第5話 改革への狼煙。1

あれから数日時が過ぎた。

父上の死と、俺の爵位と領地の引き継ぎを領内の代官達に伝えるため集めるのに数日かかった。


「子爵様の御成〜!」


子爵邸、謁見の間

近習の1人が声を上げると、騎士は剣を胸の前に構え、文官は頭を垂れはじめた。


「頭をあげ、楽にせよ。」


そう伝えると、騎士は剣を納め、文官は頭を上げ立ち上がった。


「さて、事前に伝えた通り、父上が亡くなった。この子爵家は私が継ぐ。異論がある者はこの場で申せ。」


これは儀礼的なものであって、この場で異論がある者は、切るというこの国の貴族の伝統だ。


思えば恐ろしい風習だ。よくこんな風習が形骸化せず、未だに残っているものだと思う。


「さて、今から名を呼ぶものは、明日また登城せよ。召喚状は後ほど家宰のアルバに送らせる。」


そう言うと家宰のアルバが一歩前へでて皆の前で会釈をした。

アルバは父の時から仕えており、少しくすんだ金の髪に、緑の目をしており、歳は30中頃と若く働き盛りだ。


最近娘が産まれたらしく、よく父と俺に可愛いと自慢してきた。

そんな父は、自分の娘、妹ライラのが可愛いと言いよくアルバと言い合っていた。


それを俺が呆れながらも止めに入りと、いつもそれを繰り返し笑っていた。

まだ父が亡くなってそれほど時は経っていないはずなのに懐かしいと感じた。


「では名を呼ぶ。騎士団総長エリナーゼ!」


「ハッ!」


エリナーゼは、父が祖父の代から仕えており、先年エリナーゼの父が隠居したため、騎士団総長を世襲した。


女だからとなめてかかると痛い目を見る。

種族はエルフという長寿の種族であり。

見た目が、18歳くらいにしか見えないが、かなり歳をくっている。


外見は、金髪碧眼、スレンダーな体型で、耳が長い。何より美人だ。

100人見たら100人が振り返ると言っても過言ではない。


それを本人の前で言うと厳しい鍛錬がはいるのはご愛嬌。

よく騎士団の馬鹿どもと、一緒に鍛錬をさせられた。


「次に、代官衆、ザック、ニーチェ、ベルトール!」


「「「ハッ!」」」


この3人はそれぞれ本領以外の街の代官をしているものだ。

他にも村に代官も置いてるが、それも読んではキリがない。

なのでこの3人にした。


それぞれザックは歳が50ちょいで、少し小太りで、髪が薄くちょび髭をはやしている胡散臭い見た目だが、

文官としての腕は本物であり、父の右腕として活躍していた。


ニーチェは、元々行商人だったが、父が他とは街の見方が違うということで勧誘し仕官してくれた。

見た目は、鼻が鷲鼻で、髪は後ろに一つに束ねている、サバサバした感じだ。歳は、40後半くらい。


そしてベルトールは、獣人だ。

頭が周り、腕っ節も強いので領境の街を任している。

見た目は、赤髪で狼の獣人だ。目は隻眼で黒い眼帯をしている。歳は30後半だ。

息子が騎士団に入隊しており、俺とは幼馴染だ。


そして4人には全員準男爵の爵位がある。

これは、貴族が代官や騎士団のまとめ役に、泊をつけるために王国法で認められた、領地独自の爵位だ。


だが一度領地をでれば他では通用さない爵位でもある。


他にもジルベルトとアルバもこの爵位を持っている。


「ではこの4名、それと家臣団筆頭ジルベルト、家宰アルバ、明日会議室に来るように時間は追って連絡する。」


そう言いひとまず家臣団との謁見は済んだ。

さて忙しくなるぞ。




◆◆

種族

この大陸には女神ニムスが作ったとされる種族が8つ存在しており、人族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族、小人族、巨人族、魔族、竜人族がある。


敵対しているとこもあれば共存している種族もある。

人族は獣人族、エルフ族、ドワーフ族、小人族と仲はいいが、巨人族、魔族とは敵対している。

竜人族は中立の立場におり傍観を決め込んでいる。


爵位

国ごとに君主の呼称は違うが、爵位は同じである。

上から公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、とあり。

その他、準男爵、上級士爵、下級士爵とある。


公爵~男爵は国の君主により叙爵するが、準男爵は、貴族から叙爵される。

例外として公爵位は王族にのみにしか与えたれない。


士爵位は貴族からも叙爵され、国から叙爵されるか貴族から叙爵されるかで権威が変わってくる。

国から叙爵されれば国内外で通用するが、貴族からだとその貴族の領内でしか通用しない。

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