第24話 海への進出2
3人で頭を悩ませていると執務室がノックされた。
――コンコン
「ガゥエル様、お伺いしたいことが。」
ジルベルトの声だ。
「ああ、入ってくれ。」
部屋に入ってきたジルベルトは資料を抱えながらも、俺たちが3人で難しい顔をしていることに、不思議な顔をしていた。
「どうかされましたかな?」
「実はな商人からの陳情で海軍を作りたいのだが、船も人材も伝手がなくてな。それで困っているとこだ。」
「ふむ、それでしたら私にお任せ頂けませぬか?」
「というと?」
「私が昔、子爵家に仕官する前に旅をしてたおり知り合った者で少々伝手がありまして。その者、南方のキリギア連邦国の承認でして。今は連邦で爵位を買い、議員をしていまして。」
「商国か……。しかしそれがどう繋がるのだ?」
「商国は海に囲まれておりますから当然船が多いです。そのうち軍船を使わない物を払い下げてもらい、退役海軍を雇えば万事解決かと思ったのです。」
確かに今できる最前の手はこれしかない。
だがしかし商国にどれくらいふっかけられるか、これが問題だ。
「エリナーゼ、アルバ意見を聞きたい。」
「私は賛成です。ただし資金面を考慮したうえでの最終判断になります。」
「あ〜、私も賛成。ただ退役海軍の人を先に派遣してもらって指導してもらわないと、肝心の船が来た時に使い物にならないよ。」
「わかった。この件はジルベルトに一任する。頼んだぞジルベルト。」
「ハッ!誠心誠意やらせて頂きます。」
そう言いジルベルトは部屋をすぐさま出て行った。
しかし、ジルベルトは最初に言っていた用件はいいのだろうか?
ジルベルトが置いていった資料をちらりとめくると、それは他家からの縁談と仕官願いの束だった。
「アルバすまんがこっちの紙は捨ててくれ。ただ仕官願いは残しといてくれた。」
「ほう、こちらは縁談の申し込みではないですか。よろしいので?」
なんだかすごく痛い視線を感じる。
エリーのほうを見るのが気まずい。
「ああ、すぐさま捨ててくれ。」
そう言いエリーのほうを見てみると、エリーは頬を膨らませいじけていた。
「大丈夫だって、受けようとか思ってないから。」
「わかってますよ、ただガゥが取られるんじゃないかって嫉妬してるだけ。」
可愛すぎかよ。
そんなこと言われると返す言葉が思い浮かばないよ。
「仲がよろしいですなぁ。」
そうなんだよエリー、この部屋にはアルバがいるんだよ。
まあ今更遅いですけど。
ちらりとアルバを見ると、顔をすごく笑っていた。
「し、失礼しました!」
エリーはすぐさま部屋をでて走って逃げていった。
「はっはは、ガゥエル様、お世継ぎ楽しみにしております。」
アルバはそんなことを言って、優雅に一礼し部屋を出ていった。
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