第7話 昌士、公園で照れる
「
「なんでそんなこと言うの。
そんな声が響いた時だった。
「コラァお前ら何やっとるんか!お前は
「うわぁ出た昌ジイだ」
「昌ジイ、隆也が来るなって言うのぉ」
夕方の公園の声が三つになって響いた。
今年、小学一年生になった隆也と夏帆は昌士の知り合いである
「えぇい、二人いっぺんに話すな!夏帆ちゃんどうしたの?」
「夏帆が俺の」
「隆也は黙っとき!さぁ夏帆ちゃん」
「隆也が遊びに行くって言うから私も連れてって手を握ろうとしたの。そしたら女は来るなって」
「そうかぁ。そうなのか隆也?間違いないか」
「だって男同士の集まりに連れていきたく無いもん」
「またそんなこと言う。隆也のバカ」
「まぁまぁ夏帆ちゃん。隆也の言う事も半分は分かる。男の子同士で遊びたい時だってあるんだよ」
昌士が二人の話を聞いている時だった。
「こら昌士、何しとるんか!」
「煩いなぁ依子。ちょっと静かにせんか」
「どうしたの?隆也君と夏帆ちゃん。昌士が怖い事でも言ってたんじゃないの?」
依子は昌士の返事を聞かずに隆也と夏帆ちゃんから話を聞いていた。
そして話を聞き終わると昌士の方を向いて「やっぱり昌士は昌士だな」と呆れたように呟いた。
「いいかい?隆也君。よーく見ておくんだよ」
「なっおい依子止めろ。手を繋ぐんじゃない!」
「良いじゃない昌士。恥ずかしがらなくても」
「うわぁ昌ジイが照れてる」
「ホントだぁ。昌ジイ顔が真っ赤だよ」
「恥ずかしくないのに何でだろうねぇ。あのね、隆也君、夏帆ちゃん。私と昌士もね、ずっと幼馴染みなのよ。そして幼馴染み同士、手を繋ぐ事も遊ぶ事も恥ずかしい事じゃないのよ?それにね隆也君。いつまでも夏帆ちゃんが手を握ってくれるとは限らないのよ?」
「えっ、そうかもしれないけど。でも恥ずかしいんだもん」
「それに夏帆ちゃんもそんな事で泣いちゃだめだよ?男の子はね、いつまで経っても子供なの。昌士なんか未だに手を繋ぐ事に照れちゃってるんだから」
「そんな事の無いわ。依子が急に繋ぐから驚いただけだ」
「昌士は黙っとり!」
「なっ「いいかい?隆也君と夏帆ちゃんが二人とも幼馴染みなのは、いつまで経っても変わらないのよ。でも二人の時間は進んでいくの。遊べる時だって傍に居れる時だって変わっていくの。だから遊べる時に、手を繋げる時に沢山繋いでおきなさい」
昌士の言葉を遮った依子の言葉にまだ少し照れていた隆也だったが、そんな隆也の手を夏帆が握り「行こ!」と公園の出口へと走り出した。
そして公園の出口に着くとパッと振り返り「依子ばあちゃんありがとう!」と大きく手を振っていた。
依子と昌士の幼馴染みはベンチに腰を掛けて、その様子を手を繋いだままそっと見守っていた。
続く
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