第1話
「暇だなぁ……」
と、一人ベッドの上で愚痴をこぼす私。
この星にドラゴンとして転生してから200年とちょっと、だんだんとやりたいことがなくなってきた。
最初のうちは全部が新しくて、とっても刺激的で、すっごい楽しかったんだけど……さすがに200年も経ったら飽きちゃうよね。
スポーツとか、人の姿でやるゲームとかも面白いは面白いんだけど……。
他の星に行くのも面白いけど、一人で行っても……─
「──あ、そっか! 配信すれば一人じゃないよね!」
前世の頃から憧れてたんだよね! ライブ配信者!
「そうと決まれば! 善は急げー!」
お兄様の自宅までテレポート!
◇
「というわけでお兄様! 地球に配信したいから、それ用のカメラちょうだい!」
家の作業場で休憩中のところに突撃! 私は人の姿で、お兄様は竜の姿だから自然と見上げる形になっちゃうなぁ。
「…何がというわけで、なのか分からないんだが?」
「最近暇だから別の星から地球に配信したいなって思ったんだ。でも、カメラが無くって……」
「…カメラくらい普通に売っているだろう?」
「ちなみに地球っていう惑星までの距離は40億光年くらいあるよ」
「………40億…そうか、そこまでのは売っていないか。1時間程待っていろ。竜用と人型用、サイズ違いで二つ作る」
「ありがと!」
やっぱりお兄様は頼りになるなぁー。
「ところで─」
早速作業に取り掛かるお兄様が複数ある頭のうち、一つをこっちに向けて話す。
「─フィーは何故急に配信をしたいと思ったんだ?」
こーゆー時、多頭竜って便利だよねー。
「暇だったから」
「…それだけか?」
「うーん…ホントはもっといろいろあるんだけど、恥ずかしいから内緒!」
「……そうか」
多分、お兄様は私が転生者だってことに気がついてるっぽいんだよね。でも昔からこんな感じだし特に気にしたことは無いかな。
「どんな配信をする予定なんだ?」
「気になる? でも予定とかは全然まだなんだよね。いろんな星に行ってー、そこでの冒険をみんなと楽しむ? 的な? いいでしょ?」
「…それは面白そうだな」
「でしょ!」
「なら、耐久性は高めにしておくか」
「やったぁ」
てゆーか、さっきからお兄様の手元がすごい勢いで動いてる…しかもなんか、粒子ケーブルがうねうねしてる。絶対サイコキネシス使ってるよ。やっぱりすごいなぁ。
「それじゃあ、また後で来るね〜」
「他の星に行くなら母サマにも伝えておけ」
「うん、わかった!」
◇
「─というわけでお母様、私しばらく旅に出るからね!」
「わかったわ。月に1回は必ず連絡しなさい」
お茶飲みながら返された。
予想はしてたけど、すんごいあっさりだなぁ。放任主義っていうのかな? こっちとしては楽でいいけど。
「はーい」
「あと、配信ってことは不特定多数に見られるのよね?」
「うん、そうだけど…それがどうかしたの?」
「ちょっと待ってなさい。確か…─」
「?」
拡張空間漁ってどうしたんだろ?
「…はい、これあげるわ」
渡されたのは、着物風ドレス。肩が見えるデザインのやつで、白と緑色。宝石とかも付いててかわいい。
「こんなのいつ用意したの?」
「最近よ。5年くらい前だったかしら?」
あ、ホントに最近だね。
「ありがと、これ着て配信するね!」
「フィー、あなたも分かっているとは思うけど─」
「『ファフニル家として誇れる振る舞いをしなさい』、でしょ? 大丈夫だよ!」
「ならいいわ。この後すぐ出発するのよね?」
「うん。お兄様が今カメラ作ってるから、それが終わったらすぐだよ」
「はぁー…レギはフィーに甘いわね…」
そうかな? ……そうかも。
「まぁいいわ。旅、楽しんできなさい」
「うん! またね〜」
◇
そろそろ終わったかな? あ、このりんごジュース美味しい。
「──出来たぞ。一応、ヘルプの機能もつけておいたが…」
「ちょっとー! そこまでしなくても大丈夫だってー!」
「……フッ」
「ねぇ、今なんかバカにしなかった?!」
「いや? 可愛いやつだと思っただけだ」
「え、そ、そうかな? えへへーありがと!」
「…少し心配になってきたな」
かわいいって言われた♪
「あー、なんだ。その、何かあったらすぐに連絡してくれ。魔術でもいいぞ」
「あ、うん。何かあったらね。じゃあ行ってきまーす!」
「あぁ。気を付けてな」
よぉーっし、まずは近くの惑星まで光速で飛んでいくぞー!
◇◆
「すーっと…はいブレーkあべっ!?」
─ドガガガガガァァァン!!!
あ〜……減速するの遅かったかぁ。山がクレーターになっちゃった。半径20キロくらいかな? やっぱり整備されてないところじゃ簡単に壊れちゃうなぁ。
「いてて…………ここで配信するのも面白いかも?」
最初がクレーターで自己紹介配信、ってのもアリだよね!
人の姿にチェーンジ! …よいしょっ。そしたら、拡張空間とドレスアップの魔法陣を繋げて……─
「─きらーん☆ 衣装チェンジ完了!」
次はカメラの準備をして…………し、して……し……これどうやって地球と繋ぐの?!
「ぐぬぬ…やっぱりヘルプを見るしか…! いや! 見なくても出来る! 私なら!」
まずは地球のインターネットと接続しないとだね。てゆーか、これもうカメラというよりパソコンでは? これ1時間で作ったお兄様、やっぱりすごい!
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