第76話 まさか、あなたのせい?

「おっ」

 ノワールは、一瞬ビクッと耳を立てるけれど…

「ごめん、ごめん」

ニヤッと笑う。

だがすぐに、スィッと馬車の中に乗り込む。

「だけどよく…ここまでこれたねぇ」

猫なで声を出す。

「ふぅーん」

アキはあごに手をあてて、じぃっとノワールの緑色の瞳をのぞき込む。

「もしかして…ずっと私たちのこと、見てた?」

うかがうようにして聞く。


「えっ…」

 ハラハラとした顔つきで、カガリは二人のやり取りを聞いている。

「ケイタのことも…知っていたんでしょ?

 それって、もしかして…ノワールの差し金?」

さらにじぃっと、ノワールの顔を観察する。

「ちょっと、アキちゃん!」

(いきなり、何を言い出すのよぉ~

 もしもノワールが、敵だとしたら、怒らせるのは、マズイんじゃあないの?)

 アキちゃんってばぁ~

カガリはアキの腕を突っつく。


「ふぅーん」

 ノワールは、ビョーンと身体を伸ばすと、ピンとシッポを立てる。

「アキちゃんって…時々とんでもないことを言うよねぇ」

ニヤニヤしながら言う。

「ホント、ごめんなさい」

 アキの代わりに、カガリがペコペコと頭を下げる。

ノワールは、ピョンとカガリの膝に飛び乗ると…

「でも…中々面白いとこを、ついているよねぇ」

にぃっと、大きく口を横に引いた。

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