第10話 会議は踊れど上手くは進まず。1

「では、会議を行います。進行役は不詳このアルバが努めさせて頂きます。」


アルバの声と共に、会議は始まった。

この部屋に流れる空気が変わったそんな気がする。


ここで気後れしてしまうのはダメだ。そう思いすぐさま周りを見渡しこんの後のことを話し始めた。


「さて、召喚上で事前に通告した通り今日は、領政策の改革をおこないたい。」


そう告げるとすぐさまザックが反応してきた。


「ザック殿発言をどうぞ。」


アルバがそう言うと、


「発言失礼致します。ガゥエル様、改革と言われましても子爵家ではすでに、これといって変えるものは無いと愚考致しますが。」


「その事だが俺は子爵領を富ませたい。だからこそさらに最前の方法を思いついた。まず資料を見て欲しい。これは今後俺がやっていきたい政策だ。」


そういい予め配布した資料を皆に見るように促した。


「主な政策は関の廃止、賦役の実施、賦役に対する賃金発生を実施、それに伴う予算の確保、そしていちばん重要だ港の拡張だ。」


今後の政策を発表すると反応は様々であった。

エリナーゼ、ジルベルトは我関せずという態度、ザック、ニーチェ、ベクトールの反応は様々だった。


まずザックは関の廃止を言った瞬間驚いていた。まあ関からとれる税はかなり高額だからそれを無くすのに驚きなのだろう。


ニーチェは、港の拡張だろう。ニーチェは元行商人だが、今でも商売はしており、言うなれば政商だ。

なので港の拡張による今後の利益を考えているのであろうか、少し顔が笑っている。


1番面白い反応をしたのはベクトールだった。

多分関の廃止にかんすることで驚いているのだろう。誰よりも驚いており、嬉しそうだった。


ベクトールに任せている街は魔物が出る森の近くだ。ベクトールは、文官仕事の他に兵法も達者なのでそこを任せている。


だが、危険な森の近くの街だ、物価は領内で1番高い、関所の税と輸送に際しての護衛代が上乗せされた金額だ。


まだ平民でも買える値段だが何かあれば直ぐに、何かあれば値崩れするであろう。

そんな危うさがあった。


「しかしガゥエル様!関を廃止して村の運営費などどうするのですか!」


「その事だがここにいるガルーとスズの2人が説明してくれる。」


そう言うと2人は立ち上がり共に礼をすると、ガルーが自己紹介を始めた。


「ご紹介にあずかりました、一等文官ガルーです。こちらが、」


「はい!三等文官スズです!」


挨拶が終わると早速2人は説明をはじめた。


「〜ですので資金対策は大丈夫かと思います。」


ガルーが説明を終わらせると、エリナーゼ、ジルベルト、ベクトールは満足気な顔をしており、逆にザックとニーチェはどこか不安な顔をしていた。


「質問がある人は質問をどうぞ。」


アルバのその一言により、ザックとニーチェがすぐさま質問をし始めた。


「関を廃止する案は、良いと思ったのですがさすがに拒む村も出てくるでしょう。さらに関所が完全になくなれば野盗なども出てくるのでは?」


ザックの意見は最もだがこれに関しては考えてはいる。

次にニーチェだ。


「港の拡張案は賛成なのですが、倉庫の使用料ですが、今の既存の倉庫は各商会の所有物です。これは自分で建てたから所有物の扱いになってます。」


「ふむ。」


「これが急に新しく公共物として倉庫を建てるから、使用料を払えということに対して、文句を言う商会が出てくるやもしれません。今までは自分たちで、安く土地を買い倉庫を建て使っていたのになぜ今更となります。」


確かにそうだだがこれは今後のために必要だだからこその資料も作ってきてはいる。

しかしそれを配ろうとした時ベクトールがなにかに気づいたのかわかったという顔をした。


「ベクトールお前はなにかいい案を思いついたか?」


そう聞くとベクトールの顔は薄く笑みを浮かべた。

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