第5話 遺跡2

 

「2階に行ける階段はどこだよー?! この遺跡入り組んでて分かりづらい!」


:もう10分くらい同じような景色なんだけど

:やたらと広い遺跡だなここ

:ダンジョンじゃねーか

:トラップが無い分、かえってくそマップだろ


「うむむ……ん? あれ、ここの壁なんか変じゃない? ほらここのタイル、ちょっと飛び出てる」


:これほもしや…!?

:隠しスイッチか?!

:飛び出てるのか? そういう造りとかではなく?

:押したら隠し通路で2階へと続く階段が…?

:うわすっげぇ

:リアルでダンジョンとか初めて見た


「押してみよっか! ポチッとな」


─ゴゴゴゴゴゴ…!


「おおおぉぉぉ!? 壁が動いてる!」


:隠し通路キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

:スライド式だとォ?!

:めっちゃロマンだ!

:からくり遺跡だったのか…


「わ! 見て見て! 階段だよ! やったぁ〜……ってこんなの分かるかぁ!? てゆーか不便すぎない?!」


:たしかにww

:普段使いにはできないよなぁ

:他のとこにちゃんとした階段あんじゃね?

:可能性は高い


「正規ルートわかんないんだから仕方ないよね、うん。オートマッピングのあるゲームじゃないし。まぁそれはおいといて、いざ! 2階へ!」


:レッツゴー!

:おー!

:わくわく


「とーう…って、えぇ……。全然変わんないじゃん…。あ、でもさっきと違って窓があるみたいだね」


:夕日は…壁のせいで入ってこんのか

:2周目入りまぁす

:なんの遺跡なんだよこれは


「ホントにね。さすがにちょっと飽きてきちゃった…」


:宝箱のひとつでもあれば…

:ゲームかww

:まぁでも現実の遺跡なんてこんなもんだよ

:そもそも遺跡なんてないんですがそれは


「宝箱……そうだね、なんか珍しいもの探そっか!」


最初は右の通路から進も。


:遺跡っつーか、城の一部みてーだな

:植物すごい

:廊下ながっ!

:見てる分には綺麗なんだけどねぇ


「珍しいもの♪ 珍しいもの♪」


:ウッキウキやんw

:スキップで揺れる髪…ふつくしい…

:いいシャンプーとリンス使ってそう

:サラサラ感パネェ


「次は…こっちかな? あ、部屋だ。なんの部屋だろ? ドアがないけど…って、家具も石ばっかり!?」


:ある意味珍しい

:石でここまでよく作れるな

:本置いてあるぞ?


「え? あ、ホントだー。この本は…日記かな? …うん、ほとんど掠れて読めないね。てゆーか何語?」


:お宝じゃん

:年代物のニオイがする…!


「たしかに何100年も放置されてる感じはするけど…うーん……お宝かなぁ?」


:解析したい…!

:そこが地球じゃなくてもそれ博物館行きでは?

:もうちょい見せてくれ!


「見せるのはまた後で、ね? 今はまだ探索してたいから♪」


拡張空間に日記をぽいっ!


:さっきまで遺跡にキレてたのに…

:テノヒラクルー

:イルカちゃん感情コロコロ変わるのかわいいね

:拡張空間を見慣れた自分達に驚いたんだよね

:慣れって怖いね


「よし、じゃあ次はこっち! お宝♪ オタカラ♪」


:楽しそうでなによりです

:草



「え、何にもないんだが? お宝の気配すらしないんだが? えぇー…もう3階に行った方がいいのかなぁ?」


:何の成果も得られませんでした!

:ただ遺跡を回っただけ…って、一階と同じじゃねぇか

:階段を見つけられただけ上達はしてるから…

:切り替えてこ!


「そうだね! 3階の階段へ、ごー! はい到着」


:!?

:でた高速移動

:ついてこれてるカメラはなんなん?

:いやそれよりなんで今のスピード制御できてるんですか…???

:壁にぶつからないのわけわからん


「マッハ30くらいまで速度抑えたからね。あと、周りに被害が出ないようにバリアも貼ったし!」


:抑えてマッハ30……???

:ちょっと何言ってるか分からない

:なんでわかんねえんだよ

:いやわからんてw

:バリア……そういうのもあるんだ


「エネルギーバリアってゆーやつだよ! 周囲のダークエネルギーを……って説明すると長くなっちゃうから、また今度ね!」


:ダークエネルギー…宇宙っぽいな

:設定凝ってますね

:設定じゃないんだよなぁ…


「それじゃあ、ここから3階の探索を『カチッ』へ?」


─ヒュン!!


「のわあああ!?」


─コンッ!!!


「はぁ、はぁ…あーびっくりした。いきなり矢が飛んでくるなんて思わないじゃん?」


:矢ー!?

:!??!?!!?

:トラップだとぉ!?

:いやいやいやいや!?

:なに平然としてるんですかねぇ…

:明らかに人に矢が当たった音じゃないのだ…

:びっくりしたどころの話やないって

:コイツは面白くなってきやがった!

:怪我とかしてない?!


「血はでてないし、赤くなってもないね。問題なし! ところで、今のはトラップ…だよね? 足元から音したし……あ、これだね」


:おでこに当たったよね…??

:どんどん人外の可能性が上がってく…


「もっかい踏んでみよ」


:なんで?????

:やめとけって!


『カチッ』


─ヒュン!


あ、2発目もあるんだ。てゆーか、この程度の速度なら普通に掴めるね。ほい。


─パシンッ…!


:えぇ……?

:イルカちゃん…素手で矢を…!?

:what!?

:速すぎて見えなかったんですが

:反応速度と握力どうなってんだ…

:摩擦熱ヤバない?


「70度くらいだから全然熱くないよ? それよりも、矢が飛んできたのはあっちからみたいだね」


:イルカちゃん、人間は70度あったら火傷するんだぜ?

:やっぱおかしいって…

:初配信からそう定期

:さすがイルカちゃんだな!(白目)


「でも、なんで急にトラップ? ……はっ! これはもしや、お宝を守るセキュリティってこと?! ってゆーことは、この階にお宝がある?!」


:なるほど!

:確かに急に殺意高めのトラップだもんなぁ

:階段登ってこれは酷い

:珍しいものの気配を感じる…!


「それじゃあ、いくよ! ついてきて!」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る