Lv.-20 お土産

 レベル1。残り日数も後1日となってしまった。念のためこの世界で思い残すことがないようにはしておきたい。


「ということで、お土産を買いに行きたい」

「何が、ということで、なのか全くわからないのですが?」

「お土産と言いますと、誰へのお土産です?」


「まあ、どうなるかわからないけど、元の世界に帰れるとして向こうに残してきた家族用だな。あー、後は友達とかに異世界に行ってきたーって言えるような土産があるとなお良い」

 もっとも、異世界に行ってたなんて信じてくれるとは思えないが、土産を渡せば少しは信じてくれるかもしれない。


「そういえば、王都にお土産屋さんであるのかしら?」

「姫様、一応あったとは思いますが……少し皆に聞いてまいります」


 どうやら、王都にもお土産街的な通りがあるらしく、三人で向かう事になった。


「勇者殿、この木剣?って形が勇者殿の持っている刀の形をしていますよ!」

「木刀だな。しかもご丁寧に『エクスカリパー』と日本語で彫ってある。こっちの人は意味わかってないんじゃないか?」


「おや、王都土産ですが? それは由緒正しい勇者様が使用したと言われる聖剣を模倣したものです。一本いかがですか?」

 やいのやいのと土産物を漁っていたら土産物屋の主人が奥から出てきた。

「あー、とりあえずは1本もらっとくが、他におすすめはあるか?」

 こっちのお金自体は残してある分だけで土産物屋ごと買ってもお釣りがくる程ある。せっかくなので色々見せてもらおう。


 土産物屋の主人は満面の笑みで売り物を並べ始めた。

「これも勇者様が作らせたと言われる木彫りのクマです。勇者様の世界のクマは酒好きらしく、ジョッキを咥えているのが特徴です」

 次から次に良くわからないものが並べられていく。

 聖剣にドラゴンが巻き付いたような短剣サイズのキィホルダァや各種ペナント。

 歴代勇者を刺繍であしらったハンカチなどはむしろ高級品かもしれない。


「いやー、買った買った。アイテムボックスがないと困るとこだった」

 結局、出されるがままに色々購入した。ネタ的な意味では実に良い買い物をしたと言えよう。

「しかし、ここにあるお土産物はほとんど勇者関連でしたねー」

「王都に限らず、この国での勇者は大人気ですから仕方がないかもしれません」

 そういうアイギスも木刀を抱えている。


「次は普通に特産品とかの勇者関連じゃない土産を見に行こう」

 主に食品関連を扱っていそうな店に入る。

「勇者センベーに王都マンジウ……、この国の文化は大丈夫か?」

 色々と不安になりながらもガッツリと買い漁った……













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