第71話 ウェンディにヤキモチ

「そうそう、それに…料理も上手だしねぇ」

 先ほど助けてくれたお礼に…と、ウェンディはササッと、パンケーキを

焼いてくれたのだ。

(ケイタがいたら、ここに残ると、言い出しかねないけどね)

アキはひそかに、そう思うと…

「何よ!男って、ずるいわね!

 顔と食べ物に弱いんだから…」

思わず、自分の身体を見下ろした。


 今まで、少しも自分のことで、コンプレックスなど感じることは

なかった。

バンビのように、しなやかな足と、スラッと無駄なぜい肉のない、

スリムなその体…

(要は、凹凸がない…と言いたいのね)

年ごろの女の子には、それなりの悩みがあるのだ…

「大丈夫よ!

 アキちゃんは、十分可愛いんだから」

言い含めるようにして、カガリはアキを慰める。

自分は、カガリを守っているのだ…という自負があっただけに、

カガリに慰められる今の自分にも、ひそかに傷ついていた。


「さぁ~早く行こうよ!

 ケイタのヤツ…きっとどこかで、のん気に何かを食べているんじゃあ

 ないのか?」

 パンパンと手を叩いて、ショータは先を急がせようとする。

「そうよねぇ」

これ以上、ここでグズグズしているわけにはいかない。

アキはハァ~と、ため息をつく。

「で、ピノキオの所には、どうやって行くの?」

アキはショータを、見上げる。

「それは、決まっているだろ!」

ニヤリとショータは、余裕のある顔をしてみせる。

「もちろん、協力してもらうのさ!」

そう叫ぶや否や、ペガサスに飛び乗った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る