番外編4

「……父さんってさ、常識知らなそうだよね」

「「む、なんだ突然。吾輩ほど常識のあるケガレもそうはおらぬぞ」」


まず知能のあるケガレ自体片手で数えることができるほどしかいないだろう。母数が少なすぎて比べることができない。

フィムは金髪を揺らして、父親へ常識を問うたが、予想通り「ある」と答えてきた。

基本自分への信頼が高いのだ。


「……じゃあさ、他の天使と仲良くなるにはどうしたらいいとか、知ってる?」


感情の起伏も、声の抑揚も少ない声音で疑問を漏らす。

――自分に従ってくれる天使がいた場合、仲良くしたいとフィムはなんとなく考えていたので、ここらで1つ父親を頼ることとしたのだ。


「「ふむ……」」


父親は何か考え込んでいる様子で、重なった声を思考の隙間に漏らす。

大きい体を動かし、フィムの半身程もある顔をもたげて飛竜は声を発した。


「「吾輩の娘は可愛いからな。ただ話しかけるだけでも上手くいくのではないか?」」

「……そっか」


可愛いというのも、他の天使達にあったことがないからわからないが――、


「父さんが言うならそうかも……ね」


フィムにしては珍しく、少し笑ってそう返答したのであった。


         ■■■


余談だが、イベリスと普段通り接してあまり仲良くできなかったとき、父親を見る目がいつもより更に無表情になったと言う。

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