第2話 負け戦の後に残るもの。

「ガゥエル様何を言っておられるのですか!敵がそこまで迫ってきております、退却致しましょう!」


そう言ってきたのは、ジルベルトというフェルナン家に仕える武官の者であった。


歳は50を少しすぎたくらい、白髪混じりの髪は伸ばされており、後ろでまとめられている。深いシワが顔にあり瞳が金色に輝き威厳を感じさせる。


「わかった。全軍撤退!」


そう告げると鐘が鳴り響き我が軍が撤退をしはじめた。


「殿は、第三騎士団を向かわせ。」


すぐさまジルベルトが伝令に指示を飛ばすと我々は馬に乗り、戦場を急いで離れた。


「いそげ!遅れるな!」


周りでは将校達が、歩兵に指示を飛ばしながら、馬に乗り道を駆けている。


「爺!こちらの損害は!」


こちらの損害が気になり、ジルベルトに聞くと直ぐに、周りの兵などから話を聞きまとめ教えてくれた。


「はい!フェルナン家兵数5000、約1000の死者がでました。そして、お父上であらせます御館様もお討死。」


そうジルベルトは報告し悔しさに顔を歪ませた。


詳しく聞くと、どうやら父上は我が国、ルグム公国本隊と軍議をした帰りに、敵の策にはまり不意をつかれ討死したらしい。


他の貴族の領軍、果てには公国本体にも被害が出ており、本体では油断した多数の指揮官が討たれたと。


逆に敵の損害は軽微であり、敵奇襲兵約7000らしいが、奇襲が上手くいき、指揮官級が討たれたため、指揮が混乱し敵の優勢らしい。


話を聞いているとき、ふとジルベルトの顔を見ると暗かった。父が亡くなったことに今後のフェルナン子爵家を心配しているのだう。


俺は父が亡くなったことに悔しさを覚えた。

父は俺のことをいつも褒めて下さり、領民にまで慈悲を見せる名君だった。


戦での討死などは兵家の常だ。

そう思えたらどれほど楽であっただろうか。


さらに兵の損害を聞くと、第三騎士団は殿のため壊滅、第一、第二騎士団は無事。

残りの領民で構成された、歩兵は約500が亡くなった。


だがまだ被害はマシな方らしい。

他家では、全軍壊滅があったらしい。

当主と近習だけ逃げ延びたらしいが領地に帰っても軍の再編は絶望的だと。


ジルベルトと軍の被害や戦の状況を聞いているかな、道中追ってが迫り少々の小競り合いをおこなったが何とか戦線から離れられた。


そして一週間程休む暇を減らし行軍を続け、

運よく魔物に合わずなんとかフェルナン領へたどりついた。


「なんとか着いたな爺。」


「えぇ、これから大変になりますぞ、フェルナン様。」


時刻はまだ早朝、閉ざされた門へと向かい将校が大声で言った、


「フェルナン子爵様のご帰還である、門を開けよ!」


そう将校が叫ぶと門が開けられ、我が軍は街へと入っていった。

だがその顔は必ずしも明るいという訳ではなかった。


『これが負け戦の代償か。』


残った者たちの顔を見て、そう思った。




◆◆

魔物

世界には魔物が存在さており、邪神の眷属と呼ばれている。

人とは中立なものもいれば、仇なす魔物もおり、それらは冒険者によって討伐される。


約400年前突如、魔王と名乗る男が現れ、魔物を総ていたが種族の垣根を超え、一丸となり各国が討伐隊を作り討伐した。

しかし魔族、巨人族は魔王の配下になったため、魔王討伐以降も魔物を操り国などを襲っている。

魔物の脅威が薄くなったためまた国が争い始めたと言う学者もいる。


階級と主な魔物


神話級:魔王、悪魔等

幻想級:ドラゴン、リヴァイアサン、死霊王、

ガルーダ等

天災級:ワイバーン、グリフォン、リッチ、

クラーケン等

災害級:マンティコア、グリーンオクトパス、

サンダーホーク等

上級:バジリスク、セイレーン、イエロービー

中級:オーガ、オーク、フォレストビートル

下級:ゴブリン、コボルト、フォレストウルフ

初級:スライム、野兎


冒険者は次で紹介…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る