第75話 謎の黒ネコ

「アキちゃん!だから、危ないんだってば!」

 どうしたっていうのよぉ~

あわてるカガリの前に、何かがスゥ~ッと、隣を横切る。

「あらあら、お取込み中ですか?」

いきなり何者かが、声をかけてくる。

「ほぅらね!」

アキはにぃっと笑ってみせる。

カガリは後ろを振り返ると、

「あっ」と声を上げ、あわてて口を手で押さえる。

「うそっ!」

その信じられない光景に、思わずアキを押さえる手が止まった。


 ピーターパンの後を追って、空を全力疾走する馬車の横を、

寄り添うようにして、フワフワと黒猫が浮かんでいる。

「え~っ、ノワールって、空を飛べるの?」

 まさか、こう来るとは思っていなかったので、カガリは口を

半開きのまま、固まっている。

黒猫は、ニヤッと笑うと

「そんなに、驚かなくても…」

甲高い声で、カガリに向かって話しかける。

 だがアキは、少しも驚くことなく、ノワールの方を向くと

「おそーい!」

文句を言う余裕もあったようだ。

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