番外編2

「――僕らの代わりにファーシスたちが探索してくれてるの?」

「そうらしい」


白い天井をみながら喋るリヴァに、キリュウさんがその質問を肯定する。

リヴァはそれを聞き、まず申し訳ないと思ってしまった。

――リヴァが、皆を守らないといけないのに。


「……あー、ところで」


そんな、思い詰めた顔をしているリヴァを見かねたのか、キリュウさんは無愛想ながらに話題転換をしてきた。


「……やっぱりタバコの匂いしちゃう?」

「……結構」


正直に答えたリヴァは、キリュウさんのなんとも言えない申し訳無さそうな表情を見た。

タバコを吸いたいけど、天使たちの前では吸えない。

その折衷案を考えてるような、真面目な顔をしていた。

そして飛び出た言葉が、


「リヴァ、一回タバコ吸ってみない?」

「貴方何言ってるかわかってます?」


これである。

ノータイムで諭す言葉が出てきてしまった。


「あたしは天使の前では吸わないと決めてる。――だけど、天使ともタバコの感想を言い合いたいじゃない」

「真面目な顔して何言ってるんですか」

「いや、でもちょっとくらい」

「遠慮しておきます」


段々とキリュウさんが軽く縋るような口調になってきた。


「いや、体験って」

「結構です」

「えぇ……」


――その日、キリュウさんのやる気が密かに下がったのは内緒の話である。

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