第1話

 

「暇だなぁ……」


と、一人ベッドの上で愚痴をこぼす私。


この星にドラゴンとして転生してから200年とちょっと、だんだんとやりたいことがなくなってきた。


最初のうちは全部が新しくて、とっても刺激的で、すっごい楽しかったんだけど……さすがに200年も経ったら飽きちゃうよね。


スポーツとか、人の姿でやるゲームとかも面白いは面白いんだけど……。


他の星に行くのも面白いけど、一人で行っても……─


「──あ、そっか! 配信すれば一人じゃないよね!」


前世の頃から憧れてたんだよね! ライブ配信者!


「そうと決まれば! 善は急げー!」


お兄様の自宅までテレポート!



「というわけでお兄様! 地球に配信したいから、それ用のカメラちょうだい!」


家の作業場で休憩中のところに突撃! 私は人の姿で、お兄様は竜の姿だから自然と見上げる形になっちゃうなぁ。


「…何がというわけで、なのか分からないんだが?」

「最近暇だから別の星から地球に配信したいなって思ったんだ。でも、カメラが無くって……」

「…カメラくらい普通に売っているだろう?」

「ちなみに地球っていう惑星までの距離は40億光年くらいあるよ」

「………40億…そうか、そこまでのは売っていないか。1時間程待っていろ。竜用と人型用、サイズ違いで二つ作る」

「ありがと!」


やっぱりお兄様は頼りになるなぁー。


「ところで─」


早速作業に取り掛かるお兄様がのうち、一つをこっちに向けて話す。


「─フィーは何故急に配信をしたいと思ったんだ?」


こーゆー時、多頭竜って便利だよねー。


「暇だったから」

「…それだけか?」

「うーん…ホントはもっといろいろあるんだけど、恥ずかしいから内緒!」

「……そうか」


多分、お兄様は私が転生者だってことに気がついてるっぽいんだよね。でも昔からこんな感じだし特に気にしたことは無いかな。


「どんな配信をする予定なんだ?」

「気になる? でも予定とかは全然まだなんだよね。いろんな星に行ってー、そこでの冒険をみんなと楽しむ? 的な? いいでしょ?」

「…それは面白そうだな」

「でしょ!」

「なら、耐久性は高めにしておくか」

「やったぁ」


てゆーか、さっきからお兄様の手元がすごい勢いで動いてる…しかもなんか、粒子ケーブルがうねうねしてる。絶対サイコキネシス使ってるよ。やっぱりすごいなぁ。


「それじゃあ、また後で来るね〜」

「他の星に行くなら母サマにも伝えておけ」

「うん、わかった!」



「─というわけでお母様、私しばらく旅に出るからね!」

「わかったわ。月に1回は必ず連絡しなさい」


お茶飲みながら返された。


予想はしてたけど、すんごいあっさりだなぁ。放任主義っていうのかな? こっちとしては楽でいいけど。


「はーい」

「あと、配信ってことは不特定多数に見られるのよね?」

「うん、そうだけど…それがどうかしたの?」

「ちょっと待ってなさい。確か…─」

「?」


拡張空間漁ってどうしたんだろ?


「…はい、これあげるわ」


渡されたのは、着物風ドレス。肩が見えるデザインのやつで、白と緑色。宝石とかも付いててかわいい。


「こんなのいつ用意したの?」

「最近よ。5年くらい前だったかしら?」


あ、ホントに最近だね。


「ありがと、これ着て配信するね!」

「フィー、あなたも分かっているとは思うけど─」

「『ファフニル家として誇れる振る舞いをしなさい』、でしょ? 大丈夫だよ!」

「ならいいわ。この後すぐ出発するのよね?」

「うん。お兄様が今カメラ作ってるから、それが終わったらすぐだよ」

「はぁー…レギはフィーに甘いわね…」


そうかな? ……そうかも。


「まぁいいわ。旅、楽しんできなさい」

「うん! またね〜」



そろそろ終わったかな? あ、このりんごジュース美味しい。


「──出来たぞ。一応、ヘルプの機能もつけておいたが…」

「ちょっとー! そこまでしなくても大丈夫だってー!」

「……フッ」

「ねぇ、今なんかバカにしなかった?!」

「いや? 可愛いやつだと思っただけだ」

「え、そ、そうかな? えへへーありがと!」

「…少し心配になってきたな」


かわいいって言われた♪


「あー、なんだ。その、何かあったらすぐに連絡してくれ。魔術でもいいぞ」

「あ、うん。何かあったらね。じゃあ行ってきまーす!」

「あぁ。気を付けてな」


よぉーっし、まずは近くの惑星まで光速で飛んでいくぞー!


◇◆


「すーっと…はいブレーkあべっ!?」


─ドガガガガガァァァン!!!


あ〜……減速するの遅かったかぁ。山がクレーターになっちゃった。半径20キロくらいかな? やっぱり整備されてないところじゃ簡単に壊れちゃうなぁ。


「いてて…………ここで配信するのも面白いかも?」


最初がクレーターで自己紹介配信、ってのもアリだよね!


人の姿にチェーンジ! …よいしょっ。そしたら、拡張空間とドレスアップの魔法陣を繋げて……─


「─きらーん☆ 衣装チェンジ完了!」


次はカメラの準備をして…………し、して……し……これどうやって地球と繋ぐの?!


「ぐぬぬ…やっぱりヘルプを見るしか…! いや! 見なくても出来る! 私なら!」


まずは地球のインターネットと接続しないとだね。てゆーか、これもうカメラというよりパソコンでは? これ1時間で作ったお兄様、やっぱりすごい!


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