第一章

仲間と旅1

翌日。出発。


「よし、行くぞ!」

「うん!」

「で、どっちに行けば?」

そこかい!

「迷っても、大丈夫でしょ。まずは道なりに進んで行けば良いんじゃない?」

「行こう。未知なる場所に。」


私達は、旅に出た。昼までは、順調に進んだ。


私達の旅 1日目の夜。

「おいおい。マジかよ。」

「これは…ヤバいね。囲まれてる。」

「向こうは、少ないみたい。」

「そっちに向かって、走れ!」

はい!モンスターに囲まれました! 現在、走って、 切り抜けようと……って、私が最後じゃん!やばい!後ろからモンスターが。しょうがない。魔法を使うか。

meteoraミーターscatteringスキャタリング detnationデットネイション

周囲を爆発させ、周りの敵を一掃する魔法。進みやすい。よし、追いついた。


「ここまで来れば… icicleアイスクル removerリムーバー crucialクルーシャル

つららがモンスターを囲むように落下。


「私も。meteorミーター, meteoriteミータ−ライト detonationデットネイション。」

爽快感が…。爆発でモンスターは全て倒せた。魔法が強力すぎる。


「本当に強いな。 お前らは。」

声がした。どこかで聞いたことあったような…?

「君は!…誰だっけ?」

「忘れたんかい!」


思い出せなかった私に変わり、日向が答える。


「ほら、あの、 洞窟で会った…流海。」

「お前は覚えてるのかい!」

「俺達に何の用だ」

「行くあてがないから、お前らの仲間になって旅しようと思ったんだ。」

「それなら1人で旅しなよ。」

「お前ら強いじゃん。」

「つまり、守ってほしいっと。」

「ヘー。情けな。」

「仲間が増えるから、別に良いんじゃない?」

「そうだね。」


なんだか、RPG系のゲームみたい。これからも増えて行くかな?楽しみ。




1時間くらい歩いた。さすがにもう眠い…。寝たい。って思ってる時に!?なんで?モンスターが来るの?オオカミだし。仕方ない…戦うか…。

moonムーン swordソード

40匹くらいしかいないのか…。良かった。こっちに15匹来た!斬り倒す。簡単に。もう、秒で終わる…って、流海、弱い…2匹で苦戦してる…。そんなんで苦戦してるなんて…。今までよく生き抜いてきたね。逆にすごいよ?ほんとに弱い。助けてやろ…。

「ありがとな。」

うわ、生意気…。メンタルズタボロにしてやりたい…。

「夜月。マナの回復、よろしく。」

「オッケー。moonムーン recoveryリカバリー

月が出ている時にしか使えない、マナを少しずつ回復させる魔法。

「ありがと。」

「眠…。」


もうそろそろ寝たいなぁ。


「そうだな…寝てる時にモンスターに襲われたら…。」

「俺が見張っててやるよ。」

「流海?弱いのに?大丈夫?」

「大丈夫だ。」

「そう…」


あ、もうダメだ。不安な気持ちを抱えたまま、私は眠りについた――。


日が昇ってくるころ、私は起きた。


よく寝た感じがするよ。皆は、寝てる。流海も… おーい、なんで寝てるんだ〜。あれかな? 開始5分で寝落ちしました〜的なやつ?見張ってるって言っておいて何もしてない。信じた私がバカだった……。でも、奇襲をかけられなくて良かった。 奇襲って戦国時代かな?ま、まあ、そこは置いといて(どこに?と聞かれると困るけど)、朝食の準備をしないと。


まず、落ちてる木の枝を拾います。それを、かばんに入っている石(先が尖ってて、包丁みたいになってる石包丁)で削ります。それの用途は、後で説明。


次は、火起こしをします。木を持ってきて、さっきの削りカスに火を着けます(ライターで)。小さい木から乗せていきます。キャンプの焚き火みたいだね!


次は、昨日の夜に倒したオオカミの肉を、石包丁で切っていきます。石包丁って、石器時代だよね。縄文時代付近かな? 確か打製石器から磨製石器に移り変わるけど…石包丁は…打製石器かな? あれ?……えーっと、話がずれた。切った肉は、木を削って作った串に差します。これで網がなくても直火で焼ける。


これで、焼き串風オオカミの焼き串!(焼き串って2回言っちゃった。) あとは焼くだけだけど…皆を起こすか。


「おーい、起きて〜」


氷水が一番最初。次は日向。


「おはよ〜。」


最後に流海。


「朝ごはんはこれを焼くだけ!」

「お、焼き串か。作ったのか?」

「もちろん!」

「すごいじゃん。」

「俺…これ、 初めて見た...」


あーそうか〜。 流海はこの世界の住民だもんね〜。 見たことないのか〜。


「それじゃあ焼こ?」


焼き始める。 じっくり待って……………よし、これでいいかな。我ながら完璧。食べよ。…いただきます…。1口目。あ、これは…良くも悪くもないかな。タレがあったら良かったのに。仕方ないか。 まあまあ美味しいから、結果的にはオーケー。 でも、野菜が欲しくなる…。この世界にはレタスやキャベツはあるのかな?あったら完璧なんだけど…分からないからいいかな。流海はあてにならないし。


――ごちそうさまでした。

――こうして、2日目の朝食は済まされたのであった――。


出発。


流海の話によると、もう少しで村に着くらしい。とにかく歩きに歩きまくって、進んで行く。

すると、家が見えてきた。流海の話は本当だったみたい。良かった。でも、村に活気がない。誰も外にいない。閑散としている。なんだろう。少し、嫌な予感。この村に何かあったのかな…。とにかく、村人を探そう。話しはまとまり、別れて探すことに。


1軒目、誰もいない。2軒目、3軒目と、誰もいない。4軒目。呼び掛けてみたところ、声がした。


「あの〜すみません。旅の者なのですが…ここで、何かあったのですか?」


「ああ、私達の村は、今日、モンスターの大軍に襲われてしまうのです…。」


「えっ…と?」


「先日、この村にモンスターが来たのです。そいつ、言葉を喋ったのですよ。『明日、この村を壊滅させる。』と。」


「それは…」


「助けていただけますか?」


「仲間を呼ぶので、話し合って決めます。助けたい気持ちはあるのですが。独断は避けたいので。」


と、言うことで。話し合ったところ、助けることに。村長は、


「ありがとうございます。」


って言ってた。


夜までに戦う準備。流海は弱いから、家の前で見張る係。もし、モンスターが来ても、1、2匹だと思うから。私と日向で片方、氷水が反対側。作戦はこれでオッケー。

あ。暗視の効果を、皆につけないと。


darkダーク ayeアイ


これで大丈夫。だと思ったけど、村人Aが、剣を研いで、鋭くしてくれるらしい。村人達は、出来ることなら何でもやる状態。頼もしいね!


夜になる前に、日向の案で異世界転生した理由を話し合ってみた。


「異世界転生した理由。」

「転生っていうと、トラックに轢かれるって言うのが多いよな。」

「転生じゃないと思うな。」

「なんで?」

「転生って、現実世界で死ぬことで成立するでしょ。」

「確かに。」

「話を変えるが、俺の推測を聞いてくれ。現実の世界とこっちの世界で、時間の進みが違うんじゃないかと思う。」

「あー。それだったら、現実世界の私達は寝ているってことになるのかな?」

「それは…分からない。でも、もし俺の仮説が正しいとすれば、そうなるな。」

「私達がこっちに来た理由を聞いたんだけど?」

「この世界を救うため?」

「それは…ないと思う。」

「私達の魔法。世界に1人しかいない昼と夜。そして、珍しい氷の魔法」

「もしかして、この世界を救ったら私達、現実世界に戻れるかも?」

「今のところははっきりしないからな…。合ってるかもしれないし、間違ってるかもしれない。まだ、正しい答えは、何一つ、見つかってないんだよ。」

「そうだね。」


やっぱりそうなるか…。


お、剣が届いた。 あとは、夜を待つのみ!




夜。決戦の時。


moonムーン swordソード!」

「いいか?魔法もどんどん使って、この村を守るぞ。」

「行こう!」

『おー!』


あ…想定外。モンスターが大量に押し寄せて来てる…。骨とかゾンビみたいな奴とか、色々…これは…1人だと無理があるね。良かった。日向がいて。


モンスターを倒していく。数が減らない。もっと…早く!剣を!


もっと…


もっと…


「夜月!落ち着いて!」


落ち着い…て。そうだ。そうだね。私は、1人じゃないから。私が倒れたら、日向に任せることになる。突っ走ったらダメだ。ありがとう、日向。


「ありがとう…私は、もう、大丈夫!」


間で体を包み、攻撃を弾く防御技、効果時間は、10分。マナの消費は激しいけど、これで、攻撃に専念出来る。


darkダーク barrierバリア


行こう。日向。


「私達なら、勝てるよ!夜月!」


「そうだね!日向。」


この調子なら。


meteorミーター! breakブレイク starスター!」


星が、モンスターに当たる。そのモンスターは、砕けた。マジで?さすがにこれは…うん。あまり使わないでおこう。


次に、モンスターに囲まれた時に使える魔法。 今回は、自ら囲まれに行くけど。


meteorミーター! scatteringスキャタリング detnationデットネイション。」


はい、強ーい。


「良いね、夜月。けっこう減ってきたよ。」


「ラストスパート!一気に行くよ!」


モンスターを、次々と倒していく。私達、息がぴったり。この調子。


そして私達は、すべてのモンスターを倒しきった。魔法が強すぎる。


「終わった……。」


「お兄ちゃん!助けに行かないと…」


「そうだった…急ごう。」


走って、村の反対側へ。


「お兄ちゃん!」


倒れてる。


「息はしてる…モンスターを、氷で来れなくしたんだね。私が倒しておくから、日向は氷水を家まで運んで。」


「分かった。無理はしないで。」


「そっちもね!」


氷を壊す。

breakブレイク starスター

こういう時には役に立つ。氷が砕け散る。モンスターの数は…少ない。すごいな〜。氷水は。それじゃあちゃちゃっと片付けてっと。


よし、オッケー。家に戻って報告しないと。家に着いた。疲れたな〜。さすがに。


「よくぞご無事で!」


「あー。全員倒しましたよ。」

「あ……ありがとうございます!なんとお礼をすれば良いのか…。お疲れでしょうからゆっくり休んで下され。」

「ありがとうございます。」


氷水が起きてきた。言葉を話すモンスターはいなかったの、と聞いてみたところ、どうやらいたらしい。会いたくなかったから良かった。


次の日。村に居させてもらい、その次の日に出発。

私達は、次なる場所へと、歩き始めた。


その後すぐのこと。


ある一日ー♪森の中ー♪くまさんにー♪

…出会っちゃった…。思わず、私は逃げ出してしまった。 日向の、制止する声も聞かずに――。


気づいた時には遅かった。木々が密集している森だから、すぐに再会できそうにない。――木によくぶつからなかったな〜。それにしても、歌の通りになるとは――。

声が聞こえた。――誰の声か分からない――だから、その方向へ。えーっと? どこにいるかな〜?あ、いたいたこの人か。くまさんに襲われている。助けよ。――勝ち。私が強いのかくまさんが弱いのか…いや、前者かな。


「あ…ありぎゃ…ありがとうごじゃ…ございましゅ。」


いや、噛みすぎ。どうなってるの?滑舌。 さすがにこんなことは聞けないけど。


「どういたしまして。」


「あの!私、迷ってまして、森から脱け出せないんです…。」


滑舌良くなった!さっきは急で驚いただけかな?


「あはは…実は私も…。でも、私は仲間を探してるんだ。はぐれちゃって…。」

「そうなんですか。一緒に探します?」

「え、良いの!?」

「助けてもらったから…その間に森から抜け出せれば良いし…」

あれ、敬語じゃなくなった。 まあ、良いんだけどね。


「ありがとう!」

「あ、私、草香そうか。」

「私は夜月。よろしく。草香。」

「うん!」


明るい人。名前からして、多分、草の魔法を使うのかな?

仲間の外見を伝えて、早速探す。1人よりは2人の方が効率が良いはずだから、一緒に探してもらって、とても助かる…。でも、全然見つからない。――そのまま夜になってしまった。


暗視があるから、探すことは可能だけど…眠い…。 寝ることにした。


太陽が昇りきった頃、私達は再会した。


「夜月!やっと会えた〜!」

「心配かけちゃったね。もう、はぐれないようにするよ。」

「じゃあね、夜月。」

「待って!草香!私達と、一緒に来ない?」

「一緒に?」

「そう。私達は旅をしてる。仲間が増えれば、楽しいでしょ?だから、一緒に来ない?」

「良いの?…他の人は?」

「私は歓迎だよ!」

「俺も」

「同じく。」

「草香、どうする?」

「……行こうかな…。」


自己紹介を軽くした。草香は、予想通り、草の魔法を使うみたい。もちろんのように、私達の魔法 ――昼、夜、氷――には驚いていた。


その後、出発した。仲間が増えた、私達は。


一週間後。私は、夢をみた。現実世界での、出来事の――。


・・・


私はずっと、1人だった。日向と会うまでは――。


私に友達はいなかった。友達みたいな人はいたけど、信頼できず、価値観も違った。 私は周りに合わせて、会話していた。


ある日、人をいじめているグループ(加害グループ)に入らされた私は、何もせず、ただその光景を見ていた。傍観者だった。でも、人に合わせる癖がついてしまっていて、被害者も、加害者も肯定してしまい、


「どっちの味方なのさ。」


と、言われてしまい、いじめのターゲットが私になった。元被害者は、少人数の友達を作った。 孤立しているのは、私だけ。これで良かったのだと思う。先生に何か言われても、嘘をつき、加害グループと合わせれば、そのうち先生も諦める。簡単だった。


その後、日向が転入してきた。 第一印象は、明るい人。私とは正反対で、普通なら関わりを持たない世界の人。当然、明るい方のグループに入る。そのグループは、加害グループだった。でも、見てるだけ。会話を聞いても、人と合わせているような話し方。――私と同じ――…でも、私は話さなかった。私と、同じようになるから。不幸になるから。しかし、この日常は、たったの6日で壊された。日向が、加害グループに、意見を――文句と呼ぶに等しい――言った。加害グループは、私を入れ、ターゲットを日向に変更した。――こうなることは、予想していた。この日の前日、私は、彼女と話したから。


「なんで、何も言わないの?なんで、話してくれないの?」


こう言われた。私は、


「独りなのは、私だけで良いから。みんな、幸せでいてほしいから。」

「ふーん。優しいんだね。」


初めて、優しいと言われた。


「私とは、大違いだよ。他人の顔色ばかりうかがっている私とは。」

「え?何も変わらないよ?私も、そうだから。」

「うん。」

「自分の意見を、はっきり言ってみれば?私は、君を、独りにはさせないよ。」

「ありがとう。ちゃんと、助けてよね。」

「もちろん」


この会話があったから、日向は意見を言った。 私は、有言実行をしなければならない。独りじゃないから。立ち上がれる。


「どうして、仲間を傷つけるの?」

「こいつ、文句を言ってきたんだ。」


相手の怒りを、煽るように、私は口を開く。


「ふーん。それだけ?たったそれだけのことで人を傷つけるんだ〜。バッカみたい。」

「この…!」


教室は、静まり返っている。


「ほ〜ら、そういうところだよ?そうやって、 人に当たって…何も、解決しないのにね〜。あ、君には解らないか!」

「解ってるさ!」

「解ってるなら、止めれば良いのに。解ってないから、そうやって、傷つけるんでしょ?」

「止めてよ…2人とも。」


誰かが、声を出した。


「止めてよ…。」


日向が、泣いていた。


「夜月、ありがとう。私も、独りにはさせないから。」


そして、加害グループの方を見て、


「もう、あなたたちとは関わらない。関わりたくない。」


と、はっきり言った。




こうして、私達は友達となった。私達は、とても似ていた。価値観や好きなものまで。そのなかで、違うことが1つ。 好きな時間帯だ。私は夜。日向は昼だった。

――多分、これが、昼と夜の魔法になった理由――。


      ・ ・ ・



目が、覚めた。夢…だった。忘れていた、日向との出会い。どうして、忘れていたんだろう。私達の魔法が、昼と夜になっている理由に、納得できたから、良かったけど。



朝食の準備。草香と一緒だ。実は、前の村でフライパンのようなものを買っておいた。底が焦げないフライパン。洗うのが楽。すごく楽。火起こしして、肉――昨日、倒した牛の――を、焼く。草香は、食べられる野草(野菜?)を持ってきてくれるらしい。――あ、帰ってきた。キャベツみたいだ。ん?レタス…?中間ぐらいの見た目…?んー?分からない…。どっちにも似てる…。ま、良いか。その野菜を炒めて、肉と一緒に盛り付けたら……出来上がり。なんて言うんだったけこれ… 回鍋肉? いや、違う… 野菜炒め…も、肉が入ってるから、違…いや、ん? …ダメだ。分からない。 まぁ、美味しかったから、良かったけど。




昼。突然、雨が降ってきた。急いで近くの洞窟に…って、無いじゃん。探さないと…その間、また、日向たちと離れてしまった。でも、草香がいる。…前と一緒…。


「ねえ、 夜月。」

「うん?」

「夜月、さ、いつも、日向と一緒だよね。もし、 今、ここで、夜月を斬ったらさ、日向、どんな顔をするのかな?どうなっちゃうのかな?」

「まさか――」

「夜月、あなたが憎い!いつも、隣に日向がいて。私は、1人なのに!」


…これって…


「…草香の気持ちは…分かる。私も、そうだったから。」

「嘘つかないでよ! ずっと、日向と一緒だったんでしょ! ずっと、ずっと!」

「違うよ。日向とは、2年くらいしか、一緒じゃない。」

「そう。だったら――!」

「でも!それが人を殺す理由にはならない!いや、人を殺す理由は、何もない!人を、殺しちゃダメだよ。」

「ふふ、そんなこと言っても、もう、遅いよ。私は、あなたを――!」


これは1回、落ち着かせないと…。彼女の剣を取れば、多分、大丈夫。


柄を狙って…峰打ちで…ここ!


「よし!」


剣は、私の後ろの地面に刺さった。


「残念だけど、私は斬れないよ?ねえ、教えて。 どうして、私を憎んだのか。」


「私…私…ね、家族から、村から、追い出されたの。なんでなのかは…分からないけど…。魔法は、これがあったから、問題なかった。夜月も、 持ってるでしょ。これは。でも、剣の扱いは、 独学。何度も、倒されそうになった。私は、孤独だったの。それなのに…あなたは…あなたは私と違った! 恵まれていた!幸せそうだった!だから――!」


「…そうなんだ。……草香、あなたの気持ちは、分かる。昔…日向と会う前だけど、私も、同じだった。そして、今も、そうなる可能性があった。」


「どういうこと?」


「私…流海以外の3人は、違う世界、異世界からきたの。」


雨脚が、弱くなってきた。


「日向と、氷水がいたから、独りじゃなかった。でも、もし、日向がいなかったら?私は独り。 旅に出ていなかったかもしれない。全部、偶然。 私と、草香が、出会ったことも。奇跡だったんだよ。偶然が、重なったことで起きた、奇跡。」

「偶然…。」


雨が止んだ。


「草香、1人じゃ、ないよ。私が…いや、私達がいるから…」

「1人じゃ…ない。うん。夜月、ありがとう。」


太陽が出てきた。


「ありがとう。」


良かった。元気になって。


「夜月ー!良かった!ここにいたんだね!」

「日向!」

「あれ?草香、何か…変わった?」

「気のせいじゃない?」

「お、虹だ。」

「わぁ、本当だ。キレイ…」


虹は、いつか消えてしまう。でも、思い出は、ずっと――。


私達は、また、歩き始めた。もう少しで、次の村に着くらしい。

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