第25話 新しい仲間

――フェルナン子爵邸


「すんません、騎士様。ガゥエル様はおりやすか?」


「なんだお前?随分汚い格好ではないか。

それで子爵様にお会いするつもりか!」


「すみやせん、遠方の島から来たもので。」


「まあいい、今取り次ぐ。少し待っておれ。」



――

ジルベルトにキリギア連邦国での軍船の払い下げと人材の登用を頼んでから2週間がたった。


その間、海賊の討伐は傭兵を雇い騎士団と合同で当家の所有する商船でなんとか討伐をした。

結構ギリギリな戦いだったと聞き及んでいる。

やはり海軍の創設は急務なようだ。


――コンコン


「ガゥエル様。どうも当家に用事がある男が来ております。」


「わかった。どんな男だ?」


「小汚い格好をしており、体が垢でまみれております。それと遠方の島から来たとか。」


「すぐに呼んできてくれ!」


遠方の島だと!

多分キリギア連邦国から来たはずだ。

こんなに早くに来てくれるとは思わなかった。

正直2ヶ月位はかかると予想していた。


――


「どうも失礼しやすぜ。」


屋敷に通された男は確かに小汚くどう見ても浮浪者にしか見えなかった。


「あ、ああどうぞこちらに座ってくれ。」


「すませんね。よっと、子爵様オラァ作法とかてんでわからないんでそこは勘弁してくださいよ。」


「わかった。無礼講としよう。」


「へへへ、ありがとございます。」


やはりどうみても浮浪者だ。

だが人は見かけで判断しては行けないと言う。

それを信じるか。


「まず、名前を聞かせてくれるか?」


「へい、アズール・ガンパンと言いやす。」


「わかったアズール。君は連邦国にいた頃はなにを?」


「なにをって、そりゃぁ海軍でさぁ。一応連邦国海軍第二中隊隊長を務めておりやした。」


ほう、やはり人は見かけで判断するのは良くないな。

しかしなぜ中隊長程のものがこちらへ?

来ても海軍経験のある一般の兵士あたりかと思っていたが。


「なぜ中隊長ほどの君が来たんだ?」


「へぇ、実は腕の腱を戦闘で切られてしまいまして片腕が使いもんにならなくなってしまって。そうなると退役しなくてはならなくなるのですよ。」


腕の腱が切れているか……。

確かにさっきから左の腕を動かすことなく右だけで動作をしている。


「んで退役すると年金は入るのですが、俺はずっと海にいて海しか知らないんでさ。このまま燻るのは嫌なんで丁度ここで退役した海軍を探してるてんで、国には言わず勝手に来ました。」


ふむ、海しか知らないか。

だが指揮官として使うならまだ使えるはずだ。

そう考えるとかなりいい人材が家に来たことになる。


……待てよ?


「今、勝手に来たと言ったか?」


「へい、言いましたぜ。」


はぁ……、とんだ爆弾が家に来た。

いや、ここで諦めてはダメだな。

まずは連邦国に一報入れて、そのうえで家で雇ってもいいか聞くか。


「とりあえず、アズール。君は当家で雇いたいと思っている。」


「まじですか。ぶっちゃけダメだと思っていやしたぜ。」


「まずはその言葉使いを直すとこ始めようか。」


「それは無理なお願いですが、お頭様、このアズール・ガンパン男爵、誠心誠意お仕え致します。」


こいつ最後にとんでもないことを発言しやがったな…。

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