Lv.-08 禁書庫
レベル13。王城の図書室。ここには古くからの文献が収められている。
また、その更に奥には禁書庫と呼ばれる限られた者のみが立ち入りを許されたエリアがあった。
もっとも、俺たちは国王直々に許可をもらっているので、その禁書庫の本を漁ろうとしていた。
「勇者様、そこには近づかないでください。そこの本を手に取るには手順が居るのです。うっかり触ると呪われますよ」
図書室の番人でもある司書さんに注意を受ける。
「大丈夫ですよ、俺、基本的に呪い無効ですから」
女神の恩恵の効果で状態異常は無効なのだ。
「そんな問題ではありません。勇者様が大丈夫でも、周囲や、本自体に影響が出る場合があるのです!」
ガチに怒られてしまった。
「あれ? それなのに勇者様は呪われてしまったのですか?」
ミナは納得がいかないように首をかしげた。
「たぶん、女神の恩恵の効果はレベル99までの状態異常が無効ってことだと思う」
呪い自体が効かないのは確認済みだ。まだレベルが低い時にも俺よりレベルが高いゴーストの呪いもレジストしていた。
「ああ、あのゴーストか。勇者殿がまだ弱っちい時のやつだな」
そういえば、あの時の指導教官はアイギスだった。って、アイギス達近衛騎士団は全員休暇だと聞いたと思うのだが……
「ところで、何でアイギスまで図書室に居るんだ? 近衛騎士団は強制休暇だったはずだよな」
アイギスは目をパチクリさせた。
「もちろん、勇者殿の呪いを解くためですよ? 休暇中ですが、別に勇者殿に着いて廻っても問題はないと思いますが?」
確かに問題はないが、良いのか? 確認すべくミナの方を見た。
「アイギスが良ければ私の方は問題ありません。仕事外とは言え、騎士団長であるアイギスがいてくれれば護衛としても安心ですし……抜け駆けも悪いですしね」
最後は何か小声で言っていたようだが聞き取れなかった。
「さて、この禁書庫ですが、王国として一般には表に出しづらい歴史書等が収められていますが、呪いのかかった魔法書や何かが封印された書物等もあります。つ、ま、り、勝手に触らずに読みたい本がありましたら私に言ってください。いいですね!」
禁書庫は思ったよりも危険なようだ。まずは、解呪に関する本、そして、魔王について書かれた本からピックアップしていこう。
「勇者様、お昼になる前に一旦ここを出たほうが良いのではないでしょうか?」
「確かに、勇者殿の呪いが発動した場合、この禁書庫に悪影響を及ぼす可能性がないとは言えません。続きは昼ごはんを食べてからとしましょう」
そういえば、この魔王の呪いは発動時には呪い鑑定の水晶玉を壊すくらいの威力があったのだった。
「そうだな、根を詰めすぎてもなんだし、一旦昼休憩としよう」
「……であるから、この世界はレベル、そして、ランクの概念に絶対的に縛られておるのじゃ。ランクというのは、簡単に言うとレベルの十の桁じゃな。一般的にはレベル10からを超越者と言うが、これをランク1とカウントする。勇者殿はワシの知る限りは人類初のランク2到達者であったというのに……」
昼食を摂りに城の一般食堂へ来た俺たちは魔導師団の団長に捕まっていた。
とにかく話が長かったが、それなりにためになる話も聞けた。要約するとこの世界は厳格にレベル、ランクによる制約がかかっているということだ。
ランクはレベルの十の桁であらわす。レベル0~9はランク0、レベル10~19はランク1、レベル20~29がランク2になる。ちなみに、魔王のレベル100はランク10となる。
状態異常等にもランクがあり、上位ランクの異常は解除できない。レベル11(ランク1)の呪いはレベル9(ランク1)では解呪できないのだ。つまり、魔王の呪い(ランク10)を解呪するには魔王同等のレベル100が必要となる。
呪いの解呪についていえば、まあ、絶望的と言うことがわかった。
同ランク帯であれば、レベルが低くても聖水等のアイテムを併用することで解呪できるが、ランクを超えた解呪は出来ないと結論がでているとも言われた。
「まあ、ワシの方でも解呪と帰還陣については調査を進めている。最後まであきらめるんじゃないぞ」
老魔道師は優しそうな目でそう告げて戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます