第4話 レミンとビッシー


 ビッシーは元野球部キャプテンで、精悍&爽やかなスポーツマン。

 春の県大会準々優勝という歴代最高の結果を出して部活を引退した。

 キャッチャーというポジションのせいか、統率力と責任感と周りへの目配りに長けたガタイのいい男だ。

 かといってオラオラぶった自己中ではない。

 逆に、曲がったことが嫌いで「俺は公平公正でありたいと心がけている」みたいなことを言っていた。

 そんなセリフを臆面もなく口に出せるのがビッシーだ。

 みんなこいつを信頼しているし頼りにしている。

 まあ、とにもかくにも「器がでかい」ヤツなのだ。


 レミンは、なんというか「ギャル」になりかけのような見た目。

 目立たないように髪の奥にメッシュを入れたり、こっそりデカ目メイクをしてみたり、小指だけ自分でネイルをして何だかよく分からない模様になってたり、たまにスカートを短くしてニーハイソックスを履いてきたり……。

 本人いわく「ギャル系とぴえん系のかわいいとこだけ」取り入れてるらしいが、成功しているとはあんまり思えない。

 そんな自慢も失敗もあっけらかんとしゃべってしまうのがレミンで、とにかく屈託がなく裏表もない。

 だからみんなに好かれているし、可愛がられているし、要するに天性の愛されキャラなのだ。

 ビッシーとは保育園からの幼なじみで、家も近く、家族ぐるみの付き合いらしい。

 出会った頃からずっとレミンはビッシーのことが大好きで、それを隠しておける性格でもなく、夢は「ビッシーのお嫁さん」と小学生の時から公言している。


 二人がちゃんとした恋人関係になったのは、ビッシーが野球部を引退してからのこと。

 ようやく一歩前進してレミンは幸せいっぱいだった。

 と言っても二人の間柄はほとんど変わることもなく、レミンがわいわい騒いでビッシーが後始末というパターン。

 レミンはビッシーの言うことは素直に聞くし、ビッシーはレミンが暴走しそうになまでは笑って見ている。

 たまに「せやわ〜しが言うたやろが〜」とかかあ天下の片鱗を見せることもあったけど。

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