第2話 依子の句会
とある朝の事。
「なぁ昌士、一緒に歌会に行きませんか?誰でも参加できるだよ」
いつもは昌士の予定に依子が合わせるのだが、今日は珍しく依子から昌士を誘っていた。
「歌会って近所でやってる短歌のやつか?ワシがそんなところに行くわけ無いだろ?それに依子は昔から国語が出来た試しが無いじゃないか。いつだったか宿題で出た短歌が詠めずにワシが手伝ってやったではないか」
「いつの話をしているんですか。それに私の短歌を
「知義ってあの知義か?」
「どの知義さんの事を言っているのか知りませんが、その知義さんだと思いますよ」
「あのはな垂れも歌会に行ってるのか?」
「えぇそうですよ。私に短歌を教えてくれますよ。昌士も行きましょう。お昼からですよ」
「ワシはいかんぞ」
昌士はそう言うと、そのまま自分の家に帰りそれっきり出てこなかった。
◆◆◆
十四時。
依子が歌会の会館に着くとそこには昌士の姿があった。
「あれ昌士?来ないんじゃなかったの」
「いや、ふとな。依子の下手な短歌を聞こうと思ったんだよ。ほら依子こっちに来い」
「はいはい」
依子は昌士に呼ばれるまま、昌士の隣へと腰かけた。
「ほら、ワシが教えてやる」
依子に話しかけていた昌士は知義の姿を見つ声をかけた。
「知義、今日はワシがきてるから依子に短歌はワシが教えるぞ」
「分かりました先輩」
知義はクスッと笑いながら離れた席に座った。
「昌士!知義さんになんて事言うの。昌士よりずっと上手なのに」
少し怒っている依子の横で、今日の昌士は何だか子供のような態度をとっているのであった。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます