セクハラ最低ゲス教師
ザワザワと雑音が溢れかえる教室。
学業を終えた生徒たちが思い思いの相手と駄弁っている。
そんな中、オレは杏里ちゃんが教室を出ていくのをよそ目にそっと席を立ち上がる。
気配を消しながら廊下に出ると、廊下の端で杏里ちゃんと[[rb:那須島 > ゲス]]がいるのを見つけた。
ここがアニメのシーンで間違いないだろうと確信を抱き、スマホのボイスレコーダーをオンにする。
那須島(ゲス)「どうした?ん?体調がわるいんだったら保健室に行くか?って作者さん表記…」
杏里「い、いえ。大丈夫ですから 」
舐め回すように杏里ちゃんの体を見つめる[[rb:那須島 > ゲス]]が気持ちわりぃ…
ゲス「なんだったら、家まで送ってやろうか って作者さん表記間違えてます…」
杏里「……」
ゲス「冗談だ……はは」(結局直って無いし…)
(絶対冗談じゃないだろ!!)
心のなかでツッコミを入れながら、私はオレ静観する。
那須島「なあ、園原ぁ。ところでお前、最近は他の男子とも仲良くしてるのか?」(ホッ…治った)
杏里「えっ……」
『は?』
思わず声が漏れる。
(え?その質問はオレがいる事が見えて言ってる???大丈夫?)
いつもオレが杏里ちゃんと話していて割り込んでくるのはお前だろうが。
まるでオレを居ない物かの様に扱う[[rb:那須島 > ゲス]]に返す言葉が見つからない。
杏里「折原くんが仲良くしてくれているので……大丈夫です」
(杏里ちゃん……!!)
なんていい子なんだ。抱きしめたい。頭を撫でさせて欲しい。可愛すぎる。
那須が「そうか…?本当か?この間みたいな事は、もう無いんだろうな?」
杏里「……はい。大丈夫です」
那須島「なあ……園原。 何か困った事があったら、何でも相談していいんだぞ。何かあったら、この前みたいに助けてやるから」
杏里「……はい」
(恩着せがましすぎるだろ!!!)
脳内での那須島へのツッコミが止まらない。
何だこいつ、本当に教師か?話通じる?????
那須島「ほら、教師としては生徒の頼りになる存在になりたいんだよ。その為には、まず先生の事を信頼してくれないとなあ」
(こんな下心丸見えな先生信頼できるわけ無いでしょーが)
那須島「俺もたくさんの生徒を見てきたが、園原の事は少し心配なんだよ……。なあ?」
そういって、[[rb:那須島 > ゲス]]は杏里の肩に手を置いた。
(うわぁぁぁ!!!気持ち悪い!!!気持ち悪い!!!)
叫びそうになりながら、まだ動き出すのをこらえる。
まだ[[rb:那須島 > ゲス]]の問題発言を拾えていない。
那須島「お前はいつでも元気が無いからな、教師としては心配なんだよ。お前らの担任の北駒先生は気難しい人だし、B組佐藤先生は生徒のゴタゴタなんか気付いちゃいないし、D組の――」
(よしきた!!)
きっちりとボイスレコーダーが回っていたことを確認して、オレは二人の元へ歩き出す。
『杏里ちゃん!!』
那須島「お、おぉ……折原か」
まるで先程の会話を聞いていなかったかのような明るい声色で声を掛ける。
杏里ちゃんはオレを見つけた途端、安心したかのように少しだけ肩の力を抜く。
[[rb:那須島 > ゲス]]はオレを見て、薄っぺらい笑みを浮かべたが、“邪魔だ”という感情が隠しきれていない。
『先生、あまりJKにベタベタ触らないほうが良いッスよよ?セクハラになりますから』
正臣「那須島せんせー。セクハラっすかぁ?」
オレがセクハラを指摘したと同時に、クラスからひょっこりと顔を出す正臣。
(追撃助かる!)
オレだけじゃナメられて終わっていた可能性が高いので、ここでアニメどおりに正臣が来てくれた事に安堵する。
那須島「なッ…!」
杏里「ひゃッ…」
オレと正臣の発言に体を固めた那須島が、杏里ちゃんの肩を抱き寄せてしまい、それに杏里ちゃんが声を上げる。
正臣「わお。いけたいな眼鏡委員長に声まで出させて。 いよいよ本格的なセクシャル・ハラスメ ントってやつっすか。寧ろ判りやすくセクシー・ハラショーっすよねー? ああ、英語とロシア語混在作戦で東西冷戦終結っすかぁー?」
(う、うーん……ここは何回見てもなんて言ってるかよく理解できない……)
正臣のセリフに少し呆れながらも、オレは杏里ちゃんの腕を取って、己の方に引き寄せる。
『杏里ちゃん、大丈夫か?』
杏里「は、はい……大丈夫です」
強張っていた顔が和らいでいく姿を見て、少しだけ安心する。
那須島「き、紀田!ふざけるんじゃあない!」
正臣「おやおやおやおやおやおや。いけないよねぇ那須島先生ー。A組のキッチー達ならともかく、俺らのマスターサトチーを引き合いに出すなんてなー」
『いやうちのコマ先もだめだから』
正臣「しゃーねー、キッチーも含ませてやる」
『しゃーねーとはなんだ、しゃーねーとは。……それにしても、先生。人前で悪口は言うもんじゃないッスよ。何処から漏れるかなんてわからないッスからね?』
ニコッと笑いかけると、那須島は何かを悟ったかのように顔色が悪くなる。
那須島「……ッ!冗談……冗談だからな、園原。勘違いして変な噂とか、流さないでくれよ。な 、な?」
正臣「ハハハ!先生、杏里がそんな軽薄な女に見えますか?」
那須島「……そ、そうだな」
正臣「寧ろ変な噂は俺らが流すんで安心してください! 」
『勝手にオレも巻き込むな……ま、いっか。っていう事ですので、恨むなら正臣を恨んでくれ』
正臣「おい深夜!?」
那須島「なッ……!!紀田!折原!そういうくだらない事をしている隙があったら――」
顔を真っ赤にして怒り出した那須島に、正臣が言葉を被せる。
正臣「勉強ですか?ふふふ、確かに勉強は大事ですよね 。ええそうですとも!
『将来物理とか数学とか絶対使わねーよ 』なんて事を言いたい世代ど真ん中ですよ俺らは!
でも、物理や数学だって将来によってはしっかり使う事になるわけだから、まだ将来の決まっていない今のうちは色んな知識や知恵を身につけておくべきだ……。
そうでしょう?
ですが先生!俺は将来ヒモで行きていくと、何処の宗派のか良く解らない女神像に誓っているので物理も数学も取り合えず必要ないと思います。
あえて言うなら国語と英語さえあればワールドジゴロの完成ですよ?」
(いや何処の宗派かわからない女神に願うなや)
絶対ヒモになんかなれないだろうと冷めた目で正臣を見つめる。
『お前……いや……国語の成績絶対悪いだろ』
正臣「くくく……残念ながら国語の成績は10ですよ先生ぇー」
『……ま?』
思わず言葉が漏れる。
正臣って国語出来たのか…。
こんなに変な事しか言ってないのに。
正臣「深夜、考えてる事全部顔に出てんぞー。失礼なやつだなぁ、ったくぅ。……つまり、いくら文章問題や論文の成績が良かろうが、 普通の会話には何の影響も無い事が解りますか先生さんよぉー」
『まぁ、こんな正臣はともかくオレはちゃんと勉強してるッスからね』
正臣「こんなって失礼な!?!?深夜だって授業中寝てるって帝人がいつも言ってるが??」
『寝てても授業中に突然発展問題当てられても答えられるから良いんです』
(なんなら中身高校二年生だし、我が家には臨也さんと波江さんと言うチートいるので)
『っと。それはそうと……これ、どうします?』
オレは先程録音していたレコーダー画面を那須島に見せる。
正臣「考える事がまんま同じだな俺ら。どうする、深夜。俺ら以心伝心、一心同体、運命共同体なんじゃないか?新婚旅行にワイハにでも行っちゃう〜〜〜?」
同じくレコーダーを見せる正臣に苦笑する。
『とりあえず……交渉術でも教えてもらいましょうかね。なぁ那須島先生よぉ』
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