第72話 ショータの企み

 アキは、イヤな予感がする。

ショータがこういう顔をする時は、たいてい何かを企んでいる時だ。

「ちょっと、ショータ!何をするつもり?」

だがショータは、アキの言うことなど、無視をすると…

ウェンディのウサギの耳をつけている方の弟の手から、ヒョイッと

網を奪う。


「え~っ!」

「ちょっとぉ!」

「ドロボー!」

 弟たちが、ジタバタと騒いでいる間に、

「すぐに返すから」

そう言いおくと、一目散に飛び立つ。

「ショータ!どこへ行くつもり?」

アキが叫ぶのを、クルリと振り向く。

「それはもちろん、アイツをつかまえるのさ!」

そうひと声叫ぶと、ショータはすさまじい勢いで、金色の粉を

追いかけて行く。

「よぉ~し、ボクも乗るぞ!」

ユウジも、嬉しそうに声を張ると、ドラゴンに飛び乗る。


「アキちゃん、私達も追いかけましょ!」

 カガリが、アキの腕を引っ張る。

「ホント、しょうがない人たちねぇ」

アキは大きくため息をつくと、

「それじゃあ、またね!」

ウェンディに声をかけると、馬車に飛び乗った。

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