第7話 改革への狼煙。3
一通り必要な書簡は書き終わり、次に改革をするにあたっての案を詳しく考えることにした。
まず初めに思いついたことは、領内の関所を減らすことだ。最近は戦続きで物価が上昇傾向にある。ならば物価を下げたいと思った。
それと父の手伝いをしていた時、領内の関の数を見たが、明らかに多かった。
昔からこうなのであろう、父や文官達は疑問に思うこともなく、関から上がってくる税をただ受け取り管理していただけだった。
関が多ければ他所から物が入ってきても、売上を維持するために商人たちが、値を吊り上げる。
これをどうにかすれば、領内の物の値が安くなり、民を飢えることがなくなるはずだ。
ここ数年の記録を見ても、街は大丈夫だが村では冬の餓死者が毎年数名ほどいる。
これをなくせば領民からの心象も上がるだろう。
だがここで問題になるのが、関の廃止を代官が認めるかだ。
これに変わるものが欲しい。
1人で迷っていてもしょうがない、誰か呼ぶか。そう思い扉の前にいる衛兵に、手の相手いる文官を呼ぶように言った。
コンコン、
暫くすると扉が叩かれた。
「どうぞ。」
そう告げると扉がひらかれ、文官が2人入ってきた。片方は初老位の男、もう片方はまだ仕官したばかりだろう緊張をしている見れる女だ。
名前は初老の方がガルー、女の方がスズだ。
ガルーは、犬の獣人でスーツでぴっしりとキメており、髪を整髪料でしっかりと整え、メガネをかけた堅物そうな男だ。
ガルーは祖父の代から使えている者で皆からの信頼が厚い。
スズは父が和国スメラギのものでその血が強いのであろう、東方顔といわれる顔であり、
目は青いが髪は黒である。
今年から雇い始めたばかりのはずだ。
「仕事中よく来てくれた。」
「ハッ!お呼びと伺い参上致しました。どういったご用件でしょうか。」
労いの言葉をかけると、スズはあたふたとしはじめた。
だがガルーがそれを見兼ねたのか、代わりに返事をし、用件を伺いはじめた。
「うむ、明日代官や騎士団など重臣を集め領内の改革会議を行う予定だ。だが一つ詰まってしまってな知恵を借りたい。」
そういい、今考えている構想、それに対してどうすればよいか、代わりになにを領民に提示すればよいかを聞いた。
「ふむ、難しいですな。関は村ごとに代官がつけており、そこからえる利益は、村の運営に使われます。さらには子爵家の税として幾分か払われていますからな。」
確かにそうだ、関をなくせば街ならば大丈夫だろうが、村の運営がたちいかなくなるし、子爵家としての税は減る。
「うーむ。ガルーの言うことは最もだが、今の戦により上がっていく物価をどうにかしないと領民が飢え死にしてまいかねん。」
ガルーも今の状況がまずいのは理解しているがいい案が思い浮かばず、頭を抱えていた。
「あの…私いい案があるのですが…。」
すると、スズが今までの沈黙から一転案があるといいはじめた。
「本当か!してどんな案だ?」
そう聞くとスズが一つ一つ話初めていった。
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