88はすごく縁起がいい! というわけで、今日は記念配信! 何をやるかは〜、後ろを見ればわかるよね!」
:海だあああぁぁ!!
:夏!
:砂浜!
:あれ、なんか砂浜途中で終わってね?
「おぉー、よく気づいたね。このあとやる事に関係するから、ちょっとだけ地形を変えたんだ!」
:へぇー
:ただ海で遊ぶだけじゃないのか
:いや地形を変えたことにもっと驚こうよ…
:イルカちゃんだから…
:わざわざ変えたってことは何かあるな?
「うん、とっておきがあるからね! にしても、今日はすごくいい天気じゃない?!」
:快晴か
:雲一つない!
:眩しい!
:水着は?!
「ふっふっふ! 水着にはこのあと着替えるから安心してね! で、今日やることなんだけど…今まで私って、ドルフィン・ロースター・ファフニルって名前なのにイルカっぽいことやってこなかったでしょ?」
:たしかに
:イルカよりもドラゴンだった
:せやな
「だから、今日はイルカっぽいことをしようと思ってね! それで考えたのが〜、これ!」
事前に決めていた合図の、両手を上にするポーズをとる。
『『キュ!』』
─ザパァン!
:イルカだ!
:ガチのイルカじゃねーかw
:ジャンプ高ー!
:二頭もいる!
:え、野生のイルカ…ってコト?!
:イルカショーか!
「そうだよ! あのふたりは朝ごはんを食べてる時に近くによってきた野生のイルカで、頼んだらイルカショーに協力してくれるって言ってくれたんだ! おいで!」
『『キュイキュイ!』』
:かわいー!
:あぁぁー…癒されるぅ
:結構若いイルカだな
:目がクリクリしてる!
:野生とは思えないくらい綺麗だな
「えへへー、なでなで♪」
『キュイー』
『キュッ! キュッ!』
「ほぁぁぁ……! サバあげちゃう!」
『『キュイ♪』』
:(>▽<)キャー
:イルカちゃんがイルカにサバあげてる
:ちゃんと手懐けてるし…
:野生とは?
「じゃあみんな、ここから本格的にイルカショーといこう!」
カメラを海の方に移動させて、ヘッドマイクも用意完了!
:あ、俺たちが動くのね
:普通逆では…
:珍しいな
:ちゃんとマイク着けてるww
右手を一回転させてからカメラの方向に真っ直ぐ伸ばす。
『『キュ!』』
イルカたちが海に潜ってからそこへ向かう。
:…時速何キロ出てるんだろあれ
:イルカって意外と速いよね
それな! だね。
『キュッ!』
そうそう! そこでスピンしながらジャンプ!
『キュー!』
:跳んだー!
:うわぁ! 水がぁ!
:防水対策は…まあ万全か
:野生のイルカとは思えねーな
:イルカショーのためとかじゃないのがヤバい
「はーい! 今、みんなから見て右側をジャンプしたのがルナくんだよ! で、左のはソルちゃんね!」
:太陽と月か
:かっこいいな
:イルカちゃんが名付けたの?
「ううん、自分で考えた名前なんだって!」
:自分で?
:…イルカちゃんはその二匹の言ってること理解してんの?
:野生なのに頭良いんだな…
「じゃあ、次いくよ! 次はこのボールを使うよ! ルナくーん、へいぱーす!」
『キュイ!』
:ビーチボールだ
:おぉー! 口の上でバランスとってる!
:上手いねぇ!
:水族館でよく見るヤツじゃん
:こっち来た!
:すごっ!
:戻ってったw
『キュッ!』
「よっ、と。うんうん♪ 上手だよ! サバをあげよう! 次はソルちゃんの番だね! 使うのはコレ!」
:輪っか
:フラフープか?
:白と赤で縁起がいいね
:何に使うんだ
「それはもちろんこうやって使うのだよー! そーい!」
─ちゃぷん
『キュー♪ …キュッキュッ♪』
:回してる!
:イルカって器用やな
:口先でよくできるよなぁ
:すげー芸達者
「わぁー! ソルちゃんすごいすごーい!」
:草
:イルカちゃんが1番楽しそうw
:ぴょんぴょんしてるw
『キュッ!』
「おぉー! ナイスパス! はいサバ…これアジだね。まぁいっか! どうぞー!」
『キュー♪』
:…それ鯵か?
:なんか色が地球のとは違うな
:さすが宇宙
:是非とも調査してみたいねぇ
「この星まで来れたらいくらでも調査してみたら? ここは誰の許可もいらないからね。ただーし! 何が起きても自己責任!」
:40億光年でしょ? 行くの無理では?
:無許可でいいのか…
「あ、でもあんまり酷い事をすると環境保護団体に怒られるから気をつけてね! 問答無用で雷落とされるよ!」
:その雷ってのは比喩じゃないパターンですね?
:環境保護団体えげつないな
:イルカちゃんのとこにもそういうのあるのか…
「はい、それじゃあ次!」
さっきも使ったこのビーチボールをヒモでバリアに吊るして……これをあっちまで移動させて、と。うん、これでよし。
「イルカショーっていったら、やっぱりイルカがジャンプするのが1番の見どころだと思うんだよね! というわけで、まずは5メートル!」
左腕を下から上に振り上げる。
『キュ!』
:ルナ君いった!
:よく見たら動いてるのがわかるな
─ザパァンッ! ペシッ!
:ジャンプ!
:高い!
:尾びれでぺちっ、てカワイイなこいつ
「いきなり5メートルだったけど、結構余裕みたいだね! んー、じゃあ…6メートル!」
はいサバどうぞ。
:一気に1メートルも上げるのか
:6メートルならまだいける…?
:次はソルちゃんかな?
「いえーす! ソルちゃん、いってらっしゃい!」
『キュッ♪』
─ジャブン! バシャバシャ…パシャ! パン!
:おぉ! 届くのか!
:音がw
:力強いね
:やっぱ迫力があるわ
「6メートルにもタッチできた! すごいねー!」
はいイワシどうぞー。
『キュー♪』
「それじゃあ最後に7メートル! ルナくん! ごー!」
『キュッ!』
:7メートルってそんな高いの?
:二階建ての家くらいか
─バシャン! トンッ!
:届いたぁ!!
:すっげぇ〜!
:ジャンプ高すぎるだろ!
:着地の水しぶきがもうすごいことになっとる
「すごいよルナくん! もうホントに最高! この星のイルカってすごいんだね!」
サバどうぞ!
◆◆
「はーい、みんな! ショーはこれにて閉幕! 頑張ってくれたふたりに盛大な拍手をー!」
『『キュイキュイ!』』
:8888!!
:8888888888!
:久々にいいもん見たわ
:88888!
:良いイルカショーだった!
「まだまだ配信は続くよ! 私の水着姿をおひろめ! それともうひとつ、このあとキレーな場所に案内するよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます