第53話 あなたは誰?

 そもそもここは、どこなのだろう?

とにかく、行ってみるしかない。

間もなくして、アキたちの乗った馬車も、フワリとドラゴンの

隣におさまる。

「快適な空の旅だったわねぇ」

明るくアキがそう言う。

「まぁ、そうだなぁ」

ショータは、目の前の草に、顏を突っ込むペガサスに、目をやる。

「これって、本当に…生きているみたい」

カガリが不思議そうに、ペガサスを見る。

作り物ならば、草を食べたりする必要はないはずだ。

「それは、そうよ!

 このドラゴンだって、馬車だって…自分で動いていたでしょ」

本当に、木で出来たメリーゴーランドの乗り物では、ないみたいだ。


 クスクスクス…

まただ!

アキはとっさに、カガリをかばう仕草をする。

「あなたたちって、変わっているわねぇ。

 何しに、ここへ来たの?」

ピカピカと光るものが、アキたちの側に近付いて来る。

「だれ?」

アキが声を上げる。

「あらぁ~ご挨拶ねぇ~

 それは、私のセリフよ!

 だって、あなたたちが、ここに来たんでしょ?」

フフフフフ…

複数の笑う声が聞こえる。

鈴の鳴るような、キラキラとした声だ。

「私達は、ユニコーンに乗った男の子を、探しに来たのよ」

ここで、ひるんだら負けよ!

アキはリンとした声で、そう返した。

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