第27話 海賊貴族の実力1
アズールが当家に仕官をしてくれてから、海軍の練兵をすぐに始めた。
事前に海軍への参加者は募っていたため、人を探すとこから始めることはなかった。
だがアズールは一人一人の騎士たちの顔を見ると、一部の騎士たちに海軍を辞退するように言っていた。
騎士たちも怒りはしたが、ジルベルトがその者たちを宥めてくれたためとりあえずは事なきを得た。
――
「さて、本題だが。結局のところアズールの身柄に関しては連邦国はなんと言っていた?」
「はい、どうやら連邦国は了承したのですがアズールの実家であるガルパン男爵家が引渡しを要求致しました。」
報告に来た騎士からは頭を抱えたくなるような言葉を突きつけられた。
どうやら連邦国は年金を支払わないで済み、さらに最近港を広げ商業に力を入れているのでここで恩を売っておきたいらしい。
ただガンパン男爵家側は海賊行為の証拠をもしアズールが持っていると今までの行為が明るみでて家を潰されてしまいかねないので自分たちの目が届く範囲に置きたいのだろう。
「ハァ……。ガンパン男爵家には連邦国からの許可があったのでそちらの要求には従えないと返答を頼む。」
「かしこまりました。それとこちらに来る際にアズール殿が練兵をしておりまして、一度見に行っては?」
騎士にそう言われ、考えてみると確かに報告ではアズールがどのようなことを行っているかを聞いていたが実際には見ていない。
「そうだな、一度見てみるとしよう。もう下がっても良い。」
「ハッ、失礼いたしました。」
そう言い騎士が執務室を出ていった。
「さて、仕事に一段落つけて見に行くとするか。」
頭を悩ませることはあれど、フェルナン子爵家はどんどん変わっていっている。
そんなことに嬉しく感じた。
◆◆
キリギア連邦国とは、
商国キリギア連邦国は南側の大国アムール帝国の更に南に行った海にある島国。
5つの島からなり、元々は無人島だったが昔5人の商人たちが開拓をして建国された国とされている。
貴族議会という政治をしており、建国の商人の末裔、5つの家を公爵家として議長を持ち回りをし、その他貴族議員達で決を採り議会を運営している。
島国のため海に面しているのを利用し漁業と商業が盛んに行われている。
特に商業は秀でており、海の向こうにある遥か先の大陸の品は全て連邦国にあると言われており、市場は年中賑わいが絶えない。
そのため商業の国、商人の国、商国などと呼ばれている。
大陸に存在するギルドなどの互助会の本部はほとんどが連邦国にあり、他国の戦争の和睦を仲介するため、別名中立国とも言われている。
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