第50話 追いかけよう!

「早く!」

 ぐぃっと、アキがカガリの手を引くと、目の前のカボチャの馬車に

飛び乗る。

ショータは、ペガサスに。

ユウジは、ドラゴンに。

「みんなぁ~乗ったかぁ」

ショータの声が響く。

(あれ?ショータって、こんなキャラだったっけ?)

ずいぶん、頼もしいなぁ~

同級生のてきぱきとした姿を、アキは驚いたように見ている。

「よし、それじゃあ、行くぞぉ!」

ショータの声を合図に、一斉にメリーゴーランドの乗り物が、宙に

浮かび上がった。


「ケイタは、どこ?」

 自分の隣で、固まっているカガリに声をかける。

「うーん、どこだろう?」

こうしている間にも、みるみるさっきまでいた場所が、小さくなっていく。

アキはしっかりと扉を閉めると、ギュッとカガリの手を握り締める。

「大丈夫だよ。みんな、一緒だから」

そう言いながらも、ちゃんとついて来ているのか、後ろを確かめる。

すぐ後ろを飛んでいた、ペガサスに乗ったショータと目が合う。

「おーい、大丈夫かぁ?」

すぐに彼が、手を振る。

「ほら、見て!

 ショータ、けっこう様になっているわ」

 カガリを励ますようにして、アキは外を指差す。

あっという間に、ペガサスが隣にやって来ると、

「やぁ、カガリちゃん!乗り心地はどう?」

ニコニコしながら、話しかけてくる。

「うん、大丈夫」

だが、言葉とは裏腹に、カガリの顔は蒼ざめている。

ビュー!

後ろから、つむじ風のように、ドラゴンが追い越して来た。

「ユウジのヤツ~案外、楽しんでいるなぁ」

人は見掛けにはよらないなぁ。

ショータが、ヘヘッと笑う。

「まぁね、遊園地の乗り物だしね」

アキがそう言うと、

「あっ、そうだったな!」

思い出したように、ショータが笑った。

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