新住民

ワゴン組と別れた後、適当なマク○ナルドに入ってスマホを取り出す。


(チャットはどうなってるかな)


 


―――現在、チャットルームには誰も居ません―――


―――Unknownさんが入室しました―――


 


(誰も居ねぇか…)


過去ログを遡って見る。


(帝人くんとセルティさん?――あぁ、昨日の事件の)


思い出して、顔を歪める。


あまり思い出したくない記憶だ。


どうやらまだ、臨也さんはこのチャットに顔を出していないようだ。


(ま、いつかはバレるだろうけど)


そんなことを思っていると、画面に更新ボタンが表示される。


不思議に思ってページを更新すると、こんな文字が出てきた。


 


―――甘楽さんが入室しました―――


 


(うげっ)


 


{あれあれっ?新しい方ですか?}


{はじめまして☆ここの掲示板の管理人の甘楽ちゃんでーすっ!(ゝω・)vキャピ}


 


相変わらず癖が強い、なんて思いながら、なるべくボロを出さないように返答する。


 


[甘楽さん、はじめまして。お邪魔してます]


[Unknownと申します。よろしくお願いします]


{きゃあっ、そんな固くならなくて良いですよぅ!}


{ここは皆が楽しめる、池袋の噂が集まる素敵な掲示板なんですから☆}


[そうですか、ありがとうございます]


{それにしても、新しい住民が増えると賑やかになって嬉しいですね〜(*´艸`*)}


{Unknownさんは男性ですか?女性ですか?}


[女です]


 


ナチュラルに嘘をついていく。


 


{そうなんですね〜!ココ、男の子が少ないので男の子だったら嬉しいな〜♡って思ってたんですぅ}


{でも、女の子でも大歓迎ですよ☆}


[なんかすみません…ありがとうございます]


{いえいえっ!}


[あ、用事が入ったので今日は落ちます]


[また来ますね]


{はいっ!お仕事頑張ってくださいね☆またいつでも待ってますよ〜っ♪}


―――Unknownさんが退室しました―――


{新しい住民が増えて、私凄い嬉しいですっ♡}


{またこのチャットが賑やかになりますね(ゝω・)vキャピ}


―――甘楽さんが退室しました―――


 


『……臨也さんと話すのは神経削られるなあ』


これ以上会話を続けていると胃が痛くなりそうだったので、適当に用事と言ってチャットを抜ける。


(――でも、甘楽ちゃんは可愛かった)


できれば神○さんのネカマ声も聴きたかったけど…。


『ふぁーぁ、帰るかぁ…』


新宿の自宅へ。





臨也「Unknownさん、君が誰かも興味があるけど、今一番興味があるのは帝人くんなんだよねぇ」

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