Lv.-17 アイギス

 レベル4。昨日のミナに引き続き、今日はアイギスと二人で街を散策していた。


「勇者殿……」

 キョロキョロと周囲を伺い、アイギスが小声で呼んだ。

「ん、今日は近衛騎士団は着いてきてないんじゃないのか?」

「えぇ、あの、それで……」

 珍しく言い淀むアイギスの左手がそわそわしている。

「じゃぁ、行こうか」

 アイギスの落ち着かない手を捕まえ、しっかりと指を絡めてつなぐ。

「あっ……」

 多少強引ではあるが、そのままアイギスを連れて目的地へと向かった。


 ◆ ◇ ◆


「ここも懐かしいな」

 王都を一望出来る見張り台の一つに上がってきていた。

 召喚されてすぐの頃、体力作りを兼ねてこの見張り台の登り降りをさせられたものだ。

「あの頃のアイギスは鬼教官だったなぁー」

「ちょ、そんな昔の事は忘れてください」

「いや、ほんの半年前のことだぞ……ってまだ半年か。もう何年も一緒に居た気がするよ」

 召喚され、鬼の基礎訓練をこなした後は周辺モンスターを間引きつつ魔王探索から討伐とために各地を転々としていた。

「私もです。いえ、私は今までも、また、これからもずっと貴方と居たいです。たとえ別な世界に別れようとも貴方を愛しています……」











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る