第62話 あの人は…

「やっと、着いたの?」

 アキはカガリに抱き付いたまま、おそるおそるまぶたを開く。

「ここって…海の上?」

どうやら馬車は、何かに乗り上げたようだ。

「違うよ、海は海でも、船の上だよ」

先についたピーターが、フワリとアキの前で宙返りをする。


「え~っ」

 その時、カガリは何かを思い付く。

「それって、もしかして…」

ピーターに食いつき気味に、話しかける。

カガリの反応に、ピーターは気をよくしたのか、

「これはねぇ~海賊フック船長の船だよ」

トンとマストの上に立つと、腰に手をあてて、満足そうな顔をする。

「えぇ~っ?」

丁度その時、ユウジのペガサスと、ショータのドラゴンが、アキの隣に

到着した。


「おい、そこで何をしているんだ?」

 マストの向こうから、ヌッと人相の悪い男が、顏をのぞかせる。

「ヤバイ!見つかったぞ!」

ピーターがトン、とアキたちの近くに、舞い降りる。

「おいおいおいおい!

 この船は、駐車場ではないんだぞ!

 勝手に、止めるな!」

ヒュン!

かぎ爪のついた腕を、馬車に突き立てようとする。

「危ない!」

すかさずピーターは、アキたちをかばうように、船長の前に立つ。

「それよりも、この子たちと同じ年ごろの男の子、見掛けなかったか?」

のん気な顔をして、フック船長に聞いた。

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