第45話 友達の友達は…吸血鬼?

 何だか、おかしなことになったようだ。

「ちょっと、二人とも!」

さっきまでは、知らんぷりをしていたショータだったが、ようやく

間に入る。

「何をやってるんだよ。

 この人は、ユー子さんの知り合いなんだろ?」

なだめるように、そう言う。

「あっ」

「やべっ!」

「そうだった」

一同はようやく、おとなしくなる。

その間、黒マントの男は、鼻をかみ、咳払いをして、気持ちを

落ち着かせる。

そうして、あらためてアキたちの前に立つ。

「はじめまして。

 私は…ツヨシと申します。

 お手柔らかに、お願いします」

一体、ユー子さんに、何を吹き込まれているのだろう。

やけに低姿勢で、深々と頭を下げる。


「え~っ、ツヨシっていうの?」

 アキが挨拶を返す前に、ケイタが男を指差して、ゲラゲラと笑う。

「ちょっと!」

何て失礼なの?

アキがケイタを引っ張る。

だが、ケイタは少しも黙ることがない。

「だってさ!小心者なのに、ツヨシ?

 吸血鬼なのに、泣き虫?

 そんなことって、あるの?」

ここぞとばかりに、大きな声で笑う。

「もっと、強いヤツが来ると思ったのに~」

さらにケイタが、重ねて言うので、

「ケイタ、止めなさいよ!」

ついに、アキの堪忍袋の緒が切れた。

「ケイタ、ステイ!」

アキが本気で怒りだす前に…

ユウジがあわてて、ケイタを後ろに引っ張る。

「おい、何すんだよぉ!」

ジタバタと手足を動かす彼に、

「お前って、ホント、筋肉バカなんだなぁ」

ショータが呆れたように、冷ややかな目で、ケイタを見た。


「おい、ずいぶんな言いようをしてくれるなぁ」

 さすがのケイタも、プンとむくれる。

「可哀想でしょ?ツヨシくんが」

加勢するように、小声でカガリが抗議する。

「何だよぉ~カガリちゃんまで!」

さすがのケイタも、シュンとした顔で、仲間たちを見る。

自分がまるで、悪者みたいじゃないか。

凹むケイタに気が付くと、

「まぁ、きっと…ユー子さんにも、考えがあるんでしょ」

何とかその場をおさめようと、アキが努めて明るい声を出す。

「いや、たまたまヒマだったのが、ボクだっただけだよ」

ババを引かせたようで、悪かったなぁ~

吸血鬼のツヨシは、さらに自分の傷口に、塩を塗るような真似をする。

「あ~あ」

彼らは思わず、ガクンと頭を垂れた。

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