第13話

 

【世紀の大発見?】イルカちゃんについて語るスレ21【宇宙のドラゴン】



:ガチのドラゴンってこの世に存在したんだなぁ



:宇宙空間に生物が存在できてるのはおかしくないか?



:酸素もないのにどうやって活動してんだろ



:宇宙を構成するなんかをエネルギーにしてるんとちゃう? 知らんけど



:ダークマターとかか



:そういえばイルカちゃんもダークエネルギーがどうとか言ってたような



:どっちも宇宙にある物質なんだっけ?



:あの宇宙人……宇宙竜?



:少なくとも人間ではないから竜でいいと思う



:あれって八岐大蛇?



:頭7つだったから違う



:距離感分かりづらいけど、あれ10メートルはあるらしい。https://○○○



:絶対もっとあると思うんだがなぁ…



:イルカちゃんの配信がネットニュースになるの何回目だよw



:50くらい…ですかね



:今回はどこも調査に乗り出したらしいがどこまでが本当かわからんからな



:Nasyaとか本気出してるって噂もあるし、イルカちゃんが世界を変えるのか



:マジだとしたら今まで地球の外に生物がいないとか言ってきた学者連中カワイソスw



:必死に『映像は合成だ!』って言っててカワイイねw



:ハッハッハッ! 顔真っ赤だぜ?ww



:ワイは地球外生命体いるって信じてたで



:Wow!シグナルとも関係あんのかな…?



:何それ



:それはいて座のやつらしいからイルカちゃん関係ないのでは?



:そもそも配信で40億光年離れた位置の星にいるって言ってるしな



:そんだけ離れた場所にはドラゴンがいるんやね



:地球とは全然違う進化の過程を巡ってるんだろうなぁ



:エルフとかもいんじゃねーの? 案外



:少なくともワイバーンはいそう



:タコが覇権を握る星もあんのかな…



:意外とありそう



:…あの竜が地球に来るとかないよな?



:ないとは思うが…



:もし来たら地球ヤバい



:40億光年も離れてんなら来る前に寿命が尽きるんちゃう?



:でもドラゴンだしなぁ…



:あのカメラでさえ1時間で30光年進んでるんですがそれは



:少なくともあのカメラを作れる技術力がある国が存在してる時点で…



:侵略でもされたら地球は終わりやな



:そうなる前にイルカちゃんになんとかしてもらえば大丈夫でしょ(震え声)



:ガクブルじゃないですかヤダー



:でもイルカちゃんには地球に来て欲しい



:それな




「ふーん、どこも大変なんですね」

「ええ、本当にどこも大変ですよ」

「ならなんで教授は暇そうにしてんすか…」

「……」


(いやなんか言えよ)


「さて、山夏芽君。イルカちゃんに直接連絡する手段とか知りませんか?」

「なんでまたそんなことを…。いいえ、知らないです。tweeterのアカウントもないみたいですし、WetubeにはDMとかないですからね」

「そうですか…」


そう言うと、教授はノートパソコンに視線を戻した。


「……え、それ聞くためだけに呼んだんですか?」

「はい、そうですよ」

「…電話で良くないすかね?」

「直接話したいじゃないですか」


(いや50のオッサンが恋する乙女みてーなこと言ってんじゃねーよ)


「イルカちゃんとも直接話せたら嬉しいのですが…」


(あ、ダメだこれ。なんか表情が犯罪者だわ)


「この前の配信、相当話題になってますねぇ…」

「え…まぁ、そうですね。ここに来るまでにも高校生達が話してましたし。やっぱり可愛いからですかね?」

「それはもちろん当たり前のことですが、それだけじゃありませんよ。ほら、この記事を見てください」

「…これ、この前の配信で写ったドラゴンじゃないですか」

「重要なのは誰の記事か、ということです」


マウスを操作し、ページ上部へと移動する。


「……Jaxsa!?」


教授のノートパソコンには『Jaxsa』という、宇宙航空研究開発機関の名前があった。


「まぁ、どちらかと言えばドラゴンよりもあのカメラの方を知りたがっているようですがね。時速三十光年で移動するカメラ……この技術があれば、地球の文明レベルが一気に上昇しますからね」

「…他国も同じような事考えそうですね」

「ふむ、山夏芽君は一気に技術力が上昇するのをあまりよく思っていないようですね。ですが、全てを戦争に繋がるかどうかで考えるのも良くはありませんよ」

「俺は別にそんなこと言ってませんけど?」

「言っていない、ということは考えてはいたということですね?」

「…それは」


「ま、今の世の中そう考える人は君の他にもたくさんいます。そして、私はそれを間違っているとは思いません。起きてほしくないからこその考え方ですからね」

「…そうですかね?」

「そうですよ。進んで事を起こすような人は…一部を除きほとんどいないですよ。科学の発展は争いの元…ある程度は科学の宿命ですが、同じようにイルカちゃんの星でも起こったはずです」

「…俺はそれが嫌なんですけど」


「ですからそれを分かっているイルカちゃんが、わざわざ地球にそういった物を持ってきたりはしませんよ。多分」

「…多分じゃなくて断言してほしかったです」

「ちなみに、今日6時頃からNasyaの会見あるみたいですよ」

「急に話変わりすぎじゃないですか??? あと、それくらいなら知ってます。イルカちゃんの配信を解析した結果とか、ほかにもなんか発表するんですよね?」

「ええ。アメリカはイルカちゃんとコンタクトを取りたいみたいですね。これは今から首脳会談が楽しみです」

「首脳会談を楽しみにする人初めて見たわ…」

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