第55話 はじめまして、ピーター

「へぇ~違うの?」

 ユウジが面白がって、聞き返す。

「当たり前でしょ! 

 私は…鳥と同じくらい、空を飛べるんだから!」

どうやらこの妖精は、かなりプライドが高いらしい。

キッパリと言い切る彼女を見ると、アキはなぜか、彼女の敵意を

ビンビンに感じていた。

(なに?何なの?)

なぜ、自分がにらまれるのか、わからない…

「ふん!」

さらにソッポを向くので、ショータは一体どうしたんだ、と困惑していた。


「なになに?何かあったの?」

 いきなり、のん気な声が聞こえる。

(えっ?今度は、だれ?)

登場人物が多いなぁ~と、アキはキョロキョロと辺りを見回す。

すると、小さな家の屋根から、男の子がピョンと飛び降りてくるのが

見えた。

「えっ、うそっ!」

「ちょっと、あぶない!」

ケガをするじゃないの!

アキがあわてて、家の前に飛び出す。

だが、妖精はまったくあわてる様子もなく、

「あぁ、大丈夫よぉ~

 ピーターは、飛べるから」

落ち着き払った顔をして、アキに素っ気なくそう言う。

(えっ、なに?

 ここでは、空を飛ぶのが当たり前なの?)

キョトンとして、アキが思わず黙り込む。

「まさか、ピーターって、あの?」

なぜかカガリが、目を輝かせてつぶやいている。

「えっ、知っているの?」

そういえば…ティンカーベルと騒ぎ出したのも、カガリだった。

「ピーターって、だれ?」

そうつぶやいていると、ニコニコしながら、緑色の服を着た男の子が、

アキたちに近付いて来た。


「やぁ!ティンクが騒いでいるから、ウェンディかと思ったのに…

 キミは、ウェンディじゃないねぇ~

 キミ、ここには初めて来たの?」

青い瞳の男の子は、やけに人懐っこく話しかけてきた。

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