第38話 こんな所に?

「あれ?」

「あれれ?」

 パッと走り出すケイタをよそに、四人は門を見上げる。

「こんなの~あったっけ?」

ユウジがつぶやく。

「さぁ?」

ショータが肩をすくめる。

「聞いたこと、ないよねぇ?」

「初めて見た」

ユウジとショータが言い合うのを、アキとカガリが横目で見ている。

「魔法なんじゃない?」

 ポンとカガリが言う。

「えぇ~!」

ユウジが叫ぶけれども。

「それは、あるかもしれないなぁ」

ショータがメガネのつるをさわる。


「まぁ、そんなことは、どうでもいいじゃないか」

ピョンとカフが飛び跳ねると、

「さぁ、行った、行った!

 お友だちはもう、中にいるよ」

トントントンと、アキとユウジの背中を押して行く。

「ちょっとぉ」

押さないでよね、とアキがカフの手を避けようとする。

「え~っ、お金がないんだけどぉ」

そんな怪しげな遊園地、大丈夫なのかなぁ?

ユウジは勘弁してくれよ、と口をとがらせる。

「まぁ~行ってみれば、いいんじゃない?」

ふいに、梢の方から、声が聞こえてきた。


「ノワール?」

「どこへ、言ってたんだよぉ」

 アキたちが、上を見上げて、声を張り上げる。

だが、黒猫はふぁ~と大きくアクビをすると、

「まぁ、私はどっちでもいいんだけどねぇ」

そう言うと、スルンと梢から梢に飛び移る。

 ニヤリとカフが笑いかけると、

「だ、そうだ」

ユウジとショータの背中を、ポンポンと押す。

そうしてケラケラと笑うと

トトトトト…

ケイタのいる方に向かって、走り出した。



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