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「なるほどね。友達、か」
「まあ、要約するとそんなところだ。わかったか」
俺は報告していた。煙草を今日も吸っている依頼主の森本天青、天に報告していた。あらすじだけ切り取って、要約してまとめてだけど。
「それなら私も友達だから、目標は達成しつつあるわけだね!」
「さあ、本人はどう思っているか」
「うそ!」
「冗談。たぶん遥楓も天のことは好きだと思うよ」
「まあ、そうだよね。わかってるよ、私も」
彼女は、遥楓は自分のことを無個性だと言った。そして自分からなにもしなかったから友だちができなかったと言った。しかし、俺は彼女のことは無個性だとは思わないし、とても魅力ある友人だと思う。友達になれてよかったと、そう思う。勉学に励んでいたからか、頭がすごく良いし、話していて理解力があって安心感がある。貿易系とは言っていたが、事業成功していて大人の対応も、社会通念も、そういった理解力も知識も豊富にある。飲み会のときにも思ったが、話していて尽きることのない、良い意味で大人なんだなと、そう思った。
「それにしても、こんなこと全員分やるのか?」
「ええ、おねがい」
「そんな事に意味はあるのかよ」
「意味はなくても、私にとっては大事なこと」
「それは天のことも、調べろってことか」
「ええ、もちろん。あなたのことも、久くん」
俺のこと、か。俺のことなんて、そんなの面白いことは何もない。何一つ面白いことなんて無いのに。俺もただ、普通になりきれなかっただけ。特別にもなれなかっただけ。
本当、ただそれだけである。
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